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「パフォーマンスの改善」(第66回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第66回

表13.1 伝統的(縦)カルチャーとシステム的(横)カルチャーの比較(p.177)

伝統的カルチャー システム的カルチャー
意志決定は部門ニーズによりおこなわれる。 意志決定は顧客ニーズとプロセスのニーズによりおこなわれる。
部門間の相互関連は非常に少ない。 部門間の相互関連は強い。
ほとんどの要員は自分達が働いている機能(部門)のことだけを理解している。 要員は「全体像」と、自分達が協力する必要がある他部門が行っているビジネスを理解している。
要員は彼らの部門の内部顧客と供給者の特徴とそれとの繋がりのことを知らない。 要員は自部門を他部門に繋げるインプットとアウトプットを知っている。
機能(部門)間の相互関連は対立的になりがちである。 部門間の相互関連は「win-win」となる問題解決と意志決定に焦点を合わせている。
他機能(部門)は競争相手である。 他部門は協力的なパートナーである。
部門の評価指標が、部門を他の部門から切り離している。 部門評価は、直接の顧客とシステム全体に対する貢献を反映しておこなわれる。
部門は他部門の犠牲の上に見かけ上の業績を上げられる。 部門は組織全体への貢献を通じてのみ業績をあげることができる。
結果だけが評価され運営管理される。 結果とプロセスが評価され運営管理される。
システムは問題があるときだけ吟味される(役に立つ間は、直さない)。 システムは絶えず分析され改善される(もっと良いものができる)。
情報が定常的に部門間で共有されていない。 互いに関心の情報は部門間で必ず共有されている。
マネージャーは要員に他部門の仲間と直接に問題を解決させない。マネージャーは指揮命令系統を通して問題が提起されることを期待する。 マネージャーは要員が他部門の仲間と一緒に問題を解決することを奨励する。
要員が意志決定にかかわることはないか、又はせいぜい部門の意思決定どまりである。 すべての階層の組織横断的なチームは、重要経営問題を検討するために頻繁に集められる。
要員への報酬は部門への貢献に応じて支払われる。 要員への報酬は組織への貢献に応じて支払われる。

表13.2 システムマネジメント質問(p.178)

組織的戦略に連係した自部門の戦略を持っていますか?
自部門の内部顧客、外部顧客のすべてを特定できますか?
自部門の製品とサービスのすべてを知っていますか?
自部門の製品とサービスに対する顧客要求事項を知っていますか?
自部門の製品とサービスが顧客要求事項にどれくらい合っているかに基づいてパフォーマンス評価をしていますか?
自部門への内部供給者、外部供給者を特定できますか?
供給者によって自部門に提供される製品とサービスに対して明確な目標を確立していますか?
組織横断的プロセスにおける自部門の役割を文書にしていますか?
自部門を組織横断的なプロセスへの貢献の程度によって評価していますか?
自部門が関わるプロセスの「上流」のパフォーマンスを評価していますか?
効果的かつ効率的に情報を集めて、必要とする要員に知らせるような追跡とフィードバックの仕組みを持っていますか?
自システムにおけるパフォーマンスのギャップを解決する(根本的原因を取り除く)スキルを持っていますか?
自部門と他部門、自部門の中の「サブユニット」間のインタフェース(空白)を改善するのに、あなたの時間の多くを費やしていますか?
あなたの部門の要員は、プロセスの効率と効果への貢献が最大に成るような業務の設計、目標、フィードバック、表彰、資源、及び教育研修の環境の下で働いていますか?

要約

システムとして組織を運営管理することは、本書のテーマである9つのパフォーマンス変数(variable)を理解し、管理することを含みます。業務システムは組織レベル、プロセスレベル、及び業務/遂行者レベルにおけるインプット、アウトプット、及びフィードバックで構成されています。3レベルの各々で、システムは明確で適切な目標、論理的な設計、及びマネジメントのサポートを必要とします。
パフォーマンス評価指標はシステムの神経格子を提供します。3レベル評価システムは、結果を見る窓以上のものを提供します。結果に影響を及ぼすこれらの要素を監視し改善することによって、マネージャーはシステムを改善することができ、また変化を起すのに何が必要かを理解することができます。
マネージャーは、彼らのビジネスを理解すること、業務遂行のために他部門と協力すること、部門の最適化よりもプロセスの共通の利益を優先させること、要員にそのシステムに対して最大の貢献をさせ彼らを強化させるようなヒューマンパフォーマンスシステムを作ることによって、システムマネジメントカルチャーの英雄になります。