個人の行う活動_内部診断と内部監査29 | 平林良人の『つなげるツボ』

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■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.288 ■□■
― つなげるツボ動画版はじめました ―
*** 個人の行う活動_内部診断と内部監査29 ***
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コロナ禍における内部診断のお話しをしています。今回は個人の行う
仕事に焦点を当てます。組織のパフォーマンスは個人のパフォーマン
スの集積と言えます。総ての個人のパフォーマンスが向上すれば組織
が受ける便益はとてつもなく大きなものになるでしょう。今回の内部
診断は個人活動に対するチェックポイントを考えたいと思います。

■□■ 個人の能力発揮 ■□■
「適材適所」と言う言葉があります。人は,自分の興味の持てる仕事に
就くと最大の能力を発揮すると言われています。
ISO9000でも箇条2.3.3「人々の積極的参加」を品質マネジメントの7原
則の一つに位置付けしています。

以下は「人々の積極的参加」からの抜粋です。
組織を効果的かつ効率的にマネジメントするためには,組織の全ての階
層の全ての人々を尊重し,それらの人々の参加を促すことが重要である。
貢献を認め,権限を与え,力量を向上させることによって,組織の品質
目標達成への人々の積極的な参加が促進される。

■□■ 適材適所の効果 ■□■
ISO9000では、適材適所の効果を次のように説明しています。
- 組織の品質目標に対する組織の人々の理解の向上,及びそれ
  を達成するための意欲の向上
- 改善活動における人々の参画の増大
- 個人の成長,主導性及び創造性の強化
- 人々の満足の増大
- 組織全体における信頼及び協力の増大
- 組織全体における共通の価値基準及び文化に対する注目の高さ

■□■ 内部診断視点の1 ■□■
人々に対して取り得る行動は、次に書かれたようなものであると幾つか
の提案をしています。個人を対象に次のような行動を組織が取っている
か、内部診断で確認してみましょう。
- 各人の貢献の重要性の理解を促進するために,人々とコミュニケー
  ションを行う。
- 組織全体で協力を促進する。
- オープンな議論,並びに知識及び経験の共有を促す。
- 人々が,パフォーマンスに関わる制約条件を明確にし,恐れることなく
  率先して行動できるよう,権限を与える。
- 人々の貢献,学習及び向上を認め,褒める。
- 個人の目標に対するパフォーマンスの自己評価を可能にする。
- 人々の満足を評価し,その結果を伝達し,適切な処置をとる。

■□■ 内部診断視点の2 ■□■
良い製品・サービスを提供するためには,なんと言っても製品・サービス
に固有の技術が必要です。でもそれだけではダメで,固有技術を生かすマ
ネジメントが重要です。マネジメントの一つに個人の仕事の手順(書)の
管理があります。

手順(書)は最新のものになっていなければなりませんし、全員が決めら
れたことを守らなければなりません。そのためには、実際の仕事のやり方
を第一線の担当者から聴取し、その標準化を図っていくことが大切です。
組織の規模が大きい場合には、手順(書)の数は膨大なものになります。
しかも、担当者は複数の業務を行っているのが普通です。手順(書)の目
的は、これらの複数の業務を安定して行うことであり、手順(書)どおり
仕事を行えば狙い通りの結果が得られるようにしておくことです。

■□■ 手順(書)のチェックポイント ■□■
手順(書)に関しては、次のようなチェックポイントがあります。
1)手順の対象となる業務は無数といっていい程あるので、結果として
 製品(及びサービス)品質に影響を与えるものに絞ると同時に、
 影響の大きなものを見落とさないようにしなければならない。
2)各々の担当者が他者との関係においてどのような役割、機能を果た
 しているのか、あるいは果たすべきかを明確にする。この場合、
 担当者が何を使って、何を行っているか、他者に対して何を提供
 しているかという点に着目する。
3)担当者の活動をできるだけ細かく分割した上で、各々のインプット、
 アウトプット、活動内容、責任者などを定義する。
4)インプットやアウトプットの内の重要なものについては、法規、
 規格、計測等について規定したり、適切な記録が残るようにする。
5)異なった活動で類似な活動内容は、可能なかぎり統一を図り標準
 書等に明文化する。
6)活動が予定通りの結果になっているかどうかを判定するための管
 理項目を決める。これらの管理項目は活動ごとに整理し管理項目
 一覧表として整理しておく。
7)もの作り(製造、建設など)においては、手順書作成(日常管理)
 の目的が活動の異常を検出にあり、その原因を取り除くことにあ
 るので、「管理水準」も管理一覧に含むとよい。管理水準は一般
 に次の2つからなる。
  a) 中心値:取るべき値の平均値。
  b) 管理限界:取るべき値の限界値。大きい方を上側管理限界、
    小さい方を下側管理限界という。
8)検出した異常については、その原因を追求する必要があるが、
 活動において通常と異なっていたのは何かを調べることが重要で
 ある。したがって、原因調査を容易にするような情報を有効に記
 録として残る仕組みになっていることがよい。