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品質マニュアルの作り方(第32回)

平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第32回

4.9 工程管理

4.9.1 一般

  • ☆作業指示書,設備仕様書,品質計画書,出来映え基準などについて記述する。
  • 1. 技術部は,設計図面に基づいて加工図面を制定する。
  • 2. 製造部は,加工図面に基づき,作業指示書を作成,制定する。この作業指示書には検査規格も含まれる。
  • 3. 品質保証部は,製造部の制定した作業指示書のなかに含まれている検査規格の制定と認証を行う。
  • 4. 作業指示書の制定は,作業指示書制定標準(KPT102)に加えて標準書制定標準 (KQM106), 品質関連文書管理標準(KQM 110)に従う。
  • 5. 技術部は,製造に必要とする機械,設備,計測器,治工具類の仕様を制定し,発注手配をする。
  • 6. 製造部は,技術部が手配した機械,設備,計測器,治工具類の据付けを実施し,これら機械設備類の日常点検標準を制定する。
  • 7. 製造部は,工程ごとに定められた加工図面に基づきQC工程表を制定し,工程における品質の作り込みを確実に行う。
  • 8. 品質保証部は,作業指示書のなかで「限度見本による」と規定されている特性については,出来映え基準としての限度見本を制定する。
  • 9. 製造部は,量産時における工程異常処理標準(KPT104)と,4M変動管理標準 (KPT105)を制定し,その標準に基づいて工程を管理する。
  • 10. 工程における最終検査は品質保証部制定の検査規格制定標準(KQM 112)に基づいて実施する。
  • 11. 完成した製品のロット識別番号などの管理は品質保証部制定のロット管理標準 (KQM 115)に従う。
  • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
  •  加工図面管理標準   KTM 105  機械設備日常点検標準  KPT103
     作業指示書制定標準  KPT 102  QC工程表標準      KQM 113
     標準書制定標準    KQM 106  限度見本制定標準    KQM 114
     品質関連文書管理標  KQM 110  工程異常処理標準    KPT 104
     検査規格制定標準   KQM 112   4M変動管理標準     KPT 105
     機械設備仕様書標準  KTM 106  ロット管理標準      KQM 115

4.9.2 特殊工程

  • ☆特殊工程の存在の有無と,存在する場合にはその工程管理について記述する。
  • 1. 技術部は,特殊工程をISO9001 (JIS Z 9901)に述べられている「事後の製品の検査及び試験ではその結果が十分に検証できない,また,例えば製品の欠陥が製品の使用段階においてしか現れないような工程」と定義して,特殊工程管理標準(KTM 107) を制定する。
  • 2. B事業部には現在,特殊工程は存在しない。(あるいは)B事業部には現在,次の2つの特殊工程が存在する。
  •  ① メッキ工程
  •  ② 溶接工程
  • 3. 製造部は,特殊工程の管理を特殊工程管理標準(KTM107)に基づき管理する。
  • 4. 特殊工程に従事する者は,その工程について特別訓陳を受けており,製造部にはその訓練の記録が保管されている。
  • 5. 製造部の特殊工程の作業記録は3年間,保管する。
  • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
  •  特殊工程管理標準  KTM 107

4.10 検査及び試験


4.10.1 購入検査及び試験

  • ☆受入物品の検査および試験について記述する。
  • 1. 品質保証部は購買要求書発行標準(KBJ101)によって外部から購入した物品(部品,サブ組立ユニット,市販品など)の購入検査を部品受入検査標準(KQM107)に基づいて実施する。
  • 2. 受入検査および試験は,検査実績,下請負契約者工程管理,製造工程品質実績などから判断して無検査に移行できる。この無検査移行への判定は品質保証部が行う。
  • 3. 外部から購入した物品は,受入検査が終了するまで製造工程には投入しない。
  • 4. 生産管理部は,緊急に製造するためにやむなく製造部へ物品を投入する場合は,その部品名,コードナンバー,ロットナンバーを明確に記録してから,製造部に物品を移行する。この場合,品質保証部では並行検査を行い,不合格の場合には直ちに回収の手続きをとる。

4.10.2 エ程内の検査及び試験

  • ☆行程内の検査,試験について記述する。
  • 1. 製造部は,工程品質管理標準(KPT101)に基づき工程内の検査,試験を実施する。
  • 2. 製造部は,定められた工程内検査が終了するまで製品を後工程に流動させない。
  • 3. 工程内で発見された不適合品は,その不良内容を「工程流動票」に明示の上,確実に隔離をし,記録として残す。
  • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
  •  購買要求書発行標準  KBJ 101
     部品受入検査標準   KQM 107
     工程品質管理標準   KPT 101

4.10.3 最終検査及び試験

  • ☆工程内の最終検査,試験について記述する。
  • 1. 製造部は,製造工程の最後に位置する完成品検査を“最終検査,試験” と位置付け, 品質保証部制定の製品出荷検査標準(KQM 109)に基づいた全数検査を行う。
  • 2. 製造部は,最終検査,試験が終了するまで製品を後工程に流動させない。
  • 3. 最終検査で発見された不適合品は「工程流動票」に明記の上,現品に識別表示をして,隔離する。
  • 4. 品質保証部は,製造部とは独立して製品の出荷検査を行う。 これは製品出荷検査標準(KQM109)に基づくもので,抜取検査である。
  • 5. 出荷検査は全ロットを対象とするが,検査実績によって,製造部の実施した最終検査のデータを監査する監査検査へと移行することができる。この決定は品質保証部が行う。
  • 6. 出荷検査終了後,品質保証担当課長またはその代理者が出荷可否の判定を行う。

4.10.4 検査及び試験の記録

  • ☆受入検査,工程内検査,最終検査の記録について記述する。
  • 1. 購入検査結果は,部品受入検査標準(KQM107)に定められた「購入検査結果表」に記録し,品質保証部が3年間,保管する。
  • 2. 工程内検査結果は,作業指示書制定標準(KPT102)に:定められた「工程流動表集計票」に集計記録し,製造部が3年間,保管する。
  • 3. 最終検査結果は,製品出荷検査標準(KQM109)に定められた「工程流動表集計票」 に集計記録し,製造部が3年間,保管する。
  • 4. 出荷検査結果は,製品出荷検査標準(KQM 109)に定められた「出荷検査結果表」 に記録し,品質保証部が3年間,保管する。これら品質記録の保管は,品質記録管理標準(KQM105)に従うものとする。
  • ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
  •  製品監査標準     KQM 116
     製品出荷検査標準   KQM 109
     部品受入検査標準   KQM 107
     作業指示書制定標準  KPT 102
     品質記録管理標準   KQM 105