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是正処置について-原因究明 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.114 ■□■   
*** 是正処置について-原因究明 ***
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■□■ プロセスアプローチソフト ■□■

Vol.113でご案内したプロセスアプローチソフトに大変大きな反響をいただき、誠に
ありがとうございました。

フォーラム当日、行列に並んでお買い求めいただいた上に、ソフトを使いこなすため
の講習会の参加ご希望も相次いで頂き、大変嬉しい限りです。

講習会については、編集後記でご案内しておりますので、そちらをご覧ください。

■□■ 座ると痛い ■□■

さて、私は昨年10月にISO45001(労働安全衛生)国際会議のためジュネーブにある
ILO(国際労働機構)の立派な本部ビルに行ってきました。

そこでは、ISOとILOの両ナンバーツーが労働安全衛生マネジメントシステム規格の
成功を期待する旨を述べるとともに、互いの組織の協力を約束しました(その会議では
DIS原案を作成しました)。

ところで、その会議の成果報告はまた別の機会に改めてさせて頂き、今日は少し横
道にそれたお話をさせて頂きます。

労働安全衛生の会議だから言うのではありませんが、実は会議で座っていると足腰
にしびれを感じ、時間が経つと痛くて仕方ないという経験をしました。

■□■ 手術が必要? ■□■

帰国してからしばらくは痛いのを我慢して日常生活をこなしていましたが11月初旬の
ある日、とうとう徒歩で駅に行けなくなりました。通常10分歩いて電車に乗るのです
が、そのときは駅に行くのに40分もかかってしまったのです。

この時は、10m歩いては5分休み、また10m歩いて5分休むという状態でした。会社に
着いてから、これはまずいと思いすぐに近くの総合病院に行きました。

■□■ 整形外科医の診断 ■□■

整形外科ですぐにレントゲンを撮り、数分後には写真を前に医師の説明を受けまし
た。

写真を見ると、背骨の4番目の腰椎がちょっと「ずれている」のが分かります。先生
はそれが痛みの原因だといい、これは手術をしないと治りません、と言いました。

■□■ 原因は何か ■□■

「先生、腰椎が「ずれた」原因は何ですか?」私は聞きました。急に手術しなければ
治らない、といわれても直ぐには納得できません。

先生は「加齢です。年を取るとこうなるのです」と言いますが、私は同年齢の人は皆
手術をしないといけないことになるのか、と頭中は疑問で一杯になりました。

「先生、少し考えさせてください、その間はどうすればよいですか?」と聞くと、痛
み止め薬と湿布薬を使用するように言われ最初の診断は終わりました。

■□■ 整体治療院 ■□■

町には整体、整骨医の看板が溢れています。私もこのような状態になるまでは全く
気が付かなかったのですが、こんな状態になって初めて多くの看板に気が付きました

人間は自分の心の在り方で見えるものが異なるとよく言いますが、まさにその体験
をしました。町を歩いている時の目の付け所が全く変わったのです。

ある方から都内に在る整体治療院の紹介を受けました。

■□■ 原因は別にある ■□■

2,3日後さっそくその治療院へ行きました。下着一枚になりベットの上に横たわりま
す。先生は私の両足を交互に縦に、横に、斜めに4,5分動かし、こう言いました。

「これは治ります。骨盤の中にある仙腸関節が損傷しています。これが原因で腰椎
がずれています。」

■□■ 原因と結果の分析 ■□■

私は一筋の光明を見出しました。頭の中にあった疑問の霧が晴れるように雲散しま
した。4番目の腰椎がずれたのには何らかの原因があると思っていたからです。

では、なぜ骨盤の仙腸関節が損傷したのでしょうか。私はその疑問を先生に尋ねま
した。

「数年前に転んでお尻を打ったことがあるはずです?」

「・・・・」

「その時の衝撃が原因で徐々に関節がスムーズに機能しなくなったのです。」

「・・・・」

■□■  何が本当の原因か  ■□■

私は3,4年前までの出来事を思い出そうとしますが、はっきりとあの時とは思い出せ
ません。

ただ、毎朝ジョギングをする際に2,3回転んだことがあります。道には結構段差があ
り、ちょっとした段差にでも年を取るとつまずくのです。

不注意 → 転ぶ → 仙腸関節損傷 → 腰椎のずれ → しびれ
という原因と結果の連鎖が見えてきました。

■□■ 原因の連鎖 ■□■

何か起きた時には原因があります。しかし、原因は一つではありません。原因のま
た原因があるかもしれません。そのまた原因もあるかもしれません。

だからこそ、ISO規格の中には重要な要求事項として「是正処置」の項目があると共
に、私たちも研修の場ではとても重要視して様々な研修コースのカリキュラムの中
に取り入れています。

原因分析のやり方は一つではありません。
そして、誰もができるようになっておくべきものではありますが、やはり知識、経験
によって原因追求の力量差は出てしまいます。

是正処置の意義、効果を改めて考えて頂き、表面的な原因追求ではなく、完治につ
ながるようななぜなぜ分析を皆さんにして頂きたいと思っています。

■□■ 治療の状況 ■□■

根本原因に対策を取らないと物事は解決しません。今回腰椎の手術をしなくて良か
ったと思います。

お蔭様で、今は快方に向かっています。根本原因である仙腸関節に治療を加えてい
るからです。とは言え、診断では完治するのに3~6ヶ月かかるようです。

本年は、焦らずじっくり身体のケアを心掛けて行こうというのが私の新年の目標
です。
皆さまも健康第一で新春の目標計画をお作りください。

プロセスアプローチ支援ツール | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.113■□■   
*** プロセスアプローチ支援ツール ***
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■□■ ソフトウエアを販売 ■□■

今回、第22回テクノファ年次フォーラム(無料、大阪12/16済、東京12/22)では、
「プロセスアプローチ支援ツール」ソフトウエアを特別価格でご提供させていた
だきます。

このソフトには、2015年版で要求されているプロセスアプローチの要素がすべ
て入っています。ISO9001の2008年版からの移行準備にはうってつけの支援ツ
ールだと思います。大阪では多くの方が関心をお持ちいただきご購入くださ
いました。

このソフトウエアは私が監修しましたので、この場でプロセスアプローチ構築の
流れを簡単に説明させいただきます。

■□■ ステップ1 事業プロセス ■□■

最初に、御社の現状の活動を事業プロセスとして一覧表にしていただきます。
ソフトには製造、建設、サービス3業種の事業プロセスのサンプルが収録さ
れています。

事業プロセスとは御社の全員が毎日行っている活動のことを意味しています。
例えば、営業プロセス、設計プロセス、製造プロセス、サービス提供プロセ
ス、人事管理プロセス、経理プロセス、経営管理プロセスなどです。

■□■ ステップ2  QMSに必要なプロセス ■□■

次に、その事業プロセスの中からQMSに関係ないプロセスを除きます。
例えば、上の例でいうと、経理プロセスなどは削除される候補になるかもしれま
せん。もちろん、組織はQMSに関係するプロセスとして経理プロセスをそのまま
適用することもできます。

■□■ステップ3  ISO9001:2015箇条.4.1■□■

3番目に、QMSに必要なプロセスごとにインプット、アウトプット、パフォーマンス
指標、責任/権限、判断基準、方法などを決め、一覧表にします。

ISO9001:2015箇条4.4.1が要求している次の項目に沿っています。

a) これらのプロセスに必要なインプット,及びこれらのプロセスから期待される
アウトプットを明確にする。

b) これらのプロセスの順序及び相互作用を明確にする。

c) これらのプロセスの効果的な運用及び管理を確実にするために必要な判断
基準及び方法(監視,測定及び関連するパフォーマンス指標を含む。)を決定し
,適用する。

d) これらのプロセスに必要な資源を明確にし,及びそれが利用できることを確
実にする。

e) これらのプロセスに関する責任及び権限を割り当てる。

f) 6.1 の要求事項に従って決定したとおりにリスク及び機会に取り組む。

g) これらのプロセスを評価し,これらのプロセスの意図した結果の達成を確実
にするために必要な変更を実施する。

h) これらのプロセス及び品質マネジメントシステムを改善する。

これに関してもソフトには多くの事例が収録されています。

■□■ステップ4 規格要求事項の統合■□■

4番目に、事業プロセスへの規格要求事項の関連付けを行います。
ISO9001:2015箇条5.5.1には「c) 組織の事業プロセスへの品質マネジメントシス
テム要求事項の統合を確実にする」ことが要求されています。

このソフトで一番工夫されているステップです。ソフトが示す8分類された規格要
求事項を御社の決定したQMSに必要なプロセスと関連付けをしていきます。

インプット、アウトプット、パフォーマンス指標、責任/権限、判断基準、方法な
どに関していろいろな気付きを得ることになるでしょう。

■□■ ステップ5 認証審査への準備 ■□■

5番目に、ここまで作成した各種一覧表、文書(タートル図を含む)などを印刷し
て、御社の2015年版の移行審査に備えます。

次の文書類の用意ができます。

1. 事業プロセス一覧表
2. QMS に必要なプロセス一覧表
3. 箇条4.4.1 で要求されているプロセスの要素一覧表(およびプロセス
ごとのタートル図)
4. プロセスと要求事項との関連付け表
5. 適用不可能とする要求事項(存在すれば)とその理由

■□■ ステップ6 フローチャート作成 ■□■

最後に、フローチャートを作成します。これは、ISO9001:2015箇条4.4.1 b)が
要求しているQMSに必要なプロセスの順序および相互作用を表すものです。

御社はここまでの6ステップを踏むことで、2015年版が要求しているプロセスア
プローチに基づいたシステム構築を計画することができます。

ステップの説明はこれで終わりますが、このソフトの特徴を以下に述べます。

■□■ 豊富な事例の収録 ■□■

このソフトには豊富な事例が入っています。例えば、製造、建設、サービス業の
事業プロセス一覧、またQMSに必要なプロセスへのインプット、アウトプット、パ
フォーマンス指標、責任/権限、判断基準、方法など、さらに28業種の活
動名(プロセス名)などが収録されています。

これらの事例を参考にする際には、現在の御社の活動にフィットするように事例
を修正、あるいは事例に追加することが重要です。

■□■ タートル図の採用 ■□■

QMSに必要なプロセスへのインプット、アウトプット、パフォーマンス指標、責任
/権限、判断基準、方法などの決定は、事務局だけでは難しい場合があります

そのような場合には、プロセスの主管部門に決定をお願いすることが
よいでしょう。ソフトからは、個々の主管部門にお願いする図表(タートル図)が
アウトプットされてきます。

■□■ すべての規格要求事項を8種類に分類 ■□■

規格要求事項を事業プロセスに統合することについては、ソフト側ですべての
規格要求事項を8種類に分け、御社が決めたプロセスと比較検討する仕組みを
持っています。

特に箇条7支援にある要求事項は、御社のどのプロセスにも適用可能なのです
が、特に必要とされるプロセスへ適用することで有効なQMSとすることが期待で
きます。

■□■ 適用可能性の検討 ■□■

ISO9001:2015箇条4.3では適用可能性についての要求があります。ステップ4で
御社が決めたプロセスと規格要求事項を比較検討する際に、比較できない規格
要求事項は適用不可能としてソフトウエアは一覧表にして表示します。

その場合、さらによく検討して本当に採用できないのであれば、適用
不可能を正当化する文書を作成することになります。

以上、いろいろ説明しましたが、言葉だけでは理解しがたいところもありますの
で、一度お試しになってください。

組織の能力の実証 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.112 ■□■   
*** 組織の能力の実証 ***
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■□■ お詫びと訂正 ■□■

先の平林良人『つなげるツボ』Vol.111に箇条番号の誤りがありました。箇条4.4
と記述するところを箇条4.1と記述してしまいました。プロセスアプローチの要求
はISO9001:2015箇条4.4に規定されています。

ここに、箇条4.1→箇条4.4に、訂正させていただくと同時にお詫びを申し上げま
す。下記が該当箇所の正しい記載です。

■□■ ISO9001:2015箇条.4.4 ■□■

ISO9001:2015箇条.4.4では、QMSに必要なプロセスのそれぞれに対して、イン
プット、アウトプット、パフォーマンス指標、責任/権限、判断基準、方法などを
決めること、明確にすることを求めています。

■□■ さて、新しい話題です ■□■

ISO9001:2015は、箇条1適用範囲でa)、b)の2つのことを述べています。私はこ
のa)、b)の2つは組織がISO9001を採用する目的だと思っています。以下、箇
条1の文面です。

1 適用範囲

この規格は,次の場合の品質マネジメントシステムに関する要求事項につい
て規定する。

a) 組織が,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品
及びサービスを一貫して提供する能力をもつことを実証する必要がある場合。

b) 組織が,品質マネジメントシステムの改善のプロセスを含むシステムの効
果的な適用,並びに顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への
適合の保証を通して,顧客満足の向上を目指す場合。

この規格の要求事項は,汎用性があり,業種・形態,規模,又は提供する製品
及びサービスを問わず,あらゆる組織に適用できることを意図している。

■□■ a)能力をもつことを実証するとは ■□■

a) 組織が,顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品
及びサービスを一貫して提供する能力をもつことを実証する必要がある場合。

ここでいう実証の原文はdemonstrateです。実証とは、組織は顧客をはじめと
する利害関係者に自分の能力を示威することを意味しています。

「私は顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項を満たした製品及び
サービスを一貫して提供する能力を持っています」と、利害関係者に宣言する
ことを意味しています。

■□■ 第三者は簡単には信じない ■□■

ISO9001:2015は組織委が実証する際に具備すべき要件を規定しています。利
害関係者は、組織が口頭で宣言したり、訴えたりしても簡単には信じてくれま
せん。

多くの人は口頭では信じないのです。QMSを形になったもの(documented
information)で示さないと信用度が低いのです。

■□■ b)顧客満足の向上とは ■□■

b) 組織が,品質マネジメントシステムの改善のプロセスを含むシステムの効
果的な適用,並びに顧客要求事項及び適用される法令・規制要求事項への
適合の保証を通して,顧客満足の向上を目指す場合。

a)に比べこちらの理解はやさしいと思います。QMSを構築することで顧客の満
足を向上させる目的でISO9001:2015を使ってください、と言っています。

■□■ QMSが形になったものとは何か ■□■

今回の改正で品質マニュアル作成の要求は無くなりました。筆者は
無くなった理由は、世界的に品質マニュアルが形骸化したからだと思っていま
すが、品質マニュアルこそがQMSを形にしたものの一つであると考えます。も
ちろん、適切に記述され、組織のQMSを概括して説明している品質マニュアル
であることが前提での話です。

ところで、箇条7.5.1には次のように要求されています。
組織の品質マネジメントシステムは,次の事項を含まなければならない。

a) この規格が要求する文書化した情報

b) 品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,
文書化した情報

■□■ 組織が決定した文書化した情報 ■□■

品質マネジメントシステムの有効性のために必要であると組織が決定した,文
書化した情報にはどのようなものがあるか考えてみたいと思います。以下はそ
の事例です。

設計:設計を行うための手順書、CAD/CAM取扱い手順書(メーカーからの外
部文書)、設計標準、設計参考図書、ノウハウ集、問題事例集、強度計算書、
構造設計ソフトウエア、制定済設計図書、標準部品図、設計プロトタイプ、完
成予想図(建築パース)、実験計画書FMEA文書など購買:購買業務手順書、
取引業者一覧表、業者評価表、プライス表、注文票、発注表、受入検査表、見
積表など製造:製造手順書、指示書、点検票、QC工程表、工程レイアウト、品
質保証体系図、クレーム表、設計フィードバック表、引継表、現物見本、オペレ
ーション表、検査指示書、特性要因図、検査結果表、是正処置要求書、是正
処置表、修理表、修理結果表、点検報告書、妥当性確認票、精度チェック表、
識別表、トレーサビリティ表、保管条件表、メンテナンス指示書、プロセス表、
判断基準、校正表など

上の例はほんの一例にすぎません。
組織は従来からいろいろな部署で多くの文書(記録)を活用してきています。そ
れらを適切に管理することは、組織の能力を実証するうえで極めて重要なこと
です。ISO9001の要求している文書類は、組織で必要とする文書のわずかな
部分にすぎません。

プロセスアプローチが基本 | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.111 ■□■   
*** プロセスアプローチが基本 ***
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■□■ ISO9001:20153つの概念 ■□■

ISO9001:2015には3つの概念があります。プロセスアプローチ、PDCA、リ
スクに基づく概念です。その中でもプロセスアプローチが基本の概念であると
説明されています。

■□■ 事業プロセス ■□■

ISO9001:2015には初めて「事業プロセス」という用語が出てきます。私は組
織の現状の業務を事業プロセスと呼んでいると思っていますが、これは組織
の全員が毎日行っている活動です。

例えば、営業プロセス、設計プロセス、製造プロセス、サービス提供プロセ
ス、人事管理プロセス、経理プロセス、経営管理プロセスなどです。このプロ
セスの名称は組織によって異なるでしょうが、どんな組織でも事業計画推進
のためにいろいろな活動を全員が毎日行っています。

■□■ QMSに必要なプロセス ■□■

ISO9001:2015は、その事業プロセスの中からQMSに必要なプロセスを明
確にすることを求めています。例えば、上の例でいうと、経理プロセスは組織
によってはQMSに必要でないプロセスと考えるかもしれません。組織によって
はQMSに関係あるプロセスとして経理プロセスを考えるかも知れません。

■□■ ISO9001:2015箇条.4.1 ■□■

ISO9001:2015箇条.4.1では、QMSに必要なプロセスのそれぞれに対して、
インプット、アウトプット、パフォーマンス指標、責任/権限、判断基準、方法
などを決めること、明確にすることを求めています。
(編集注記: 正しくは「ISO9001:2015箇条.4.4」の箇条となります)

■□■ QMS要求事項の統合■□■

ISO9001:2015箇条.5.1では、トップマネジメントに対して、「事業プロセスへの
QMS要求事項を統合すること」を要求しています。私は規格の要求事項など
を日常の業務に入れ込むことでQMSの形骸化を防ぐことを求めていると考え
ています。
このことで組織のQMSパフォーマンスが向上することに繋がることを期待しま
す。

■□■ 認証審査への準備 ■□■

ISO9001:2015への移行に当たっては、このプロセスアプローチが今まで以
上に強化され、適切に構築、運用されているかが認証審査のポイントの一つ
になると思います。

移行審査への準備に当たっては、ISO9001:2015箇条.4.1に沿って各種要
求事項が適切に計画され、実施に移されているかを組織自身が確認すること
が必要でしょう。
(編集注記: 正しくは「ISO9001:2015箇条.4.4」の箇条となります)

■□■ プロセスオーナー ■□■

プロセスオーナーという言葉があります。これはプロセスの主管部門を意
味している用語です。例えば、設計プロセスならば設計課、製造プロセスなら
製造課ということになります。

QMSに必要なプロセスへのインプット、アウトプット、パフォーマンス指標、
責任/権限、判断基準、方法などの決定は、事務局だけでは難しい場合があ
ります。

そのような場合には、プロセスの主管部門(プロセスオーナー)に決定をお
願いすることがよいでしょう。

■□■ 規格要求事項を事業プロセスに関連つける■□■

事業プロセスに規格要求事項を統合するという要求に対しては、すべての
規格要求事項を組織が決めたプロセスと結び付けてみるとよいでしょう。

箇条8.3設計・開発は設計課、8.5製造及びサービス提供は製造課あるい
はサービス提供課という具合です。

■□■箇条7は全ての事業プロセスに関連する■□■

しかし、箇条7の要求は特定のプロセスオーナーに関連しません。すべて
の事業プロセスに関連します。

7.1 資源
7.2 力量
7.3 認識11
7.4 コミュニケーション
7.5 文書化した情報

■□■ 適用可能性の検討 ■□■

ISO9001:2015箇条4.3では適用可能性についての要求があります。組織が
決めたプロセスと規格要求事項を関連付ける際に、関連しない規格要求事項
は適用不可能の可能性があります。

その場合、さらによく検討して本当にその要求事項を採用できないのであ
れば、適用不可能を正当化する文書を作成しなければなりません。

再び設計開発について | 平林良人の『つなげるツボ』

■□■ 平林良人の『つなげるツボ』Vol.110 ■□■   
*** 再び設計開発について ***
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■□■ 設計は図面というイメージが強い ■□■

設計というと「図面を書くというイメージ」が強いが、ISO9001でいう設計・開
発はそれだけではありません。

サービス業における活動においては、図面は書かなくても計画を立てるこ
とはよくあります。それらの計画の内容が新商品、新製品に関するもので
あれば、その計画行為はISO9001が定義する設計開発にあたります。

ISO9000:2015には設計・開発に関して次のようにあります。

「対象に対する要求事項を、その対象に対するより詳細な要求事項に変換
する一連のプロセス」

■□■ くい打ち工事には設計がある ■□■

先日、超ISO起業研究会で飯塚東大名誉教授との懇談会が開かれました
。そこでは設計・開発について「くい打ち工事」を例にしてざっくばらんな議
論がなされました。
専門家も加わり自由闊達に意見交換が行われましたが、いろいろな切り
口が出ました。

設計プロセスは無いという意見。

A.くい打ち工事は国交省の認定工法であり、施工のやり方は決まってい
るので施工者には設計をする余地はない。

設計プロセスは有るという意見。

B.くち打ち工事の実施の仕方については、詳細なことになると決めておか
なければならないことが多くあり、それを決めることは設計にあたる。

なお、ここで議論をくい打ち工事を対象にしている意図は、たまたま社会的
な問題になったことで、事例として取り上げることで多くに人に理解しても
らえると思ったからです。

■□■ A(設計は不要)の意見 ■□■

今回のくい打ち工事は、大臣認定を取得した「ダイナウィング工法」で施工
していたと聞くが、大臣認定工法はやり方が決められているので、やり方
を守らなかったという問題はあるかもしれないが、施工者が工事のやり方
を設計するという余地はない。

ちなみに、大臣認定されたダイナウィング工法の作業フローは次のとおり
である。

 1.掘削作業
   -掘削ロッドの鉛直度を確認・調整
   -掘削液をビットの先端から吐出
   -地盤に適した速度に調整

 2.支持層の確認
   -ボーリング調査結果の確認
   -試験杭時、試掘削にて土砂を採取し土質標本と照合
   -オーガ※モータ電流値の変化傾向による支持層の推定

※建設機械の1つでスクリュー等を回転させて地中に穴を掘っていく機械

 3.根固め部の築造
   -セメントミル注入
   -流量計で注入量を計測・記録

 4.オーガ引上げ
   -拡大掘削径による引上げ

 5.杭埋設
   -杭の建込及び埋設
   -杭の定着

■□■ B(設計は必要)の意見 ■□■

一般論として、施工をする場合には、今回のくい打ち工事に代表されるよう
に手順が決められていたとしても、さらに詳細な要求事項への変換が必要
ではないか。施工仕事が達成しなければならない品質を確保する上で、「
対象に対する要求事項を,その対象に対するより詳細な要求事項に変換
する一連のプロセス」(ISO9000:2015箇条3.4.8)が必要である。

今回のくい打ち工事の事例を見ても、大臣が指定した作業フローだけでは
品質確保されないと思う。

たとえば、2.支持層の確認には「オーガモータ電流値の変化傾向による
支持層の推定」とあるが、より詳細な要求事項に変換が必要であろう。

同様なことは1~5の各要求事項でも言えるのではないか。
   
■□■ 一般に施工にも設計・開発プロセスはある ■□■

AとBのグループに分かれて自由な議論を交わした結果、飯塚先生を含め
て次のような結論になりました。

何事もそうであるが、従事する人にはそれなりの力量が必要とされます。
したがって、施工者の技能が重要になりますが、同時に従事する人が多
数いても、同じ工事品質が得られる工夫も必要であり、大臣認定の要求事
項はさらに詳細化する必要があります。

たとえば、くい打ち工事では次のような詳細化された要求事項が必要では
ないでしょうか。

1.掘削ロッドの鉛直度はどのように調整するのか。
2.地盤に適した速度はどのように調整するのか。
3.ボーリング調査結果を確認して何を行うのか。
4. 試掘削で土砂を採取し土質標本と照合する場合の基準は何か。   
5.オーガモータ電流値による支持層の推定にはどんなやり方が必要か。
  例えば、雨に濡れないようにするとかの注意事項が必要。
6.セメントミル注入時の注意事項は何か。
7.オーガ引上げ時の注意事項は何か。
8.杭の長さが足りなかった場合、どのような対応をしなければならないの
か、など

次回の懇談テーマを検討した結果、「リスクの特定と品質目標」
となりました(箇条6.1.2と6.2.2の関係)。

■□■ 箇条6.1.2 リスクへの取組み ■□■

リスク及び機会は次のような取組み計画を作る必要があります。

a) 決定したリスク及び機会への取組み
b) 次の事項を行う方法

1) その取組みの品質マネジメントシステムプロセスへの統合及び実施
(4.4 参照)
2) その取組みの有効性の評価

リスク及び機会への取組みは,製品及びサービスの適合への潜在的な影
響と見合ったものでなければならない。

■□■ 箇条6.2.2 品質目標の達成計画 ■□■

品質目標にはa)からe)に実行計画の規定があります。

a)  実施事項を決定する。
b)  必要な資源を決定する。
c)  責任者を決定する。
d)  実施事項の完了時期を決定する。
e)  結果の評価方法を決定する。