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「パフォーマンスの改善」(第64回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第64回

システムの評価

変更は首尾よく実行されました。Computec社は実際に機能するシステムを構築しました。トップチームの現在の課題は、構築したシステムを運営管理することです。このように、システムが効果的に運営管理される前に、システムの主要な要素を測定し、評価するための仕組みの構築が必要です。最終目的に向かって、Computec社は次のような展開を図っていきました。

4つそれぞれの戦略プロセスのパフォーマンスを評価するための報告カード。評価の領域には、顧客フィードバック、内部要求事項(予算に対するパフォーマンスなどの)、変化への対応能力、及び継続的改善の程度があります。評価のためのデータは、実際のパフォーマンスを文書化しプロセス目標と対比したパフォーマンス評価システムから直接得られます(ステップ9参照)。
図13.2は、最高経営者の「計器パネル」の基礎を形成するため、プロセスパフォーマンス情報がどのように集まってくるのかを示しています。下位の階層のマネージャーの計器パネルのダイヤルは、主としてサブプロセスと部門評価指数から構成されることになります。その次の階層(マネージャーかもしれないし、そうでないかもしれない)では、計器パネルは個々のプロセスステップの評価指標と個々の業務の評価指標を含むことになります。このアプローチを活用すると、各階層が計器パネルを持つことになり、パネルのダイヤルは上と下のそれぞれの階層の計器パネルのダイヤルと確実にリンクしていることになります。

プロセスの有効性への自からの貢献に関し、各プロセスオーナーを評価するために使用する報告カード。この報告カードにある項目は、最高経営者が描くプロセスオーナーの責任に基づいて決められます(上のサンプルリスト参照)。例えば、Computec社のプロセスオーナーは、彼らがプロセスパフォーマンスについて自分以外の経営幹部メンバーとどれくらいよく連携を保っているか、そして、部門間の競合が起きる「空白」の解決にどれくらい力を発揮したかによって評価されます。

副社長の担当する部門が貢献しているプロセスに対しどの程度うまくサポートしているかに関し副社長を評価する報告カード。例えば、マーケティング所管の副社長は、マーケティング部が製品開発と導入をどれくらいサポートしているかによって評価されます。評価は、その部門によって実行されるプロセスステップと、プロセス目標から展開された部門目標(顧客要求事項とか予算のようなもの)に基づきます。Computec社 の機能モデル(第12章参照)は、これらに関するカテゴリ格付けの展開に特に役立ちました。
副社長は、担当部門が目標をどれくらい達成したかで評価されると同時に、プロセス価値のための他部門との協力の程度、プロセスの成功に向けて必要とされる変化へ対応、ヒューマンパフォーマンスシステムがプロセスの成功に貢献する担当者とチームをどの程度支持したか、のような「ソフト」領域でも評価されます。システムが、プロセスの成功に貢献する個人及びチームをサポートします。4つのプロセスオーナーに対する業績考査は、プロセスオーナーとしての業績と、プロセスをサポートするために存在する自部門のリーダーとしての業績の両者によって決められます。

図13.2 システムとして組織を経営する(略)

システムマネジメントプロセス

ここに、Computec社は合理的なシステムを構築し、そして、そのシステムの主要要素であるプロセス、プロセスオーナー、及び部門マネージャーを評価するためのメカニズムを開発しました。ここで、基本的な管理プロセスのいくつかが、経営幹部チームがComputec社をシステムとして運営管理する際の手助けとなる内容を、吟味してみたいと思います。

Computec社の社長、プロセスオーナー、及び副社長は、年間計画のプロセスにおいて次のことを立案します。

戦略と運営計画を最新化する。
新しい組織レベルアウトプットと組織目標を明確にする。
組織目標が確実に反映されているかを確実にするため、戦略プロセスの特定と最新のプロセス目標を確認する。
新しいプロセス目標を達成するに必要となるプロセスの変更を明確にする。これらの変更はプロセス自身の修正、サブプロセスのための新しい目標、又は資源の移動を含む。

Computec社長、プロセスオーナー、及び副社長は、年度予算のプロセスにおいて次のことを行います。

計画プロセスの一環として確立されたプロセス目標に基づきプロセスのための予算を調整する(プロセスオーナーの予算配分へのコミットメントは特に重要である)。
プロセス予算とプロセス目標への各部門の貢献に基づいて、部門予算を調整する。
プロセス予算と部門予算をまとめ、戦略的に構築される組織予算に統合化する。