Author Archives: 良人平林

京都議定書 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.31 ■□■

    *** 京都議定書 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

IPCCの第4次レポートが出されて2年が経ちましたが、世界の
GHG排出量削減、排出量取引については、依然として混沌として
います。

今回も宜しくお願いいたします。

■□■ COP15の開催 ■□■

COP15は昨年12月に2週間弱デンマークのコペンハーゲンで開かれ
ました。

COPはConference of the Party ~ の略で、締約国会議と訳されて
います。1992年に国連が定めたUNFCCC(United Nations
Framework Convention on Climate Change:気候変動枠組条約)への
加盟国約190カ国の国際会議です。

COP15とは第15回締約国会議ということです、1995年に第1回が
スタートしました。以来毎年1回開催されていますが、1997年に
京都で開催されたCOP3は京都議定書が作成されたことで有名です。

このCOP3で日本を含む先進国のCO2削減の数値目標が決定され
ました。日本は1990年比-6%という高い数値目標を課せられました。

■□■ 京都議定書の2012年以降が決まらない ■□■

今回のCOP15は先進国と途上国の対立が激しく、ほとんど何も
決まりませんでした。

今回は約130カ国、40,000人が参加したそうです。4万人という
国際会議は想像を絶します。本会議に参加できるのは130カ国の
国を代表する10,000人くらいで、残りの30,000人はいろいろな
サイドイベントへの参加者の数だそうです。

まあ、NGO、環境団体、環境に興味のあるいろいろな各国の人々が
年に1回大集合するお祭りのようなものになっているそうです。

それにしても、中国、インドなどのBRICsと呼ばれる新興勢力の
排出量はぐんぐんと増加してきています。

新興勢力にも削減の数値目標を持ってもらうことが先進国の
一貫しての主張ですが、途上国を含めて新興勢力は「それでは
いままでの先進国の責任を放棄して、途上国に現在の排出増大の
責任を押し付けるものである」として強行に反対しています。

結果、「・・・・・の合意について留意する」という訳のわからない
決議になってしまいました。採択が期待されていた2012年以降の
取り決めは棚上げになってしまったことから、CO2排出権の値段は
下降してしまいました。つい最近まではCO2:1トンが4,000円
という時もありましたが、最近はその半分位になっているようです。

■□■ 排出権を買う ■□■

私は時々ISOの国際会議に出席しますが、今年のある国際会議で
旧知のオーストラリア人から次のような質問をされました。

「IPCC(Intergovernmental Panel on Climate Change:気候変動に
関する政府間パネル)は日本では信用されていますか?」
というものでした。

私は「日本ではIPCCは世界の科学者の集まりで絶大な信用とは
いわないが、ほどほど信頼感のある組織であると思われている」
と返事をしました。

彼は、「なるほどそれで頷ける。私は一昨年日本政府が何百億円も
出してウクライナから排出権を購入するというニュースを
聞いたが、なぜ単なる空気を何百億円も出して買うのか理解
できなかった。」というのです。

私は、この「・・・単なる空気を何百億円も出して買う・・・」
という言葉に引っかかりました。「たしかに空気ではあるが
CO2を削減した権利を買うのだから価値はあると思う。」と反応
しました。

■□■ そもそもIPCCレポートは信用されていない? ■□■

彼は「だから最初IPCCについて聞いてみたんだよ。多分日本政府は
IPCCの第4次レポートを信用しているのだね。あれは相当割り引いて
読まないといろいろ問題を含んでいるよ。」と言うのです。

私もIPCCの第4次レポートは概略ですが読んでいました。
「二酸化炭素は最も重要な人為起源の温室効果ガスである。
二酸化炭素の世界的な大気中濃度は、工業化以前の約280ppm から
2005 年には379ppmに増加した。2005 年における大気中二酸化
炭素濃度は、氷床コアから決定された、過去約65 万年間の自然
変動の範囲(180~300ppm)をはるかに上回っている。」と始まって、
故に地球の大気は温暖化していて、今後いろいろな影響が起きると
結論付けています。

彼は「大気のCO2が増加していることは間違いないが、それが地球
温暖化の原因になると決め付けるのにはまだまだ早計だよ。」
というのです。

「例えば、地球46億年の歴史の中で、氷河期と間氷期が繰返されて
きたことは有名な話だが、この原因は地球の軸が少し傾いていること、
太陽活動が活発化/停滞化することなどから起きていることは長い
歴史が証明していて、必ずしも人為的なCO2増加が温暖化の原因に
なるとはいいきれないよ。」

「IPCCの議長はインドのチャーリーだが、彼はインドに得になること
しか考えていないのだから・・・」

「昨年、オランダからの気象データが改ざんされIPCCの第4次
レポートに都合のよいデータとして使用されたスキャンダルも
あったし・・・」

と、まあ我々日本人があまり知らない情報を随分くれました。
事の真偽はこれまた分かりませんが、少なくとも海外の人は
日本人の人のよさを若干批判的にみていると感じました。

コミュニケーション1 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.30 ■□■

    *** コミュニケーション ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

先日ISO/TC176の国際会議(総会)で1週間コロンビアのボコタへ
行ってきました。

今回も宜しくお願いいたします。

■□■ コロンビア、ボコタ ■□■ 

コロンビアでは入国前に考えていたほど英語が通じませんでした。
入国審査では、スペイン語ができなければきちんとした意志疎通が
できないことがわかりました。スペイン語ができない私にとって、
空港では苦労の連続でしたが、ホテルのフロントでやっと英語が
通じ、ほっとしました。

出発時にボコタは標高2600mの高地にあると聞かされていましたが、
思った以上に寒く体調管理に苦労しました。平均気温が15度との
情報があったので、セーターも用意していきましたが、朝晩は
もっと厚手の衣類が必要でした。

富士山の6合目という高地では、酸素が薄く、アルコールを飲めば
酔いは早く回るし、時差ボケはなかなか取れないし、いつも
何となく疲れた気分でしたが、体調管理に慣れた頃には帰国という
1週間でした。

ボコタでは10年前位に商社の幹部が拉致された事件もあり、
事務局からはできるだけ市街には出ないようにと言われて
いましたので、1週間専用バスによるホテルと総会会場との
往復だけで一切市街地には出ませんでした。

■□■ 「ISO/TC176の総会」とは ■□■

ISOにはTC(Technical Committee:専門委員会)と呼ばれる委員会が
数百あります。TCは3万近いISO発行の規格(標準)を最新化したり、
新規格を審議したりする役割を担い、最終的に国際規格の発行にまで
こぎつける機能を持っています。

私の属しているTCはTC176と呼ばれ「品質マネジメントシステム
:ISO9001」の規格を審議しています。TC176は1981年に176番目の
専門委員会として組織化されました。ちなみに、TC1は1927年に
組織化された「ねじ」の規格を審議する専門委員会だそうです。

それぞれの総会は、原則1年に1回開催されることになっていますが、
今回のTC176の総会は昨年の東京総会(2009年2月)に続くものです。

今回は実質1年半ぶりの総会で、今後のISO9001規格のあるべき姿、
next 10years strategy が大きなテーマでした。

■□■ 今後のISO9001はどうなる ■□■

さて、次回に改訂が予定される9001規格はどのようなものになる
のでしょうか?
既に今年2月には、ロンドンで次回9001規格に関する会議が開催
されています。日本からは出席しませんでしたが、ロンドンでは
次期ISO9001規格をどのようなものにすべきかの議論が行われ
ました。2009年2月の東京総会におけるブレーンストーミングに
つぐ議論でした。

2月ロンドン会議では幾つかの要素についてコンセプトを議論
しましたが、今回はそれらを継続して行うこととISO9001規格への
影響についての考察をまとめる会議となりました。

私は、プロセスの結果/改善/効果性(Results/improvement/
effectiveness) について議論をするグループのリーダーに
なりました。

私のチームは総勢5名、国籍はインド、香港、メキシコ、チェコの
非英語圏(インド、香港は英語圏か?)のグループです。たまたま、
非英語圏の委員だけが集まったわけで、最初からメンバー構成が
決っていたわけではありません。

英語圏の委員はつい自分のペースで話をするために他の委員が
ついていけないことがありますが、今回はお互いがそうした経験を
活かし、じっくりとテーマについて検討することができました。
非英語圏のグループだとはいっても、インド、香港の委員の英語は
他の委員の英語より流暢です。

■□■ 国際会議でのポイント ■□■

言葉の問題は国際会議についてまわる基本的な問題ですが、相手の
言っていることが理解できなければ、そこで即刻「わからない」
と言うことがポイントです。

この「分からない」と言い出すことは若干勇気がいるのですが、
その後ずーっと議論の道筋から外れていってしまうことを考えると、
分からないと思ったタイミングで一言発言することです。

「聞くは一時の恥」とかいいますが、恥でもなんでもなく、
聞いている人の権利であると思わなくてはいけないと感じます。

この点、日本人は奥ゆかしい、遠慮しがち、消極的、内向的など、
いろいろな表現がありますが、兎に角そこで質問する事が重要なの
です。
 

■□■ 大したことを言っていない ■□■

質問すると丁寧な回答が帰ってきますが、こちらの聞き間違え
だったり、相手が勘違いしていたりといろいろなケースがあり
ますが、私のケースでは相手が勘違い、あるいは論理の飛躍、
筋の通らないケースが多くありました。

勿論、相手の発音が不明瞭だったり、こちらの聞き取りが充分で
なかったりするケースも多いのですが、日本語の会話と同じで、
意味が通じなかったらそこで意思疎通を図っていくという
ことが重要であるということが言えます。

それにしても、英語という言葉の飾りに惑わされ、内容の吟味が
されないケースがよくあります。

英語で話されるとなんとなく立派に感じてしまうのは、英語
コンプレックスを持っている日本人の常ですが、内容を確認すると
「たわいもない」ことを言っていることが多くあります。

我々、日本人は論理的な考えで筋を通して議論することに慣れて
いないとよく言われてきましたが、私の経験から言うとそれは
個人的な属性であって、国ごとに傾向があるとはとても思えません
でした。

f)規模及び組織構造 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.29 ■□■

    *** f)規模及び組織構造 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「f)規模及び組織構造」についてお話をしたいと思いま
す。

今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 新幹線の中は情報でいっぱい ■□■

東京から大阪に新幹線で出張しました。飛び乗りでしたので
自由席の3人掛けに座りました。

横の席には30歳くらいの女性2人が座っています。なにやら
甲高い声でおしゃべりをしています。品川から乗ったのですが、
既に満席に近く、イヤだとは思いましたがそこに座りました。

案の定、品川からずーっと、おしゃべりのしぱっなしです。
こちらはパソコンでメールを見ているのですが、集中できません。

席を替わろうと思いましたが、どこも空いていないので、名古屋
までお付き合いするしかないと思っていました。

■□■ 上司は段々よくなるのがいい ■□■

聞こうと思っているわけではありませんが、隣ですし、大きな声で
話しているので自然と聞こえて来ます。

そのうちに「プロセス」という言葉が耳に入ってきました。

「△△ちゃん、結果だけ追ってもだめよ。ちゃんとプロセスを
押さえておかないと。入社そうそう○○さんから言われたんだ
から。」と先輩格の女性の声。

「いいなー、○○さんが上司だったら。××さんなんか最低
なんだから・・・」と後輩らしき女性が応答しています。

「そう、○○さんに付いてよかったと思っているよ。○○さんは
細かなことをいわないのよね。結果だけ示して後は君が自分で
考えてやれって感じで・・・。」

「最初の上司って大切だよね。部下は上司によって育てられるって
いうけど、本当だよね。」

「どうしても上司を比較しない?」
「するする。」
「私は最初の上司が後から考えると最高で、それが普通と思っちゃった
から、その後は結構不幸せ・・・今から思うと段々ダメになっちゃって」
「段々良くなっていけば幸せだったのにね・・・」

■□■ プロセスは次に使える ■□■

「さっきのプロセスって良くわかんない」「だから、結果だけ
ではなく経過も重要だということを教えてくれたわけ・・・」

「経過が大切だってわかるけど、やはり結果が出ないと評価
されないじゃん」
「勿論、そうよ。だけど○○さんが教えてくれたのは、次も
よくするってことなのよ。」

「あっ分かった、経過をとっておけば反省できるってことね。」
「そうそう、プロセスを押さえておけば次にはもっと良くする
ことができるようになる・・のよ。」

「だけど、そんなことをよく○○さん新人に教えてくれたね。」
「新人にそんなことを教えてくれる会社ってそんなにはないと
思うけど、うちは結構小規模だし、フラットな構造だから上と
下が緊密に繋がっているのよ。」

成る程!、プロセスは次に使えるか、いいことを言うなぁと
思わず隣で相槌を打っていました。

■□■ 組織がフラット ■□■

思ったとおり2人連れは名古屋で降りていきました。小奇麗な
今時のファッションで身を包んで、キャリー付きのバックを
引っ張っている姿を見送って、なんとなく嬉しくなりました。

新幹線の車中でこんな話を聞けるとは思ってもいませんでしたが、
組織がフラットということ、もしかすると扱っている製品
(もしかするとサービスか?)が経過を重要視する或いは大切に
せざるを得ない会社なのか、又はそのようなことを重要視する
風土/文化の会社なのか、いづれにしても若い女性社員に
こんな会話をさせるような会社があるのだ、なかなかのものだと
感心してしまいました。

■□■ 規模及び組織構造によって影響を受ける ■□■

ISO9001:2008規格の序文には、組織のQMSの設計は【f)規模及び
組織構造】によって影響を受けるとあります。

会社の組織がフラットなのか重層なのか、1拠点か多拠点か、
工場があるのか事務所だけなのか等、組織のあり方によってQMSの
構築はいろいろな工夫があってしかるべきです。

自分達の組織の構造、規模などは理解していても、その中にいる
人と人の関係、関与の仕方、上司と部下の関係などは組織によって
千差万別です。

それらを一口で風土/文化などと表現しますが、風土/文化は
会社の生い立ち、歴史、トップの考え方等からつくられるもので、
組織の中にいる人にしかみえない部分です。

QMSはこのような組織に固有な風土/文化の部分までを取り込んで
初めて効果が出てくるものです。

神は細部に宿るといいますが、QMSも「効果は細部に宿る」と
思います。人と人が繋がってシステムは成果を出しますが、人のみ
ならずプロセス、手順などが繋がらなければマネジメントシステムは
機能しませんし、効果もでません。

■□■ ISO9001:2008規格序文0.1一般 ■□■

もう一度、序文の次の部分をかみ締めてみましょう。

「組織における品質マネジメントシステムの設計及び実施は,
次の事項によって影響を受ける。
a)組織環境,組織環境の変化,及び組織環境に関連するリスク
b)多様なニーズ
c)固有の目標
d)提供する製品
e)用いるプロセス
f)規模及び組織構造」

プロセス | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.28  ■□■

*** プロセス ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」として
「プロセス」についてお話をしたいと思います。

この前シンガポールとマレーシアに行ってきました。今までにも
何回か訪問しているのですが、両国の発展振り、特にシンガポールの
変貌にはびっくりします。

■□■ 巨大なカジノを建設中 ■□■

マーライオンで有名なシンガポール湾の中(入口)、高さ100メートル
くらいの所に何やら高速道路のような建造物が見えます。

どこへ延びる道かと思いましたら、それは空中に横長に伸びる
建物でした。それは、高速道路建造中と見間違うほどのT字形の
ビルディングで、橋脚に見えたのはビルの一部でした。

ホテルを兼ねたこの巨大なカジノはこの春オープンしたそうです。
国土が極端に狭く観光立国を目指す国にあってこその情景といえます。

■□■ シンガポール建国 ■□■

シンガポールは、約50年前、第二次世界大戦後のイギリス植民地
から独立したマレーシアと一緒の国(マレー連邦)でした。

因みに第二次世界大戦では日本はシンガポールを占領し、昭和の
南の島という意味で「昭南島」と名前をつけて統治しました。
(マレーの虎の異名をもつ山下奉文大将が有名)

マレー連邦から独立したシンガポールは、リー・クワンユー率いる
一党独裁の体制で長い間シンガポールを統治します。
国家としての目標を世界の自由貿易港、金融拠点に置き、明確な
リーダーシップと着実なステップによって近代アジアの模範と
いえる国家を実現させました。

一党独裁への批判はありますが、目標にまっしぐらに進むシン
ガポールのマネジメントのプロセスには参考になるものがある
と思います。

■□■ プロセスによって影響を受ける ■□■

ISO9001:2008「序文0.1一般」には品質マネジメントシステムの
設計に影響を与えるものとして【e)用いるプロセス】がでてきます。

組織の製品が独自なものであるように、組織のプロセスも当然
独自のものになっているでしょう。

ISO9001:2008規格の4.1一般には次の要求があります。
【組織は,次の事項を実施しなければならない。
a)品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの
組織への適用を明確にする(1.2参照)。
b)これらのプロセスの順序及び相互関係を明確にする。
c)これらのプロセスの運用及び管理のいずれもが効果的である
ことを確実にするために必要な判断基準及び方法を明確にする。
d)これらのプロセスの運用及び監視を支援するために必要な
資源及び情報を利用できることを確実にする。
e)これらのプロセスを監視し,適用可能な場合には測定し,
分析する。
f)これらのプロセスについて,計画どおりの結果を得るため,
かつ,継続的改善を達成するために必要な処置をとる。
組織は,これらのプロセスを,この規格の要求事項に従って
運営管理しなければならない。(一部省略)】

■□■ 必要なプロセスとは ■□■

ここで重要なのはa)の「必要なプロセス」という要求です。
シンガポールのリー・クワンユー首相は国家建設に必要なプロセスを
どのように描いたのでしょうか。

組織の責任者は、国家建設ほどの大事ではなくても組織目標を
達成するためにどんなことを行わなければならないか(必要な
プロセス)の計画、実行を当然のことながら行わなければなり
ません。

ISO9001:2008規格では「組織の品質マネジメントシステムに
必要なプロセス」を要求していますので、組織経営全般より焦点は
絞れるはずです。

■□■ プロセスは組織に存在している ■□■

プロセスは組織で行われる活動を意味しています。かつてのTQC
(Total Quality Control:日本式品質管理の代名詞)では
「工程」と言っていました。

TQCでは「工程設計」、「工程レイアウト」、「QC工程表」など
プロセスに替わる用語「工程」を多く使用してきました。

ただ、当時の対象は変化のない無機質な「もの」でした(多くは
物作りの工場で使用された)が、近年、プロセスは多くが変化
する有機的な「ひと」を対象にするようになってきています。

これらの品質マネジメントシステムに必要なプロセスは、組織に
現在確実に存在しています。

どこに、どのようなプロセスが存在しているかは組織の人のみが
知っていることです。

プロセスには階層、レベルがありますが、一度組織のプロセスの
実態調査をし、さらに整理してみると思わぬ改善のネタが
見つかります。

提供する製品 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.27  ■□■

    *** 提供する製品 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は「マネジメントシステムには良い設計が必要」として、
その4【d)提供する製品】についてお話をしたいと思います。

ミャンマーの両替の続きから話を始めたいと思います。

■□■ ブラックマーケットにもいろいろある? ■□■

私はてっきり歩いて行くとばかり思っていましたから、ボーイが
タクシーを呼ぶ身振りをしているのを見てまた不安になりました。

どのくらい遠くへ行くのだろう、そもそもタクシー代も持ち
合わせていないし・・・。

10分くらいメイン道路を走ったでしょうか、とある空き地に
車は止まりました。ここからは歩いていくようです。俺の後を
付いて来いという身振りに従って2、3分路地から路地に入って
いきました。

薄暗い粗末な小屋に着きました。玄関ともいえない入り口に男が
一人立っていました。横を見ると便器が丸見えのトイレと風呂
でしょうか、コンクリートむき出しの、そこから汚水が流れ
出している、何ともいえない臭いの中で両替が始まりました。

■□■ 運転手は日本語を話し出した ■□■

1万円で100ドル貰い(それをホテルでチャットに替える;
なんだかんだといってもまだ米ドルは機軸通貨であることを実感)、
意外と良心的だと思いニコリとすると、いままで苦虫を潰した
ような顔をしていた両替のオヤジがやはりニコリとし、3枚
現地紙幣をくれました(約300円)。

何となく胡散臭い路地から車に戻り、帰路に着いた車内で、
ずーっと無口だった運転手が、急にしゃべりだしました。横浜
伊勢崎町、中華街、神戸、名古屋、東京などすらすらと日本の
地名が出てきます。

自分は60歳になるが、55歳まで船員をやっていて、世界中を
回っていた。日本へも何回も行ったと嬉しそうに話しかけて
きました。

■□■ 提供する製品による影響 ■□■

ブラックマーケットの両替が「製品・サービス」とは、少し
おかしいとも思います(遵法でない)が、政府が公式の両替所を
認めていない以上、我々のような外国人には、やはり貴重な
製品・サービスといわざるをえません。

戦後の日本では一般人が外国通貨を入手できなかったように、
ミャンマーの今日も丁度そのような状況にあるようです。

組織が市場に提供する製品・サービスは、まことに種々さまざま
です。

製品には製品そのものが持つ雰囲気があります。いくら多くの
言葉を使用しても、例えば品位、感性、日常性、家庭内、企業
向け、海外、前向き、成人、危険、安全、突発性、夢など
いろいろな用語を駆使しても伝えきれない多くの雰囲気の要素が
あります。

製品の持つ特徴(と一口ではいえない)、まさしく雰囲気を
適切に把握していないと、マーケットから締め出されてしまいます。

■□■ 製品の自画像 ■□■

皆さんは、自分たちの主要製品の自画像を描いたことがあり
ますか?組織に見えていて顧客に見えないものがあるかと思えば、
顧客だけにしか見えていないものもあります。

組織が思っていたことが、実はマーケットでは異なって受け
止められていたという事例は多くの事例の示すところです。

このような製品のもつ特徴、雰囲気は当然ISO9001:2008の序文の
「0.1一般」の言うように、組織の品質マネジメントシステムに
影響を及ぼします。

■□■ 製品の特徴の及ぼす影響 ■□■

序文0.1一般では、【この規格は,品質マネジメントシステムの
構造の画一化又は文書化の画一化を意図していない】といって
いますが、供給している製品が異なるのですからこの記述は
ごく当然のことです。

製品の特徴が品質マネジメントシステムに与えるであろう影響
には次のようなものがあります。
・製品要求事項が変わる
・資源が変わる
・インフラストラクチャーが変わる
・設計が変わる
・製品の実現化が変わる
・検査が変わる
など、バリューチェーンと呼ばれる「基幹プロセス」に影響を
及ぼします。

反対に影響を与えないものに文書管理、記録の管理、方針・
目標管理、内部監査、データ分析、マネジメントレビューなどは
影響を受けない、いや変えてはいけないものです。

変えてはいけないものとは、「マネジメントプロセス」であり
「支援プロセス」です。