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ISO内部監査って何?どうやるの? (その12)

●ISO内部監査は自分の普段行っている仕事のことを話せばよいのだ、ということがわかりました(その3)

内部監査で不適合指摘を受けるのが怖い、と心情を吐露した鈴木さんに対する部長の返答が続いています。
話は、内部監査に臨む際の心構えに入っていきます。

「部長、その質問、私には難しすぎます」
「ろくに考えもせずに諦めるんじゃない!」
「そんなことを言われても・・・・」

しばしの沈黙が二人の間に流れますが、部長も鈴木さんの実力はわかっているので、次回までの宿題、とまではせずに話しだしました。

「まあ、いきなり君には難しすぎる話だろうから説明していくよ。決してこれは難しく考えてはダメなんだよ。答えは簡単で、『ありのままをさらけ出して内部監査を受けること』、これが大事な秘訣なんだ」
「ええっ、どういうことですか部長」
「言葉を変えると、人はたいていの場合、きちんとできていると他者からは評価されたい生き物ということなんだよ。誰もダメ出しをされて嬉しい人はいない。ミスを指摘されたら誰だって多少はむっとすることになる。それが嫌だから隠そう、という気持ちにもたいていの人がなると言っても過言ではないんだ。そして内部監査は社内の人が行うからそう簡単には隠すことはできない、と言いたいところだが、事はそう簡単ではない。意図的に隠そうと思えばやはり隠せる部分はある。ようはお化粧をしてしまう、ということなんだな。そうすると、結果が問題なければ途中のプロセスの部分は本質を見ることがなかなか難しくなってしまうんだよ。極端な例で言うと、それこそ営業担当者が環境問題については全く問題意識を持っていなかったとしても、お客さんの方でしっかり環境負荷低減のための用紙の利用を考えてくださって、その指定をしてくだされば、結果として当社の納品する製品や用紙類も環境に配慮した、という条件に合致してしまう場合がある。結果として我々が狙う環境経営のターゲットレベルに入っている、という状態だ。だがその過程を考えてみてほしい。お客様の方にこのような用紙があるとか、このような工程を経ていけば廃棄物の量も抑えることができる、といったような環境負荷低減のアドバイスをしながらお客様を啓発していく活動ができていれば理想だが、結果オーライのケースであれば、その途中過程を見ていくと問題が大有りだ、ということは君も感じるだろう」
「はい、それはよくわかります」
「その部分をしっかりやっているように見せかけることが、場合によってはできる、ということを感じてもらえればいいんだ」
「はい、それも感じました」
「OK、改善のためには、あくまでありのままの自分たちの現状をしっかり認識することが何よりもはじめの一歩として大事なこと、ということを今日はわかってくれたようだな。そういう意味では、内部監査の前だから、と言って何か特別の準備をする必要もない、と言えるわけだ。
あえて最後に極端な例をもう一つ出すけど、鈴木君、君の机周りもだいぶごちゃごちゃだけど、内部監査だからと言って特段その整理整頓をしておきなさい、とは敢えて私は言わないわけだよ。あのごちゃごちゃな状態だと、内部監査員からこの資料を見せてください、と言われたときにすぐに出せないケースもあるだろう、と私は覚悟している。でもそれも日ごろの仕事のやり方に改善の余地がある、ということで、内部監査の時だけきれいに整理整頓したとしても、結局はどこかでぼろが出るリスクは残る。だったら内部監査で指摘してもらったほうが普段私の言うことを聞かない君にもいい薬になるかな、と思っているわけだよ」
「いや、あの・・・・、お言葉ですが、確かに机周りの整理整頓は下手ですが、部長の言うことを聞かない、というわけではないと思うのですが・・・・」
「はっ、はっ、はっ、ちょっと悪い冗談だったな、すまんすまん。いつも言うことを聞かないわけではなく、整理整頓ができないんだな、君は。まあ今は大目に見ているが、そこは改善が必要なポイントなんだから、ちゃんと自覚しておいてくれよ。いずれにせよ、内部監査の前に特段の準備はしなくていい。ありのままの自分の実力が評価される場と思ってもらえればいいんだ。よろしいかな」
「なんだか煙に巻かれた気もしますが、わかりました。ありのままの自分そしてありのままの営業部の実態を評価してもらうようにします。今日もレクチャーありがとうございました。」