三菱電機最終報告書3 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.394 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
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*** 三菱電機最終報告書3 ***
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組織の中に起きていることは外部の人には伺い知れません。組織
の内部に居ても本当のことはなかなか分かりません。今回、三菱
電機では、従来と変わった工夫をして組織内にくすぶり続けてい
る事実を明らかにしたと述べています。その時に使われたのが社
員全員へのアンケート調査というツールです。55,000人という社
員全員への大規模なアンケート調査はどんな風に行われたのか、
第三者調査報告書から説明します。

■■ アンケートの冒頭文 ■■
最終的には、社員55,302名人へアンケート調査を行い、回答率は
90%を超えるもので、品質に関わる問題が「ある」と回答した者は、
全従業員の約5%、2,200名余りでした。
以下最初に行われた可兒工場のアンケートの冒頭文を紹介します。

当社の「四つの品質基本理念」でも強調しているように、品質は
何ものにも優先されなければなりません。また、品質は、定めら
れた手順やルールを守ることによって担保されていることも忘れ
てはなりません。当社の顧客は、当社が定められた手順やルール
に従って製品を製造し、検査を行っていることを信頼して、当社
の製品を購入しているからです。
「手順やルールを守っていないが品質に問題はない」ということ
は、絶対にあり得ないことを改めて肝に銘じてください。顧客か
らの信頼を失わないためにも、当社は、今般発覚したような品質
に関わる問題を根絶することを固く決意しています。そして、従
業員の皆様にも協力していただき、現場において、品質に関わる
問題が存在しないか、徹底的に確認したいと考えています。

■■ 正直者への配慮 ■■
アンケート用紙には下記のような説明を付記し、かつ同様な説明
をしたとあります。
「品質に関わる問題を自主的に申告した場合には、自主的に申告
したという事情も十分に考慮した上で、社内処分の要否やその内
容を判断」する旨明記し、さらに、本社品質保証推進部による説
明の際にも同様の説明を行った上で、逆に正直に申告しなかった
場合には、厳しい処分の対象となることを説明した。
加えて、アンケート調査を契機に更に事実確認を行う必要がある
ため、アンケート回答には原則として所属・氏名を記載すること
としたが、それでも回答に抵抗感を覚える従業員も想定されたこ
とから、上記説明の際に、氏名を記載することに抵抗がある場合
には、所属のみを記載することでも良い旨説明した。

■■ 具体的なアンケート項目 ■■
具体的なアンケート項目は、以下のとおりです(第1報から抜粋)。

「品質に関わる問題」の具体例としては、次のようなものがありま
す。これらの具体例も参考にしながら、あなたの職場において、
同じようなことが起きていないか、また、同じような話を聞いた
ことがないか、今一度振り返ってみてください。
〇決められたとおりに開発・設計していないことの具体例
・決められた基準を満たさない製品なのに、試験成績を偽って、
 公的な認定・認証を取得した。
・実際の製品とは異なる部品や材料を使用して、公的な認定・認
 証を取得した。
・実際の製品とは異なる図面を使用して、公的な認定・認証を取
 得した。
・顧客から要求されている仕様とは異なる手順書を作成した。
〇決められたとおりに製造していないことの具体例
・決められている手順とは異なるやり方で装置や部品を製造した。
・決められている手順を省略したり、順番を変えて装置や部品を
 製造した。
・決められている材料や部品とは異なる材料や部品を使って製造
 した。
・検査、監査の場合など、装置や部品に対するチェックが行われ
 るときには、普段と異なるやり方で製造した。
・検査、監査の場合など、装置や部品に対するチェックが行われ
 るときには、普段と異なる材料を使って製造した。
・実際に使っている材料や部品はA社製なのに、B社製のものを
 使ったと報告した。
〇決められたとおりに検査していないことの具体例
・決められている手順とは異なるやり方で装置や部品の性能を検
 査した。
・決められている手順を省略したり、順番を変えて装置や部品の
 性能を検査した。
・検査の結果、決められている基準を満たさなかったのに、検査
 の結果をごまかして、合格したと報告した。
・3回の測定で合格しなかった場合には不合格にすると決められ
 ているのに、4回目の検査で合格したので、合格したと報告した。
・検査していないのに、検査したことにした。