Category Archives: つなげるツボ

製品及びサービス | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.117 ■□■
*** 製品及びサービス ***
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■□■ 製品とサービスの違いは? ■□■

ISO9001:2015規格では、従来「製品」と表記していたものをすべ
て「製品及びサービス」に変えました。これはサービス業への配
慮であると言われています。

ISO9000:2015規格にはこの2つの用語の定義が次のように書か
れています。

●製品の定義:組織(3.2.1)と顧客(3.2.4)との間の処理・行為な
しに生み出され得る,組織のアウトプット(3.7.5)。

●サービスの定義:組織(3.2.1)と顧客(3.2.4)との間で必ず実行
される,少なくとも一つの活動を伴う組織のアウトプット(3.7.5)。

■□■ 定義の意味するところ ■□■

皆さん、2つの定義の違いを理解できるでしょうか?私は最初に
接したとき、定義が何を言いたいのか直ぐには分かりませんでした。

製品の定義とサービスの定義の違いは、定義の記述の真ん中
にあります。定義の書き出しは両方とも「組織(3.2.1)と顧客(3.2.
4)との間」となっていて同じです。

定義の終わりも両方とも「組織のアウトプット(3.7.5)」となってお
り同じです。

2つの定義の違いは、真ん中の(●製品)「・・・の処理・行為なし
に生み出され得る,」と(●サービス)「・・・で必ず実行される,少
なくとも一つの活動を伴う」に見出すことができます。

■□■ 処理・行為なしに生み出され得る ■□■

製品の定義の真ん中には「・・・の処理・行為なしに生み出され
得る,」とありますが、製造する過程においては定義が言うように
顧客との間での処理・行為は原則ありません。

組織は製品スペックを決めるときには顧客と接触をしますが、一
度スペックが決まれば、それ以降は如何にスペックどおりに製
品を組織が実現するかの段階になり、顧客との間に
は原則、処理・行為は存在しません。

■□■必ず実行される,少なくとも一つの活動を伴う■□■

サービスの定義の真ん中には「・・・で必ず実行される,少なくと
も一つの活動を伴う」とありますが、サービスは顧客との間で直
接の活動が存在する、と定義をしています。

これは、組織がサービスというプロセス(少なくとも一つの活動)
を実行すると即顧客に納入されることを意味しています。

例えば、私がISO規格の解説をするというサービスを実行すると
即受講生の方に納入されますが、これがサービスの本質である
ということです。

したがって、サービスのプロセス実施においては、失敗は許され
ません。
サービスは在庫を持てませんし、事前の検査もできません。

失敗すると謝るしかありません。場合によっては賠償を要求され
るかもしれません。
ですから、サービスは必ず妥当性確認をしておくことが要求され
るのです。

■□■サービスとサービス業は違う■□■

ここで、サービスとサービス業は違うということを明確にしておか
なければならないと思います。

サービス業にも製品はあります。逆に製造業にもサービスはあ
ります。

サービス業はサービスが提供価値の中心を占めています。製
造業は製品が提供価値の中心を占めていますことから両者の
特徴が生まれます。

■□■ 箇条4.3製品及びサービスを考慮する ■□■

箇条4.3には、組織はQMSの適用範囲を決める際には、組織の
製品及びサービスを考慮しなければならないと規定されています。

製造業は製品、サービス業はサービスを適用範囲にすることが
多いでしょうが、場合によっては両者を対象にすることもありえ
ます。

適用範囲に製品及びサービスの両者を含むとすると、当然8.3
製品及びサービスの設計・開発の対象も両者ということになるで
しょう。

規格の読み方 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.116 ■□■
*** 規格の読み方 ***
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■□■ 規格の要求事項の読み方 ■□■

英語でshallと表記される要求事項の読み方は、いままでと変え
なければなりません。ISO9001:2015の0.1一般でもshallの説明
がされております。

今までは、shallに直接続く動詞に掛かる部分を要求事項と考え
る人が多かったようです。例えば、箇条4.1「組織及びその状況
の理解」の要求事項は、文の最後にある「・・・外部及び内部の
課題を明確にしなければならない。」であると理解されてい
ました。

これは英語と日本語の構文の違いがあるからですが、文中にあ
る「意図する結果」、「組織の能力」は、組織として明確にしておく
べきものであり、そうでなければ、「外部及び内部の課題の明確
化」は、結果として組織の現状に合わない形式的なものになっ
てしまいます。

■□■ 従来の読み方 ■□■

従来までの読み方だと「意図する結果」、「組織の能力」はあま
り重要視されてこなかったようです。認証審査でも、従来の審査
の仕方では「外部及び内部の課題の明確化」に焦点が当てら
れ、「意図する結果」、「組織の能力」は審査の対象にはなって
いなかったようです。

しかしそれだと目的を見失った手段のみを追い求めていると言
わざるを得ません。その成果は目的から遠く離れた結果を得る
こととなり、2015年版が強調しているパフォーマンスの向上を望
むべくもないことになるでしょう。

■□■ これからの読み方 ■□■

箇条4.1の読み方は、「組織は,組織の目的及び戦略的な方向
性に関連し,かつ,その品質マネジメントシステムの意図した結
果を達成する組織の能力に影響を与える,・・・」の全部が規格
要求事項であるとすべきです。

従来もそのような考え方で規格を読んでいたはずですが、2015
改正を経てそのことが一層明確になりました。「意図する結果」、
「組織の能力」は、箇条4.1「組織及びその状況の理解」に初出
しますが、以降、それぞれ次の2か所、4か所の箇条にキーワー
ドとして出てきます。

これら2か所、4か所のいずれにおいても「意図する結果」、「組
織の能力」という用語は組織に固有なものとして考えてQMSを
構築しなければなりません。組織に固有な用語として明確にし
ておかないと、具体的な対応を取ることができないので、その結
果QMSは効果のないものになってしまうでしょう。

■□■ 「意図する結果」の2か所 ■□■

1か所目:
箇条5.1.1 g) には「品質マネジメントシステムがその意図した結
果を達成することを確実にする」と要求されています。
ここはトップマネジメントへの要求であり、トップはこの要求にこ
たえるためには、「意図した結果」を明確にしてそれを達成する
ためにリーダーシップを発揮しなければなりません。

2か所目:
箇条6.1.1a)には「品質マネジメントシステムが,その意図した結
果を達成できるという確信を与える」という一文があります。ここ
にも「意図した結果」がでてきますが、意図した結果を達成する
ために取り組むべきリスクと機会を決定する、という要求になっ
ています。

■□■ 「組織の能力」の4か所 ■□■

1か所目:
「4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解」に次のような文章
の中にでてきます。「次の事項は,顧客要求事項及び適用され
る法令・規制要求事項を満たした製品及びサービスを一貫して
提供する組織の能力に影響又は潜在的影響を与えるため,組
織は,これらを明確にしなければならない。」

2か所目:
「4.3 品質マネジメントシステムの適用範囲の決定」に次のよう
な文脈にでてきます。

「組織は,品質マネジメントシステムの適用範囲を定めるために,
その境界及び適用可能性を決定しなければならない。」

(中略)

適用不可能なことを決定した要求事項が,組織の製品及びサ
ービスの適合並びに顧客満足の向上を確実にする組織の能力
又は責任に影響を及ぼさない場合に限り,この規格への適合を
表明してもよい。」

3か所目、4か所目:
「8.4.2 管理の方式及び程度」に次の規定の中にでてきます。
「組織は,外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,
顧客に一貫して適合製品及び適合サービスを引き渡す組織の
能力に悪影響を及ぼさないことを確実にしなければならない。
組織は次の事項を行わなければならない。

(中略)

c) 次の事項を考慮に入れる。
1)外部から提供されるプロセス,製品及びサービスが,顧客要
求事項及び適用される法令・規制要求事項を一貫して満たす組
織の能力に与える潜在的な影響

2)外部提供者によって適用される管理の有効性」

これら4か所の「組織の能力」は、いずれも組織に固有な能力と
読まなければなりません。組織の能力を一般的な言葉として読
み飛ばしてしまうと、上述の4か所の要求事項は意味のないも
のになってしまうでしょう。

組織にはいろいろなその組織に固有な能力があるわけですから、
それらの多くの能力のどの能力と関係してくるのかを理解して、
QMSの構築を計画する必要があります。
そうでないと、ISO9001;2015が意図している組織のパフォーマン
スは上がらないと思います。

飯塚サロン | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.115 ■□■   
*** 飯塚サロン ***
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■□■ 超ISO企業研究会 ■□■

テクノファでは、東京大学名誉教授 飯塚悦功さんを会長とする超ISO企
業研究会の事務局を担当させていただいております。
今回はその一つの活動である飯塚サロンの最近の様子をお話しさせてい
ただきます。

■□■ 前回開催のテーマ(2月1日) ■□■

ISO9001:2015箇条6「計画」がテーマになりました。

箇条6は次の3つの細分箇条から構成されています。

・6.1 リスク及び機会への取組み
・6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定
・6.3 変更の計画

飯塚サロンでは、まず飯塚先生がテーマについてお話をされます。
今回は、冒頭以下のようなお話がありました。

■□■ 今回のねらい(飯塚先生のお話) ■□■

・前回「リスク」と「品質目標」について考察した。

・それは,箇条6(計画)を構成する2つの箇条

-6.1 リスク及び機会への取り組み
-6.2 品質目標及びそれを達成するための計画策定

に、この2つの用語「リスク」と「品質目標」が含まれていて、「リスク」に言
及する意味がよく理解できなかったからに違いない。

・しかし,箇条6をよくよく見てみれば,これは,「計画」というものを、どのよ
うに行うべきかについての規定なのだ。

・「木を見て森を見ず」は情けない。そこで、今回はあらためて「計画」とは
如何なる経営機能であるか考えてみたい。

・その過程で、「管理/マネジメント」、「PDCA」、「計画の構成要素」、「目
標設定の方法」、「目標達成方法の検討」、「管理項目・管理指標」、「問題
解決・原因分析」などの意味と役割について考えることになるだろう。

■□■ PDCAとは目的達成のための活動 ■□■

よくPDCAというが、それぞれに2つのポイントがある。

Planにおいては次の2つがある。

P1: 目的,目標,ねらいの明確化
P2: 目的達成のための手段・方法の決定

計画を作るにあたっては、その目的、目標の設定の他に達成手段の決定
も重要である。

Doにも、実施準備というもう一つのDo がある。

D1: 実施準備・整備
D2: (計画,指定,標準通りの)実施

Checkでは、確認、処置の他に副作用という概念が重要であり、副作用の
確認、対応をもう一つのCheckとして取り上げた。

C1: 目標達成に関わる進捗確認,処置
C2: 副作用の確認,対応

Actの2つは、応急処置及び再発防止である。

A1: 応急処置,影響拡大防止
A2: 再発防止,未然防止

■□■ 日常管理の実態の診断 ■□■

更に計画を立てるにあたって次の確認が有用である。

1.あなたの仕事は何ですか?
・あなたの仕事の目的は何ですか?
・顧客(あなたの仕事の成果の利用者)の期待・要求は何ですか?
・仕事の目的にはどのようなものがありますか?(展開)

2.その仕事の出来映えをどのように判断していますか?
・管理項目は何ですか?

3. 仕事の目的を達成するための手段・手順はありますか?
・それはどのようなものですか?
・・・プロセスフローチャート,マニュアル(規程,標準書,要領など),帳票
・それらの前提要件は整備されていますか?
・・・従事者の資格,教育・訓練,部品・材料,設備・計測器の保守など
それらの方法が”良い”ということをどのように保証していますか?

■□■ 出席者からの発言 ■□■

出席者からは改めてP、D、C、Aの神髄に触れることができたとの声が聞
かれました。

特に、「P2: 目的達成のための手段・方法の決定」については、プランした
計画になりがちなのは、この達成手段の方法が決定されていないからで
あるという感想がいくつかありました。

QMSの計画時にリスク及び機会を考えることは、新しい視点であると同時
に達成手段を考えて目標を立てなければならないことに改めて出席者一
同認識を新たにしました。

■□■ 懇談の話題 ■□■

2時間の議論の後、出席者から自由なテーマで話あっていただくコーナー
では、以下の2点が話題として出されました。

1.設計・開発は極めて計画に近い概念であるので、ほとんどの組織には
設計・開発プロセスが存在すると認識してよい。

ただし、組織の「製品が何であるか」を明確にして、その製品又はサービス
に関する要求事項の詳細化、計画業務であることが要点である。

当然のことであるが、組織には多くの計画業務が存在するが、製品又は
サービス要求事項に関するものでなければそれらを設計・開発とは呼ば
ない。

2.箇条8.2.2に「組織が,提供する製品及びサービスに関して主張してい
ることを満たすことができる。」とあるが、ここでいう「主張」とはQMSを構
築している組織の主張である。

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いかがでしょうか。
この短いメルマガでは全てをお伝えすることが出来ませんが、1人でも
多くの読者の方に飯塚サロンの良さをお伝え出来たら大変嬉しく思います。

是正処置について-原因究明 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.114 ■□■   
*** 是正処置について-原因究明 ***
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■□■ プロセスアプローチソフト ■□■

Vol.113でご案内したプロセスアプローチソフトに大変大きな反響をいただき、誠に
ありがとうございました。

フォーラム当日、行列に並んでお買い求めいただいた上に、ソフトを使いこなすため
の講習会の参加ご希望も相次いで頂き、大変嬉しい限りです。

講習会については、編集後記でご案内しておりますので、そちらをご覧ください。

■□■ 座ると痛い ■□■

さて、私は昨年10月にISO45001(労働安全衛生)国際会議のためジュネーブにある
ILO(国際労働機構)の立派な本部ビルに行ってきました。

そこでは、ISOとILOの両ナンバーツーが労働安全衛生マネジメントシステム規格の
成功を期待する旨を述べるとともに、互いの組織の協力を約束しました(その会議では
DIS原案を作成しました)。

ところで、その会議の成果報告はまた別の機会に改めてさせて頂き、今日は少し横
道にそれたお話をさせて頂きます。

労働安全衛生の会議だから言うのではありませんが、実は会議で座っていると足腰
にしびれを感じ、時間が経つと痛くて仕方ないという経験をしました。

■□■ 手術が必要? ■□■

帰国してからしばらくは痛いのを我慢して日常生活をこなしていましたが11月初旬の
ある日、とうとう徒歩で駅に行けなくなりました。通常10分歩いて電車に乗るのです
が、そのときは駅に行くのに40分もかかってしまったのです。

この時は、10m歩いては5分休み、また10m歩いて5分休むという状態でした。会社に
着いてから、これはまずいと思いすぐに近くの総合病院に行きました。

■□■ 整形外科医の診断 ■□■

整形外科ですぐにレントゲンを撮り、数分後には写真を前に医師の説明を受けまし
た。

写真を見ると、背骨の4番目の腰椎がちょっと「ずれている」のが分かります。先生
はそれが痛みの原因だといい、これは手術をしないと治りません、と言いました。

■□■ 原因は何か ■□■

「先生、腰椎が「ずれた」原因は何ですか?」私は聞きました。急に手術しなければ
治らない、といわれても直ぐには納得できません。

先生は「加齢です。年を取るとこうなるのです」と言いますが、私は同年齢の人は皆
手術をしないといけないことになるのか、と頭中は疑問で一杯になりました。

「先生、少し考えさせてください、その間はどうすればよいですか?」と聞くと、痛
み止め薬と湿布薬を使用するように言われ最初の診断は終わりました。

■□■ 整体治療院 ■□■

町には整体、整骨医の看板が溢れています。私もこのような状態になるまでは全く
気が付かなかったのですが、こんな状態になって初めて多くの看板に気が付きました

人間は自分の心の在り方で見えるものが異なるとよく言いますが、まさにその体験
をしました。町を歩いている時の目の付け所が全く変わったのです。

ある方から都内に在る整体治療院の紹介を受けました。

■□■ 原因は別にある ■□■

2,3日後さっそくその治療院へ行きました。下着一枚になりベットの上に横たわりま
す。先生は私の両足を交互に縦に、横に、斜めに4,5分動かし、こう言いました。

「これは治ります。骨盤の中にある仙腸関節が損傷しています。これが原因で腰椎
がずれています。」

■□■ 原因と結果の分析 ■□■

私は一筋の光明を見出しました。頭の中にあった疑問の霧が晴れるように雲散しま
した。4番目の腰椎がずれたのには何らかの原因があると思っていたからです。

では、なぜ骨盤の仙腸関節が損傷したのでしょうか。私はその疑問を先生に尋ねま
した。

「数年前に転んでお尻を打ったことがあるはずです?」

「・・・・」

「その時の衝撃が原因で徐々に関節がスムーズに機能しなくなったのです。」

「・・・・」

■□■  何が本当の原因か  ■□■

私は3,4年前までの出来事を思い出そうとしますが、はっきりとあの時とは思い出せ
ません。

ただ、毎朝ジョギングをする際に2,3回転んだことがあります。道には結構段差があ
り、ちょっとした段差にでも年を取るとつまずくのです。

不注意 → 転ぶ → 仙腸関節損傷 → 腰椎のずれ → しびれ
という原因と結果の連鎖が見えてきました。

■□■ 原因の連鎖 ■□■

何か起きた時には原因があります。しかし、原因は一つではありません。原因のま
た原因があるかもしれません。そのまた原因もあるかもしれません。

だからこそ、ISO規格の中には重要な要求事項として「是正処置」の項目があると共
に、私たちも研修の場ではとても重要視して様々な研修コースのカリキュラムの中
に取り入れています。

原因分析のやり方は一つではありません。
そして、誰もができるようになっておくべきものではありますが、やはり知識、経験
によって原因追求の力量差は出てしまいます。

是正処置の意義、効果を改めて考えて頂き、表面的な原因追求ではなく、完治につ
ながるようななぜなぜ分析を皆さんにして頂きたいと思っています。

■□■ 治療の状況 ■□■

根本原因に対策を取らないと物事は解決しません。今回腰椎の手術をしなくて良か
ったと思います。

お蔭様で、今は快方に向かっています。根本原因である仙腸関節に治療を加えてい
るからです。とは言え、診断では完治するのに3~6ヶ月かかるようです。

本年は、焦らずじっくり身体のケアを心掛けて行こうというのが私の新年の目標
です。
皆さまも健康第一で新春の目標計画をお作りください。

プロセスアプローチ支援ツール | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.113■□■   
*** プロセスアプローチ支援ツール ***
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■□■ ソフトウエアを販売 ■□■

今回、第22回テクノファ年次フォーラム(無料、大阪12/16済、東京12/22)では、
「プロセスアプローチ支援ツール」ソフトウエアを特別価格でご提供させていた
だきます。

このソフトには、2015年版で要求されているプロセスアプローチの要素がすべ
て入っています。ISO9001の2008年版からの移行準備にはうってつけの支援ツ
ールだと思います。大阪では多くの方が関心をお持ちいただきご購入くださ
いました。

このソフトウエアは私が監修しましたので、この場でプロセスアプローチ構築の
流れを簡単に説明させいただきます。

■□■ ステップ1 事業プロセス ■□■

最初に、御社の現状の活動を事業プロセスとして一覧表にしていただきます。
ソフトには製造、建設、サービス3業種の事業プロセスのサンプルが収録さ
れています。

事業プロセスとは御社の全員が毎日行っている活動のことを意味しています。
例えば、営業プロセス、設計プロセス、製造プロセス、サービス提供プロセ
ス、人事管理プロセス、経理プロセス、経営管理プロセスなどです。

■□■ ステップ2  QMSに必要なプロセス ■□■

次に、その事業プロセスの中からQMSに関係ないプロセスを除きます。
例えば、上の例でいうと、経理プロセスなどは削除される候補になるかもしれま
せん。もちろん、組織はQMSに関係するプロセスとして経理プロセスをそのまま
適用することもできます。

■□■ステップ3  ISO9001:2015箇条.4.1■□■

3番目に、QMSに必要なプロセスごとにインプット、アウトプット、パフォーマンス
指標、責任/権限、判断基準、方法などを決め、一覧表にします。

ISO9001:2015箇条4.4.1が要求している次の項目に沿っています。

a) これらのプロセスに必要なインプット,及びこれらのプロセスから期待される
アウトプットを明確にする。

b) これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。

c) これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断
基準及び方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し
,適用する。

d) これらのプロセスに必要な資源を明確にし,及びそれが利用できることを確
実にする。

e) これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。

f) 6.1 の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。

g) これらのプロセスを評価し,これらのプロセスの意図した結果の達成を確実
にするために必要な変更を実施する。

h) これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

これに関してもソフトには多くの事例が収録されています。

■□■ステップ4 規格要求事項の統合■□■

4番目に、事業プロセスへの規格要求事項の関連付けを行います。
ISO9001:2015箇条5.5.1には「c) 組織の事業プロセスへの品質マネジメントシス
テム要求事項の統合を確実にする」ことが要求されています。

このソフトで一番工夫されているステップです。ソフトが示す8分類された規格要
求事項を御社の決定したQMSに必要なプロセスと関連付けをしていきます。

インプット、アウトプット、パフォーマンス指標、責任/権限、判断基準、方法な
どに関していろいろな気付きを得ることになるでしょう。

■□■ ステップ5 認証審査への準備 ■□■

5番目に、ここまで作成した各種一覧表、文書(タートル図を含む)などを印刷し
て、御社の2015年版の移行審査に備えます。

次の文書類の用意ができます。

1. 事業プロセス一覧表
2. QMS に必要なプロセス一覧表
3. 箇条4.4.1 で要求されているプロセスの要素一覧表(およびプロセス
ごとのタートル図)
4. プロセスと要求事項との関連付け表
5. 適用不可能とする要求事項(存在すれば)とその理由

■□■ ステップ6 フローチャート作成 ■□■

最後に、フローチャートを作成します。これは、ISO9001:2015箇条4.4.1 b)が
要求しているQMSに必要なプロセスの順序および相互作用を表すものです。

御社はここまでの6ステップを踏むことで、2015年版が要求しているプロセスア
プローチに基づいたシステム構築を計画することができます。

ステップの説明はこれで終わりますが、このソフトの特徴を以下に述べます。

■□■ 豊富な事例の収録 ■□■

このソフトには豊富な事例が入っています。例えば、製造、建設、サービス業の
事業プロセス一覧、またQMSに必要なプロセスへのインプット、アウトプット、パ
フォーマンス指標、責任/権限、判断基準、方法など、さらに28業種の活
動名(プロセス名)などが収録されています。

これらの事例を参考にする際には、現在の御社の活動にフィットするように事例
を修正、あるいは事例に追加することが重要です。

■□■ タートル図の採用 ■□■

QMSに必要なプロセスへのインプット、アウトプット、パフォーマンス指標、責任
/権限、判断基準、方法などの決定は、事務局だけでは難しい場合があります

そのような場合には、プロセスの主管部門に決定をお願いすることが
よいでしょう。ソフトからは、個々の主管部門にお願いする図表(タートル図)が
アウトプットされてきます。

■□■ すべての規格要求事項を8種類に分類 ■□■

規格要求事項を事業プロセスに統合することについては、ソフト側ですべての
規格要求事項を8種類に分け、御社が決めたプロセスと比較検討する仕組みを
持っています。

特に箇条7支援にある要求事項は、御社のどのプロセスにも適用可能なのです
が、特に必要とされるプロセスへ適用することで有効なQMSとすることが期待で
きます。

■□■ 適用可能性の検討 ■□■

ISO9001:2015箇条4.3では適用可能性についての要求があります。ステップ4で
御社が決めたプロセスと規格要求事項を比較検討する際に、比較できない規格
要求事項は適用不可能としてソフトウエアは一覧表にして表示します。

その場合、さらによく検討して本当に採用できないのであれば、適用
不可能を正当化する文書を作成することになります。

以上、いろいろ説明しましたが、言葉だけでは理解しがたいところもありますの
で、一度お試しになってください。