ISO情報

2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方(第32回)

平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第32回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

8.5 改 善
8.5.1 継続的改善

品質管理責任者は,4.1「品質マネジメントシステムの概要」に示す品質マネジメントシステムプロセス図(図-4.1-1,図-4.1-2)のフローを継続的に実施することにより,品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善する。

P ・品質方針      ←―――――――――――――― A ・マネジメントレビューM
  ・品質目標                        ・是正処置/予防処置
 ・品質マネジメントシステムの計画                  ↑
     |                              |
     |                              |
     ↓                              |
D ・責任及び権限,内部コミュニケーション        C  ・内部監査
  ・資源の運用管理   ――――――――――――――→   ・プロセスの監視及び測定
  ・製品の実現                       ・データの分析

8.5.2 是正処置

  • (1)適用範囲
  • 当社の建設活動で発生する不適合の再発を防止するために,不適合の原因を除去する活動に適用する。
  • (2)責任者
  • 是正処置の責任者及び実施者は下表による。
  • 責任者 実施者
    品質マネジメントシステム 品質管理責任者 各部門長
    設計品質 建築部設計課長 設計責任者
    購買品質 建築及び土木工事課長 購買担当者及び現場責任者
    施工品質 現場責任者 現場責任者
    維持保全品質 建築及び土木部工事課長 建築及び土木部保全担当者
  • (3)実施事項
      是正処置の責任者及び実施者は,下記の項目を実施する。
    • 1)顧客の苦情及び不適合に対する情報の収集と評価
    • 2)不適合の原因の特定
    • 3)不適合再発防止活動の必要性の評価
    • 4)必要な是正処置の決定実施
    • 5)実施した是正処置の結果の記録作成
    • 6)実施した是正処置の評価
  • 実施の詳細は「是正処置規定」に定める。

8.5.3 予防処置

  • (1)適用範囲
  • 当社の建設活動で発生する可能性のある不適合の発生を防止するために,不適合の原因を除去する活動に適用する。
  • (2)責任者
  • 予防処置の責任者及び実施者は下表による。
  • 責任者 実施者
    品質マネジメントシステム 社長 品質管理責任者
    設計品質 建築部設計課長 設計責任者
    購買品質 建築及び土木部長 建築及び土木部工事課長
    施工品質 建築及び土木部長 現場責任者
    維持保全品質 建築及び土木部工事課長 保全担当者
  • (3)実施事項
  • 予防処置の責任者及び実施者は,下記の項目を実施する。
    実施する予防処置は,起こり得る問題の影響度に相応しい程度とする。
    • 1)発生の可能性のある不適合及びその原因の特定
    • 2)不適合の発生を予防するための処置の必要性の評価
    • 3)必要な予防処置の決定及び実施
    • 4)実施した予防処置の結果の記録作成
    • 5)実施した予防処置の評価
  • 実施の詳細は「予防処置規定」に定める。

8.6 マネジメントレビュー
8.6.1 一般

  • (1)社長は,原則年1回(年度末で,次年度の運営計画策定前)マネジメントレビューを「品質関連会議体規定」に基づき実施する。
  • (2)マネジメントレビューは,品質マネジメントシステムが継続して適切であり,妥当であり,効果的であるために実施する。
  • (3)マネジメントレビューでは,品質方針,品質目標,品質マネジメントシステムの改善及び変更の必要性を評価する。
  • (4)マネジメントレビューの記録は品質管理責任者が作成し,社長が承認後部門長及び部署長に周知する。

8.6.2 マネジメントレビューへのインプット
品質管理責任者は,マネジメントレビューにおけるインプット情報を下表の様に収集し活用する。

インプット情報 情報収集の方法 担当部門・部署
1.品質目標の達成状況 運営計画・実施計画の半期ごとの実施状況の監視 品質環境安全部(品質管理課)
2.内部監査・外部監査の結果 内部監査・外部監査の指摘状況 品質環境安全部(品質管理課)
3.顧客満足度調査の結果 竣工後半年、1年,2年検査時の施主ヒアリング 営業部,建築部(設計課及び工事課)及び土木部(工事課)
4.後請等の不具合発生状況 後請及び不具合発生報告書 品質環境安全部(品質管理課)
5.予防処置及び是正処置の状況 予防処置,是正処置報告のシート 品質環境安全部(品質管理課)
6.以前のマネジメントレビューのフォローアップ活動 運営計画・実施計画の展開及び実施状況の監視 品質管理安全部(品質管理課)
7.品質マネジメントシステムに影響を及ぼす可能性のある変更 経営資源及び組織の変更についての報告 総務部(企画課,人事課)
8.品質関連システムやプロセスの改善に対する提案 改善提案(トップヒアリングを含む) 品質環境安全部(品質管理課)

8.6.3 マネジメントレビューからのアウトプット
品質管理責任者は,マネジメントレビューからのアウトプットに次の各項目を含める。

  • (1)品質マネジメントシステム及びプロセスの有効性を改善するための方策
  • (2)品質方針及び品質目標の見直し
  • (3)顧客要求事項に関連する製品(建築物,構造物)の改善
  • (4)必要な経営資源