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「パフォーマンスの改善」(第72回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第72回

ステップ7:業務モデルを展開する。各部門のタスクチームは、製品開発プロセスに貢献する各業務(例えば、販売窓口担当者、市場調査アナリスト、及び設計技術者)の業務モデルを開発するのに、機能モデルを基礎その基礎に使用しました。これらの業務モデルは、各部門のアウトプット、及びアウトプット達成のために必要となる目標部門に貢献する責務としてのアウトプットを含んでいました。

ステップ8:各業務のヒューマンパフォーマンスシステムを構造化する。各業務に対して、必要なフィードバック、報酬、及び教育訓練が特定されました。

ステップ9:マネジメントプロセスを確立する。新しい組織体制が、組織レベル、プロセスレベル、及び業務/遂行者レベルで確立されると、Ace社はすべての3つのレベルを運営管理するためのインフラストラクチャを設置しました。トップマネジメントチームは、目標が継続的に設定され、これらの目標に対するパフォーマンスが3つの全てのレベルで追跡され、製品開発プロセスが最適となるような資源が割り当てられ、インタフェースが管理され、ヒューマンパフォーマンスシステムのすべての要素が管理されることを、確実にするために一連の管理プロセスを作成しました。これらに対する責任は、マネージャーの業績考課の核となりました。

要約

組織構造を設計するということは、組織図上の箱に名前をつけ、配置して、中味を決める以上のことです。明確な指示命令関係は業務推進上不可欠ですが、顧客に提供する製品とサービスを得るためには、業務の特質とフローに焦点を当てた組織構造を必要とします。このために最初にやるべきことは、どんな業務が実施されるべきかを決めることです(ステップ1参照)。次に必要なことは、業務が現在どのように実施されているかを理解し(ステップ2、3参照)、そのあるべき方法を設計することです(ステップ4参照)。そのようにしてのみ、役に立つ組織図を作成することができます。我々の意見では、形態(構造)は機能(プロセス)について来ます。我々のいう組織構造とは、組織レベル(戦略が設定され、顧客供給者関係が確立される)、プロセスレベル(業務フローが決められ文書化される)、及び業務/遂行者レベル(業務が明確にされ、サポートヒューマンパフォーマンスシステムが構築される)のパフォーマンスを網羅します。3レベル全ての組織構造において最も重要な次元は、パフォーマンスの評価指標と、組織構造が継続的に改善されるようプロセスを運営管理することです。
経営のプロセスを支える組織構造に、問題がないと言っているわけではありません。例えば、マネージャーは依然として対応時間とコスト間のトレードオフ問題に頭を悩ますでしょう。しかし、重要プロセスとプロセス目標を運転席にセットし、これらのトレードオフ問題に関し知的対処し情報交換することができます。
「どんなにコストを掛けても最大限の対応をする」から「最少のコストで可能なときに上手く対応する」との間スペクトラムのどこかに、多くの組織が望んでいるポイントがあります。しかし世界的に一流の会社は、「低コストで高早い対応性」を達成する能力を示すことで、そのスペクトラムを再定義しつつあります。
組織のトップチームが、競争力が発揮できる業界での位置(戦略の一部として)を決定したならば、それを達成する為に、プロセス(一番目)、及び指示命令系統(二番目)を設計することができます。競争力が発揮できる位置に到達し、それが維持されることを確実にする為、マネージャーは対応性とコストに関する目標を決めることができ、目標に対するパフォーマンスを詳細に監視できるようになります。
歴史的に対立すると信じてきた変数(variable)の多くは、喜ばしいことにトレードオフの関係にはありません。我々は、質が最大になるように設計されたプロセスは、コストが最少になるように設計されたプロセスでもあるという多くの事例を見てきました。