品質不正への有効な対策5 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.413 ■□■
― ISOマネジメントシステムのテクノファ ―
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*** 品質不正への有効な対策5 ***
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品質不正が行われる組織には不正が行われる構造があると言いまし
た。これに関係して、品質不正を防止する行動にも構造があります。
前回に引き続き、品質不正発生の要因分析を行うときにより真因に
近づくことができる、すなわち要因分析がより効果的に行えること
になると思われる構造についてお話をします。

■■ 状態と要因 ■■
第三者委員会報告書を読むと多くの組織が品質不正の要因であると
上げている項目は、要因ではなく「状態」であると思います。要因
とは読んで字の如く「因果関係における原因の要素」のことです。
辞書には「物事の成立に必要な因子、ファクター」と出ています。
まだ原因とは決めつけられない原因候補です。一つの原因にはこれ
と思われる候補が沢山あり、原因を形づくると思われる要素を要因
と呼んでいます。
411回でもお話しました第三者委員会報告書で説明されている要因
は次のように8項目に集約されます。
1.コンプライアンス意識がない。(401号)
2.品質保証部門が機能不全を起こしている(402号)。
3.人が固定化され,業務が属人化されている(403号)。
4.収益偏重の経営がされている(404号)。
5.監査が機能していない(411号)。
6.工程能力がないのに生産している。
7.管理がされていない。
8.教育がされていない。
しかし、これら8項目は要因ではなく、品質不正の起きた「状態」
を記述しているのではないかと思います。状態とは、これまた読ん
で字の如くある状況における様態を言います。辞書には「事物が、
その時にそうなっている、ありさま」と出ています。品質不正発生
のありさま、すなわち品質不正を取り巻く景色を表現していると考
えてみたいと思います。自然の景色を考えてみましょう。冬でした
ら雪景色になりますし、春は桜色の景色になります。夏はそして秋
はと景色は春夏秋冬いろいろ変化します。この景色はどのような力
で変化しているのでしょうか?この景色をさせる力、メカニズムを
構成するものが要因であると私は理解しています。

■■ 品質不正防止の活動の構造 ■■
筆者の考える品質不正を防止する活動の構造は次の通りです。
 ●状態 →要因 →原因

411号では以下のように表現しました。
 ■問題の発生(今後発生するかもしれない問題も含めて)
  ↓
 状況の把握
  ↓
 原因の理解
  ↓
 対応策(応急処置,再発防止,未然防止)
書き進めていくうちに次のように修正するのが良いと考えるように
なりました。

 ■問題の発生(今後発生するかもしれない問題も含めて)
  ↓
 「状態」の把握
  ↓
 対応策(応急処置)
  ↓
 「要因」の抽出(VTA andなぜなぜ分析)
  ↓
 「原因」の特定(発生原因、見逃し原因、拡大原因)
  ↓
 対応策(原因の排除 →フォロアップ)

(つづく)