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「パフォーマンスの改善」(第55回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第55回

評価には、次のような3タイプのニーズがあります。

定期的な公式評価指標;実際のパフォーマンス情報を定期的に集めデータ化したもの。例えば、「販売担当毎の売上」、や「入札の勝ち負け数」を示す月次資料を配布する。
定期的な非公式評価指標;付随(封筒の裏面情報)情報を定期的に集める。例えば、お客様相談窓口が、毎日の問合せ数の度数を記録する。
不規則評価指標;特別な状況下で使用すう。例えば、販売不振のとき、下降の原因を理解するため「1週間あたりの販売員の電話数」、「1カ月あたりの販売提案数」、及び「1提案あたりの平均金額」を把握する。パフォーマンスが戻るとこれらの評価は中止する。

評価システムにはこの3タイプの評価指標すべてを取り込む必要があります。

プロセス、機能(部門)/部門の評価指標、及び目標とのリンク

図12.2にあるプロセス目標が、機能(部門)のパフォーマンスを動かしている基本的な力であるならば、Computec社は部門評価指標の各々に次のことを反映させなければなりません。
全体プロセス(ひいては組織)目標への貢献
他部門への貢献、そうすることでプロセスと組織パフォーマンスに貢献できる

各機能(部門)が期待されているプロセスへの貢献は、プロセスマップ形式を使うと簡単に見ることができます。各バンド(帯)の中にあるメーターは、その機能(部門)のための評価指標/目標を表しています。図12.4は、製品開発プロセスに貢献する各部門の目標を反映するために、どのようにプロセスマップを展開するかを示しています。これらの目標を、人的資源、財的資源を割り当ての基礎に使うことができます。
例えば、我々が営業部を運営管理する立場にいたとして、そしてもし図12.4のマーケティングの列が完成していたとすると、我々は、製品開発プロセスに対し期待される貢献、その貢献がどのように評価されるのか、現在の製品開発活動に対する具体的な目標、そしてその目標を達成するために必要な資源を、明確に理解することができるでしょう。
複雑な(製品開発などの)プロセスで頻繁に使用されるツールは、「役割/責任マトリクス」です。このマトリクスは、プロセスマップを貢献している各部門の一連の責任に変換します。責任をこの形式に表わすことで、プロセスステップを見落とすことなく、オーバラップさせることなく、全員が何をすべきかを理解させることができます。表12.3に、Computec社の製品開発と導入プロセスの役割/責任マトリクスの一部を示します。(表 12.3に示すプロセス役割/責任マトリクスは、組織横断マップに含まれるデータを表示するフォーマットとは異なる形式です。プロセスが非常に複雑であるか、組織横断マップの詳細さが十分でないような場合に価値をもたらします。)表 12.3は目標を含んでいないが、このマトリクスに目標を含めば利用価値が増えます。
マーケティング部門は、製品開発と導入プロセス以外の多くのプロセスをサポートします。また、マーケティング部門は、主要な組織横断プロセスを直接的にサポートしない様な責任も果たします。表12.4は、マーケティング部門のマネージャーが、マーケティング部門の組織への総合的な貢献を追跡することができる「部門モデル」の一部を示します。

業務/遂行者レベル。Computec社の最高経営者は、目標を業務/遂行者レベルまで下方向に展開することで、組織レベルとプロセスレベルが日々のパフォーマンスを動かすことを確実にすることができます。そのプロセスの最初のステップは、プロセス要求事項に基づいた各部門のアウトプッを、その部門の様々な業務に割り当てることです。部門の役割/責任マトリクス、これはプロセス役割/責任マトリクス(表12.3)を拡大したものですが、これによりアウトプットをまとめたり表示したりすることできます。表12.5はマーケティング部のアウトプットを自部門中にどのように配分できるかを示しています。
部門の役割/責任マトリクスの各々の列は、業務に従事する要員に要求される一連のアウトプットになります。業務/遂行者レベルにおいては、「アウトプット」は部門/プロセスアウトプットに貢献すべき担当者個人の達成物になります。部門及びプロセスからみると、担当者個人の達成物は従属的なアウトプットです。もし業務が1つ以上のプロセスをサポートしているとすると(それが通常のケースであるが)、課せられる全体的な責任は、役割/責任マトリクスの中で彼らの職務名の下にリストアップされているアウトプットを含むことになります。
最終的な職務分掌として、ジョブモデルと呼ばれるフォーマットを使用します。ジョブモデルは役割/責任マトリクスを拡大したものです。ジョブモデルは業務のアウトプットだけではなく、部門の評価指標と機能(部門)目標に基づく各々のアウトプットに対する評価指標と目標を含んでいます。(ジョブモデルは、「論理的な評価指標」を開発するフォーマットを直接組み入れていることに注意すること。)表12.6は、Computec社マーケティング部門の調査アナリストのジョブモデルの一部です。
ジョブモデルは、組織レベルのアウトプットを個人レベルのアウトプットに結合する評価システムの最終的な連係を表すものです。そのような評価システムは、担当者のアウトプットから組織のアウトプットまでの一貫した視点を提供し、経営者が効果的にシステムパフォーマンスを監視し、問題解決を図ることを可能にします。
我々はかなり多くのワークシートを示しました。 図12.5にそれらワークシートの関係を示します。

表12.2 Computec社の製品開発と導入:パフォーマンス追跡表(略)

図12.4 Computec社製品開発と導入:“Should”プロセスマップと部門的目標のサンプル(略)