Author Archives: 良人平林

研究テーマは「組織構造分析」 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.11  ■□■
 
      *** 研究テーマは「組織構造分析」 ***

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このメルマガは、(株)テクノファ及び平林良人が何らかの
ご縁でつながった皆様方にお送りさせていただいております。
このメルマガは1万名以上の方々にお読みいただいています。

■□■ 組織のプロセス分析 ■□■

テクノファ代表取締役の平林です。

今回は東京大学大学院工学系研究科の共同研究員のお話を
させていただきます。私は昨年から共同研究員になりましたが、
研究テーマは 「組織構造分析」です。

では宜しくお願いいたします。

■□■ 共同研究員とは ■□■

昨今は、日本の大学においても産学協同が盛んです。アメリカ
の大学は昔から産業界とのつながりを重要視して、大学で創造
されたこと、開発されたことを産業界のビジネスに結びつけて
きました。

大学と産業界の一体となったエネルギーがアメリカの新しい
ビジネスを起こしてきたのですが、一方で大学が実利に走り
すぎて真理探求への力が削がれているとの懸念、指摘もあり
ました。

アメリカはいろいろと言われてはきましたが、日本の産学協同
はアメリカと比べると、掛け声ばかりで、今日に至るまであま
り成果が上がっていないというのが通り相場です。

日本でも、アメリカほどでなくてもよいから、もっと大学と産
業界の結びつけを強くして、お互いが補完し合いながら成果を
上げていくことが期待されているのです。

大学における共同研究員制度は、そのような背景のもとかなり
以前から存在している制度です。

■□■ 組織構造分析とは ■□■

組織とはふしぎな存在で、放っておけばいろいろな問題が起き
ますが、まったくだめな方向に行くかといえばそうでもなく、
誰かがリーダーシップをとってほどほどのところで落ち着き
ます。

組織とは、生物学的にいうと「ほぼ同形・同大で、働きも似通
った細胞の集団で集まって器官を構成する」ものですが、社会
学的には、「社会を構成する各要素が結合し有機的な働きを有
する統一体」であるといわれています(広辞苑)。

また品質管理においては、「責任、権限及び相互関係が取り決
められている人々及び施設の集まり」と定義されています
(ISO9000)。

一般的な広範な概念から個別な品質管理における概念まで
いろいろありますが、共通に言えることに次のようなことがあ
ります。

1.同じものの集まり
  (ほぼ同形・同大で・・・、各要素が結合・・・、人及び
  施設の集まり)。
2.つながっている
  (集団で集まって・・・、有機的な働き・・・、相互関係
    が・・・)。
3.目的をもっている
  (器官を構成する、働きを有する・・・、取り決められて
    いる・・・)。

我々の企業組織も、1、2、3という要素は同じですが、一つ
付け加えなければならないものに「効果的」という要素があり
ます。

「組織とはふしぎな存在で放っておいても誰かがリーダー
シップをとるようになる」と言いましたが、誰かがリーダー
シップをとってくれるのを待っていては競争に負けてしまい
ます。

■□■ 効果的とは ■□■

そこで企業組織には普通ピラミッド型の組織構造があります。
これは古今東西の軍隊組織を真似たもので、組織の最高指揮官
のもと一糸乱れず目標に向かって、組織全体として成果を上げ
ようとするものです。

ただ、軍隊は単純に物理的強さを求めますが、企業組織は経済
的強さを求めるがため、いろいろな要素がからんできます。

企業は市場で勝たねばなりませんが、そのためには収益を
上げ、その収益を投資にむけ、顧客から支持される製品を
開発し、また売上を伸ばすというサイクルを継続しなければなり
ません。

企業が市場で勝つとは、これら一連のことを競争相手よりも
効果的に行うことです。

そのための組織構造とはどのようなものがよいのでしょうか。
必ずしもピラミッド型の組織構造がよいとはいえないのです。

■□■ 最重要課題は「製品」をつくる固有技術 ■□■

他の視点も組織にとって重要です。組織構造はあとからついて
くる課題であって、競争に勝つためにはまず「製品」が優れて
いなければなりません。
市場で顧客から評価される製品、すなわち顧客が買いたくなる
製品・サービスを継続的に市場に提供することが最重要課題
です。

顧客は気まぐれです。市場はいつも動いています。経営環境は
時代と共に変化していきます。

常に変化していく環境に適合した製品を市場に提供し続ける
ことはそれなりの戦略がないと実現することはむずかしいで
しょう。

まずは、製品を開発し、製造(又はサービス提供)していく
固有技術がないと企業は市場で勝つどころか、存在すること
さえ許されなくなってしまいます。

■□■ そして業務の進め方に焦点を当てる管理技術 ■□■

更にいえば、継続的に顧客から評価される製品、サービスを
市場に提供する業務の進め方が重要です。

ここで思い出されるのはISO9001のプロセスアプローチです。
プロセスとは何かという難しい定義は今後のメルマガに譲る
として、プロセスとは簡単に言えば業務のことです。業務の
進め方に焦点をあてる、すなわちプロセスアプローチも私の
共同研究員としての課題です。

そういうことで、私の東京大学共同研究員としての課題と
ISO9001プロセスアプローチとはしっかりとつながっていま
した。

生物多様性 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.10 ■□■
 
      *** 生物多様性 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は生物多様性について話をさせていただきます。来年2010年
には名古屋においてCOP10(第10回締約国会議)が開催される
予定です。

では宜しくお願いいたします。

■□■ 生物多様性とは-1992年環境サミット ■□■

1992年、ブラジルのリオデジャネイロでは有名な「環境サミット」
が開催され、約180カ国の首脳が集まりました。その時の
アウトプットの一つとして有名なのが「気候変動枠組み条約」
です。

現在、世界をあげて地球温暖化防止(CO2排出削減など)に
ついての議論が活発ですが、ことの発端はこの環境サミットに
あったのです。

この気候変動枠組み条約の陰に隠れてあまり知られていません
でしたが、もう一つ締結された条約が「生物多様性枠組み条約」
です。

1992年に締結されたこれらの条約をフォローする国連主催の
会議がCOP(Conference Of Parties)と呼ばれる一連の国際会議
です。

気候変動枠組み条約は今年COP16と呼称されていますから、今年
で16回目の会議になるわけです。生物多様性枠組み条約のほうは、
開催回数が少なかったため来年でCOP10です。

■□■ どうして生物多様性は必要か ■□■

一昨年、アメリカ発の世界金融不況が始まったとき、経済の世界
にも多様性が必要だといわれたものでした。

アメリカ一国の強者が築いた経済世界は、最後はあまりにも脆弱
(ぜいじゃく)であることが露呈してしまいました。

自然の世界でも強者だけでは成り立ちません。世界には3000万
種ともいわれる多様な種が存在し、お互いに影響を与えながら
全体のバランスをとり、結果、自然界を営々と維持しているのです。

例えば、次のようなことがあります。弱肉強食の世界では強者が
弱者を糧にして生きていますが、弱者も強者を糧にしています。
ライオンの死骸を最後にきれいにしてくれるのは、微生物であったり
します。

自然界はお互い持ちつ持たれつつ、バランスを取りながらその
存在を維持しているのです。バランスを取るためには多様性が
必要です。

■□■ 生物多様性とビジネス ■□■

企業組織にとって生物多様性はどんな関係があるのでしょうか。
2007年に環境省がアンケートをとった結果、約70%の日本の
組織は「生物多様性は自分たちのビジネスには関係がない」と
答えています。

私はこの数字をみて、これは面白い数字であると思いました。
多くの企業が生物多様性について興味を持っていないのです。

もし、興味を持たざるを得ない時代が来るとすると、先に理解を
深めていた企業の方がいろいろな意味で有利になると思った
からです。

■□■ 国の施策 ■□■

国としてはどんな施策を考えているのでしょうか。
生物多様性の保全と持続可能な利用に関わる国の施策の目標と
取組の方向を定めた「第三次生物多様性国家戦略」が、平成19年
に閣議決定されています。

次の4つの基本戦略を掲げています。
1.生物多様性を社会に浸透させる。
2.地域における人と自然の関係を再構築する。
3.森・里・川・海のつながりを確保する。
4.地球規模の視野を持って行動する。

■□■ ABSとは ■□■

生物多様性の議論にABSという言葉が出てきます。

ABSとは“Access and Benefit Sharing”の略で「アクセス便益
共有」と訳されています。
これは生物の遺伝についての概念です。

近年、生物の遺伝は人為的に加工できるようになりました。
遺伝子を操作すること(アクセスすること)で多くの便益を手に
入れることが可能な科学的現実があります。

そのため、先進国は開発途上国の種(遺伝子)を金に糸目を
つけず買い漁る傾向が強くなっています。

ABSはそうした傾向に対して、一つの原則を明確にしたものです。
すなわち、遺伝子を操作して得られた便益は、その種を提供した
開発途上国を決められた比率で分けなければならないという
原則です。

この原則は、気候変動枠組み条約のCDM(Clean Development M
echanism:
クリーン開発メカニズム)とよく似ています。CDMにおいても先進国は
開発途上国で手に入れたCO2排出権を独り占めすることは
許されず、開発途上国とある比率で分けなければなりません。

このように、気候変動枠組み条約と生物多様性の二つの条約は、
それらの考え方でお互いに繋がっています。

時空をつなげる| 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.9 ■□■
 
  *** 時空をつなげる ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は、「時空をつなげる」ということで国際会議の話をさせて
いただきます。

では宜しくお願いいたします。

■□■ 時間と空間が切れてしまう ■□■

飛行機に乗っていて、はっと目を覚まします。
頭の中は、一瞬、今自分はどこにいるのだろうかと不安になり
ます。

私は国際会議に行くとき、目的地との間に時差が5時間以上あ
る場合は目的地に着いて直ぐに活動できるように、飛行機に搭
乗したら即刻寝ることにしていました。

しかし、人間のバイオリズム(生物の周期)は簡単には変えら
れません。眠ろうとすると却って眠れません。今まで何百回に
及ぶフライトにおいて、こんなことを何回繰返したことでしょ
う。

いろいろなパターンを試みましたが、最後に落ち着いたのが眠
くなったときに寝るというものでした。

最悪の場合、目的地に着いてから寝るということも出てくるこ
とになり、最初に考えた処方箋とは異なるものになってしまっ
ています。

何とか日本にいるときのリズムをそのまま保ちたいと思うので
すが、なかなか思うようにいきません。しかし、たとえリズム
を保つことができなくても、思考、記憶だけはつなげておきた
いと思っています。

■□■ 自分が変わる ■□■

約40年前、初めて海外へ行ったとき、私は日常生活を脱して
海外へ行けば自分が変わるのではないかと思っていました。

何が変わるのか、変わること自体が何かも自覚していませんで
したが・・・。

しかし、結果は何も変わりませんでした。それからしばらく経
ってようやく気が付きました。

自分は自分であり、環境が変わっても自分は変わらない。
もし、変わりたければ自分を変えなければならないということを・・・。

■□■ ISOとは国際観光協会か ■□■

ISOは“International Organization for Standardization:国
際標準化機構”の略ですが、時々“International Sightseein
g Organization”と揶揄されます。

揶揄されるように国際会議の場所は世界の観光地が選ばれます。

2000年 : 南アフリカ ダーバン
2002年 : メキシコ アカプルコ
2003年 : イギリス ロンドン、ルーマニア ブカレスト
2004年 : マレーシア クアランプール
2005年 : コロンビア カルタヘナ、パナマ パナマシティ
2006年 : アイルランド トラリー、スペイン マドリード、韓国 プザン
2007年 : フィンランド ヘルシンキ
2008年 : セルビア ノビサト

私が2000年から今年にかけてISO国際会議に出席した国々は上記
のとおりです。

ISOの統計によると、ISO/IECにはTC(専門委員会)が200委員会、
SC(サブコミッティ)が500委員会、WG(ワーキンググループ)
は少なくとも2,000位あり、年間を通じて毎日15の会議が世界の
どこかで開かれているそうです。

すなわち、毎日15種類の国際会議がISOの名前の下で開催さ
れているのです。この数には学術会議、学会の国際会議、政府
関係の国際会議などその他いろいろなものは入っていませんの
で、世界で行われている会議は膨大な数になっていると思いま
す。

■□■  ISO9001 規格改正の国際会議 ■□■

ISO/TC176国内対応委員としてISO9001規格改正の国際会議にお
ける議論に直接携わった、弊社代表取締役平林良人が講師を務める
セミナーをご紹介します。

「平林良人による ISO9001新旧規格対比解説と
ISO9001有効活用術 コース」
http://www.technofer.co.jp/training/iso9000/sq14.html

■□■ 国際会議は平常心で ■□■

国際会議へ行っても自分が変わるわけではない、結局自分は
自分でしかないということが分かってから、いろいろと発言する
ことも楽にできるようになりました。

いわゆる、構えることをしなくてすむようになりました。相手
が外国人であろうが、何人いようがいつもの自分で話をするこ
とができるようになりました。

構えると心にへんな緊張感が走ることになり、思った事が言え
なくなってしまうのです。そうすると頭脳もおかしな働きをす
るようで、平常時には思いもしないことを口走ったりするもの
です。

時間も、空間もあたかも継続して繋がっていることを意識して、
日本にいたそのままに振舞うことがパフォーマンスを上げるこ
との秘訣であると思うようになりました。

医療のマネジメントシステム | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.8 ■□■
 
  *** 医療のマネジメントシステム ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は近年話題になっている「医療のマネジメントシステム」
について話をさせていただきます。

宜しくお願いいたします。

■□■ 医療の世界にQMS ■□■

マネジメントシステムは医療の世界にどうして必要なのでしょ
うか。

医療の世界にQMSが必要ではないかとの投げかけは、10年
くらい前からありました。

ここ10年、医療のミスは多くのマスコミに取り上げられ、一
つの大きな社会問題となっています。

組織がマーケットに期待される製品(サービスを含む)を提供
するためには、固有技術とそれを活かす管理技術の双方が必要
ですが、このことは医療の世界においても全く同じです。

医療の質、安全を実現するためには、医療における固有な業務
を可視化、構造化、標準化することが必要ですし、それらの標
準化された業務を組織全体に応用する質マネジメントシステム
モデルの構築が必要なのです。

昨年、東大病院の永井前院長に医療の質についてお話を伺った
ことがありますが、全国の病院でどの位の医療ミスが起きてい
るか、その全貌はまだ十分に見えているとは言えないようです。

医療ミスの定義、医療組織への周知、データ収集、データ分析
などが徹底されないと医療ミスの統計はきちんと取れません。

■□■ QMS-H 研究会 ■□■

3月7、8日と東京大学で行われたQMS-Hシンポジウムの
発表会を聴いてきました。QMS-Hとは“Quality centered
Management System for Healthcare ”の略で正式には「医療
における質中心経営管理システムと導入推進のモデル開発研究
会」というものです。

東京大学飯塚悦功教授が主査、早稲田大学棟近雅彦教授が副査
をつとめている研究会で、多くの病院と大学との産学連動の研
究会です。

月1回、大学で参加病院と研究者の会合が持たれ、医療QMS
モデル開発についての議論と進捗状況が検討されています。

■□■ こんな研究が行われている ■□■

今回の発表は以下のようなものでした。

● QMSの新規導入・推進
  -大久野病院(慢性期療養型病院、174床)
  -仙台医療センター(急性期総合病院、698床)
  -前橋赤十字病院(急性期総合病院、592床)
  -武蔵野赤十字病院(急性期総合病院、611床)
● QMSの継続的導入・推進
  -(株)麻生 飯塚病院(急性期総合病院、1165床)
● QMSの再構築
  -城東中央病院(急性期総合病院、233床)
  -(株)日立製作所水戸総合病院(急性期総合病院、21
5床)

今回のシンポジウムは、病院が質のよい医療を提供するために
はQMSに基づく業務の進め方の研究が必要であるとして、そ
の経過と結果の発表を上述の7病院と大学の両者が行ったもの
です。

QMSに基づく業務の進め方については、次のような研究発表
がありました。
  与薬実施手順書、処方箋監査マニュアル、院内感染対策標
準、クリニカルパスの文書体系・管理について

また、業務で使用する資源についての研究発表では次のような
ものがありました。
  輸液ポンプ、人口呼吸器、ストレッチャー、与薬カート、
自動検査装置などの設備管理、精度管理について

■□■ QMSの構築 ■□■

これらの発表で分かったことは、QMS(Quality centered Ma
nagement System)の構築においては、まず最初に主要業務のプ
ロセスフローチャート(PFC)を作成することが大切である
ということでした。

業務をフローチャートにして関係する者が共有するということ
は、製造業では当たり前ですが、病院ではこれから推進してい
こうという動きです。

まず、病院では標準化という概念が希薄です。理由は、状態の
異なる患者さんを相手にするのだから、工業製品と違って標準
化なんかできないという思いがあるのです。

標準化とは次のことをいいます。
 ・単純化する
 ・少数化する
 ・秩序化する

複雑で、ばらばらなものが無秩序にあったら、どんなものでも
うまくいくはずはありません。

■□■ プロセスフローチャート(PFC) ■□■

病院の業務の可視化、といっても対象はたくさんあります。そ
の業務を構造化し、標準化していくとなると容易ならざる仕事
です。

でも「隗よりはじめよ」と足元の業務からPFCを作成した発
表が多くありました。実際にPFC作成を行ったのは実務をこ
なしている看護師の人たちです。

標準化に取り組むといってもこれまで実際の経験のない人たち
ですから、困惑したことと思いますが、毎日の多忙な業務の中
で困難を極めながらもPFC作成にチャレンジした若い人たち
の姿は感動的でさえありました。

このような事ができたのは、病院長の強いリーダーシップがあ
ったからで、「本当に医者を巻き込むのですか?」と問うと、
「Yes」とはっきり応えてくれるトップがいてくれたからできた
という話でした。

全部で7つの病院と大学の発表を聞いたのですが、私が産業界
で経験したことと全く同じことが遅れてではありますが、やっ
と医療の世界に及んできたのかと感激を覚えました。

今回のシンポジウムに参加して、我々が関係している産業界も
医療の世界もQMSということでは強く繋がっているのだなぁ
と改めて感じました。

ISO/TC176(品質保証)東京総会 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』 Vol.7 ■□■
 
  *** ISO/TC176(品質保証)東京総会 ***

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テクノファ代表取締役の平林です。

今回は2月23日~28日東京で開催されたISO/TC176(品質保証)
の話をさせていただきます。

ところで、前回「今年は名古屋で生物多様性国際会議(COP
10)が開かれる」と書きましたが、来年(2010年)の誤りで
した。お詫びして訂正させていただきます。

では、今回も宜しくお願いいたします。

■□■ 日本では3回目の総会 ■□■

TC176の第26回総会が有楽町の東京国際フォーラムで1週間開か
れました。世界各国から200人くらいの代表が集まりました。

ホスト国の代表として挨拶された東京大学飯塚先生は、「日本
は今回で3回目のホスト国を務めることになる、いかに日本が
ISOを好んでいるかの証拠である、と同時にクレージである」と
いって参加者を笑わせました。

クレージ(crazy)には、夢中になると言う意味と頭がおかしい
という意味の2つがあるから皆が笑ったのですが、前回のホス
ト国経験は2000年の京都総会です。

カナダから来た私がよく知っている委員によると、京都総会で
の晩餐会には舞妓の踊りも披露され好評だったということです
(私も参加していたのですが、記憶は彼方のものになってしま
いました)。

200人規模の国際会議となると、会場代とイベント代(レセプ
ション、夕食会、通信費など)での経費は数1,000万円単位にな
るそうです。

また準備も大変です。ざーっと挙げてみても次のような準備を
しなければなりません。
・会議日程の周知
・会議会場の手配
・滞在ホテルの手配
・会議中休憩場所、お茶手配
・会議用コンピュータ、プロジェクタ、FAX、コピーの手配
・会議周辺の英文地図
・案内役(学生アルバイト)手配
・緊急時対応
・通信
・伝言体制など

まだまだあるのでしょうが、経済的に余裕のある国、あるいは
経済状況の良い時でないとホスト国を務めることはなかなかで
きません。

■□■ 世界的不況の影響? ■□■

今回の参加者は200人と言いましたが、この数は例年の総会参加
者の数を下回ります。

理由は幾つか考えられますが、一つは世界的な不況と円の高騰
であろうといわれています。特に円の高騰については、つい昨
年の総会時(2008年5月、セルビア)では1ドル115円だったも
のが、90円になってしまったわけですから、海外からくる人た
ちには経済的負担が大きかったようです。

次に考えられるのが、ISO9001:2008規格が一段落して、大きな
目玉がなくなったということもあります。

今回の総会でのメイントピックスは次のようなものでした。
・ISO/DIS9004:2008規格を審議してFDISにする。
・ISO19011規格改正の審議をする。
・ISO9001:2008中小企業へのガイドブックを改正する。
・ISO9000:2005規格改正の審議をする
・ISO16949(自動車セクター規格)の改正の審議をする。
・その他

その他には、
ISO10001(品質マネジメント-顧客満足-組織のための行動規
範の指針)
ISO10002(品質マネジメント-顧客満足-組織における苦情処理
の指針)
ISO10003(品質マネジメント-顧客満足-組織における紛争解決
の指針)
ISO10004(顧客満足の測定及び監視、CD又はDISの作成段階)
ISO10005(品質マネジメントシステム-品質計画書の指針)
ISO10007(品質マネジメントシステム-構成管理の指針)
ISO10012(計測マネジメントシステム-測定プロセス及び測定
機器の要求事項)
ISO10014(品質マネジメント-財務的及び経済的便益を実現す
るための指針)
ISO10018(品質マネジメントシステム-マネジメントシステム
における人々の参画及び力量、WD2段階)
ISO10019(品質マネジメントシステムコンサルタントの選定及び
そのサービスの利用のための指針)
IWA2(品質マネジメントシステム-ISO 9001:2000の教育分野へ
の適用の指針)
IWA4(品質マネジメントシステム-地方自治体におけるISO 900
1:2008の適用の指針)
peoples、time/agilityなどの見直し、改正審議などが入ってい
ます。

■□■ オブザーバーが一番多かったのはISO9001 ■□■

総会へはスポンサーとなった日本の関係機関からオブザーバー
の出席が許されました。全部で40人くらいの参加がありました
が、一番人気があったのはISO9001(future revision) でした。

ISOのルールで規格改正から3年間は規格内容を修正することは
できません。したがって、昨年改正されたばかりのISO9001規格
についての議論は、今後どうあるべきかというビジョンに関す
るものとなりました。

ビジョンの議論では、ISO9001規格の内容に含んだほうがよい
と思われる内容として、例えばIT(情報技術)の活用、サプライチ
ェーンマネジメント、リスクマネジメント、CSR(Corporate Social
Responsibility)との連携など、いろいろな意見が出されました。

しかし、今回の総会での議論はあくまでも今後のISO9001規格の
あるべき姿へのブレーンストーミングであって、ここで議論された
ものは集約されたものではなく、従ってそのまま次期ISO9001規格
へ反映されるものではありません。

このように多様な議論が交わされた結果、委員の意見だけでなく
ISO9001規格の利害関係者からも意見を聞いた方がよいのではな
いかという意見も出されました。

利害関係者とは 誰かということになりますが、第三者審査登録を
受けた組織だけではないと思います。 受審組織に加え、消費者、
政府、規制当局、経営者、従業員、株主なども利害関係者です。

■□■ マネジメントシステムの必要性 ■□■

経営者は売上が伸び利益が上がっているうちはそれでよいと考
え、マネジメントシステムの構築の必要性を感じないことがあ
ります。

しかし、本当にマネジメントシステムは必要ないのでしょうか。
議論のなかでは、良い状況にあるときほどマネジメントシステ
ムを構築しておくべきではないかという意見が多かったように
思います。

逆に周りがやっているから自分たちも構築しなければ社会的ス
テイタスが維持できないと考えて、つい形式的なマネジメント
システムを構築してしまうケースもあるようです。

実質のない、形骸化したマネジメントシステムを構築しても百
害あって一利なしであるという意見が多かったと思います。

また、世界的大不況の環境下にあって、マネジメントシステム
構築どころではない、まずは注文をとってこなければならない
という意見も聞かれました。

それに対していやいやこういう時期だからこそマネジメントシ
ステムを見直すべきであるという意見もありました。

マネジメントシステムの有効性・有効活用については
テクノファのセミナーが参考になります。

「平林良人によるマネジメントシステムの有効性向上術」
http://www.technofer.co.jp/training/iso9000/tm01.html

「QMS組織活性化のための組織風土改善コース」
http://www.technofer.co.jp/training/iso9000/tq81.html

しばらくはこのような議論、意見交換がされていくであろうと
思います。猶予期間3年間のなかで次期ISO9001規格のフレーム、
DS(Design Specification)を作成し、2015年の完成を目指して
規格作りをしていくことになりそうです。

ただ、これからはISO9001単独では議論が進みません。
ISO14001規格(環境マネジメントシステム)、ISO27001規格
(情報セキュリティマネジメントシステム)などと整合(規格の構造、
用語の定義、共通要素の統一など)を取って規格作りを進めてい
くことが既に決められています。