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品質マニュアルの作り方(第30回)

平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第30回

4.4.2 設計及び開発の計画

  • ☆設計計画の制定について記述する。
  • 1. 設計計画は設計部長が,企画室の制定する新商品推進計画に基づき年間計画として事業年度当初に制定する。
  • 2. 設計計画には,新商品である製品の特性ごとに活動テーマ,担当,スケジュールが含まれ,開発部長と技術部長の合議を必要とする。
  • 3 .設計部長は技術部長と協議の上,設計計画に基づいて新製品商品化計画を制定して,関係部門に連絡する。

4.4.2.1 活動の割当て

  • ☆設計のテーマに適格な人の割当てについて記述する。
  • 1. 設計計画に制定された活動テーマには,そのテーマを推進するにふさわしい力量のある設計担当者を割り当てる。
  • 2. テーマにふさわしい力量は,設計課長が教育訓練標準(KHR 103)に定められた資格能力から見て判断する。

4.4.2.2 組織及び技術上の相互関連

  • ☆特に技術部,製造部,品質保証部との相互関係について記述する。
  • 1. 技術部との相互関係】設計活動は設計部のリーダーシップのもと技術部と協働して推進される。設計部は,製品企画書制定,製品仕様書制定,設計,設計試作を担当する。技術部は技術標準書制定(加工図面,整備仕様書など),量産試作を担当する。
  • 2. 製造部との相互関係:設計部は,新製品の設計を推進するにあたり,過去の類似製品の問題点を製造部と協働して拾い上げる。
  • 3. 品質保証部との相互関係:品質保証部は,新製品の市場における安全性,法規対応を調査し,設計部にレポートする。また製品仕様書,技術標準書に基づき部品受入検査標準(KQM 107),工程内検査標準(KQM 108),製品出荷検査標準(KQM 109)を制定する。
  • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
     部品受入検査標準  KQM 107
     工程内検査標準   KQM 108
     製品出荷検査標準  KQM 109
     教育訓練標準    KHR 103
     設計計画標準    KDR 106
     試作評価標準    KDR 107

4.4.3 設計へのインプット

  • ☆設計にインプットする事項を明確に記述する。設計へのインプットは次のものである。
  •  ① 性能特性、たとえば環境条件,使用条件,信頼性など
  •  ② 官能特性、たとえばスタイル,色,味,匂いなど
  •  ③ 据付特性、たとえば大きさ,重さ,取扱いやすさなど
  •  ④ 法的規制
  •  ⑤ その他
  • ①~③については設計部が企画室,開発部と協働して製品企画書にまとめる。④は品質保証部が製品企画書に基づき調査を行い,設計部にレポートする。

4.4.4 設計からのアウトプット

  • ☆設計からアウトプットする事項を明確に記述する。設計からのアウトプットは次のものである。
  •  ① 製品仕様書
  •  ② 設計図面(試作図面,量産図面)
  •  ③ 設計計算書
  •  ④ 試作品

4.4.5 設計検証

  • ☆設計審査,試作品評価,計算確認などの設計アウトプットを検証する手段を記述する。設計業務の業務ステップにおける次の段階で設計のアウトプットを検証する。

4.4.6 設計変更

  • ☆設計変更する方法を明確に記述する。
  • 1. 設計部は設計図面の変更をするときには設計通知をもって周知する。この場合,最初に設計を実施した組織(チーム,課)が審査,承認,改定を行う。
  • 2. 技術部は設計変更通知を受けて,必要がある場合には技術通知を発行して技術標準書の変更管理を行う。
  • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
     設計通知管理標準  KDR 108
     技術通知管理標準  KTM 103

4.5 文書管理

4.5.1 文書の承認及び発行

  • ☆文書の管理,承認,発行,廃止の手続きについて記述する。
  • 1. 文書の管理:品質マニュアルは品質保証部が管理する。品質システムに関わる他の文書類は発行部門が台帳を作り登録管理する。
  • 2. 文書の承認:文書の承認は文書ごとに規定された標準に定められた承認者が行う。
  • 3. 文書の発行:文書の発行にあたって発行部門が配布先管理と改訂管理を行う。
  • 4. 文書の廃止:廃止または変更された文書は次のいずれかの処置をとる。
  •  ① 発行元が回収する。
     ② 受領先で廃棄する。

4.5.2 文書の変更・改訂

  • ☆文書変更時の管理,承認,発行,改訂の手続きについても記述する。
  • 1. 文書の変更は最初に文書を制定した組織(チーム,課)が行う。
  • 2. 文書の発行部門は管理台帳に改訂履歴を記録する。
  • 3. 文書の発行部門は変更内容を通知文書に記述し,変更された文書のページと一緒に配布先に配る。
  • 4. 文書の変更が度重なりわかりづらくなった場合には,全ページを見直して再発行する。
  • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。

     文書管理標準      KAS 101
     品質関連文書管理標準  KQM 110