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「パフォーマンスの改善」(第24回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第24回

多くの組織が、特に製造業において、統計的なプロセス管理(SPC)ツールを使っています。プロセスパフォーマンスを追跡し、問題を明らかにしてプロセスの安定を維持するための管理図などのツールの使用を全面的に支持します。図5.3に示される目標設定アプローチが、SPCツールがどこで用いられるべきであるかを特定するのに役立ちます。
下位目標がいったん策定されると、機能(部門)目標が策定されます。組織レベルで策定された機能(部門)目標は、プロセス目標と下位目標に機能(部門)が最大の貢献をするために必要なら、変更されなければなりません。機能(部門)の目的は、プロセスをサポートするこであり、それらがプロセスに貢献する程度に応じて評価されるべきです。プロセスを支える部門目標を策定するには、各部門がその内外の顧客ニーズを満たすことを確実にしなければなりません。
Computec社の第1ステップは、各機能(部門)のプロセスへの貢献を明確にすることです。例えばオーダー受付は、オーダー遂行プロセスの最初の要素(サブプロセス)です。3つの機能(部門)がこの要素に関わります。

電話を通してオーダー受付を行う販売部門。
顧客の信用状態を調べる財務部門。
在庫量を決め、必要なら追加ディスケットの製造を指示する生産管理部門。

この関わりを整理する1つの方法は、その例を第12章に示した、役割/責任分担マトリックスによるものです。
これらの関わりに基づいて、及び図5.3に示されるプロセスの下位目標に基づいて、Computec社は、表5.2に示されるような部門目標を策定しなければなりません。

  1. パフォーマンスマネジメント。Computec社が実施可能なオーダー遂行プロセス(図5.2)とそのパフォーマンス目標と下位目標(プロセス目標と図5.3)を策定した後で、そのマネージャーは、プロセスアウトプットに関する内部及び外部の顧客フィードバックを入手し、目標と下位目標に対してプロセスパフォーマンスを追跡し、関連する機能(部門)にプロセスパフォーマンス情報をフィードバックし、プロセス問題を解決して継続的にプロセスパフォーマンスを改善するためのメカニズムを確立し、新規顧客要求事項を満たすように目標を調整するシステムを確立しなければなりません。(第12章に、プロセスパフォーマンス情報を得るのに役立つパフォーマンス追跡指標に関する例を紹介します)
    ここ数年間、我々は、プロセスパフォーマンスの運営管理に関して多くを学びました(それは基本的には横の組織を運営管理することです)。もしプロセスが(壊れたらなおすのではなく)継続的に運営管理されるべきであるなら、マネージャーはプロセスマネジメントと呼ばれるインフラストラクチャを確立しなければなりません。
    オーダー遂行プロセスを継続的に運営管理することを確実にするために、Computec社の上級マネージャーが、取るべきプロセスマネジネントの処置をあげると以下の通りです:

    顧客満足、コスト、文書の明快さと完全性、並びにクオリティと質の評価に等級を設けプロセスパフォーマンスを格付けし、また、各機能(部門)のプロセスへの貢献を格付けする。
    プロセス全体を監督するプロセスオーナーを指名する。(プロセスオーナー選定基準と彼らの役割の記述は、第13章に示します)
    プロセスパフォーマンスを見直して、改善するために毎月会合する常任のプロセスチームを特定する。
    最初にプロセスパフォーマンスを確認して、2番目に部門のパフォーマンスを見直す月次の運用確認会議を開催する。
    プロセス目標を達成し、機能(部門)の貢献目標が達成された部門内の要員に、報酬を与えます。

    プロセスマネジネントは、3レベルのパフォーマンスの中の非常に重要なテーマなので、第13章すべてを使ってそのことを述べます。

  2. 資源マネジメント:マネージャーは、資源配分が彼らの責任の重要な部分であることを常に理解しなければなりません。しかしながらプロセス志向の資源配分は、部門志向の普通のアプローチと異なります。通常、部門の資源配分は、上級マネージャーと彼又は彼女の部門か、部門を構成する組織のマネージャーとの間の1対1のミーティングで決まります。これらのミーティングでは、各マネージャーはパイのより大きい分け前を求めて主張し、最も説得力がある説明には最も大きい予算と人員が割り当てられます。
    プロセス志向の資源配分は、プロセスがその目標を達成するために要求されるお金と要員を明確にした結果です。その後、各機能(部門)は、プロセスへの貢献に応じた割合の資源を配分されます。もしプロセスマネジネントが組織の中で制度化されているなら、各機能(部門)の予算は該当するプロセス予算の総和となります。
    Computec社の例では、資源はオーダー遂行プロセスの各ステップに、そのプロセスのために策定された品質、納期及びコスト目標に従って配分されます。そして種々の機能(部門)は、それらがプロセスに貢献するために必要な資源を受け取ります。例えば、プロセス予算は、オーダー受付、信用調査、スケジュール作成、集荷及び出荷に分割されることが考えられます。これらのプロセスの基本要素は、適切な量のプロセス予算を受け取ることになります。したがって、これらのプロセスの基本要素に責任のある機能(部門)は、それらがプロセスに貢献できるように予算を受け取ります。活動基準原価計算(ABC)(Sharman、1990)は、プロセスを横断して予算とコストを適切に配分するためのツールです。