ISO情報

内部監査の実践(その34)

組織にはいろいろな規定文書がありますが、今回は「4M変更管理標準KPT105」を対象に内部監査をしてみたいと思います。
規定文書名の後ろのKPT105はこの会社の文書体系に基づく文書番号ですから特別注意することはありません。消しても良いのですが今後何かの機会にルートを辿ることが出来れば便利なこともありますので元どおりにしておきます。

この「内部監査の実践」では、組織の規定に沿って、具体的にどのように監査するかを、実例を中心に説明しています。その際、適合性だけでなく、有効性の監査も目指したいということで「ナラティブ内部監査」を採用しています。
ナラティブ内部監査は、平林良人の『つなげるツボ』Vol.297
https://www.technofer.co.jp/tsubob/index.php/2021/02/17/vol-297/)から
ナラティブ内部監査は、平林良人の『つなげるツボ』Vol.342
https://www.technofer.co.jp/tsubob/index.php/2021/02/17/vol.342/)まで
を参考にしていただくと良いと思います。

今回は、A社「4M変更管理標準KPT105」に基づいたナラティブ内部監査の例を説明していきたいと思います。
まずA社の規定である「4M変更管理標準KPT105」を紹介します。

「4M変更管理標準KPT105」

  • (目的)
  • 第1条 この標準は、「品質に係る各種変更を行う場合に不具合の未然防止を図るために実施する変更管理について規定する。
  • (定義)
  • 第2条 この標準における変更管理とは、受注、設計、調達、製造、検査、出荷(引渡し)の各段階において、すでに実績のあるものを変更する場合に特別に行う管理のことをいう。
  • (適用)
  • 第3条 受注、設計、調達、製造、検査、出荷(引渡し)の各段階の変更管理について適用する。
  • (変更の抽出)
  • 第4条 各部門は、担当製品(業務)について、自部門の変更の抽出を行う。
    • ② 各部門は他部門の変更抽出に対して提案することができる。
    • ③ 各部門長(課長以上)は変更の程度、影響、重要性等を考慮して変更管理を適用する項目を選定する。
  • (検討)
  • 第5条 変更管理における内容検討は次のいずれか又は組合せによって行う。
  • 1. 部門内容検討
    • (1) 各部門は変更管理項目について自部門内で検討を行う。
    • (2) 自部門で検討した結果は関係部門に対して通知する。
    • (3) 変更通知書の情報を受けた部門は、自部門の業務に与える影響を把握しその対応につき「受取側記入欄」等にて指示する。また、必要に応じ自部門の変更管理項目として取りあげる。
    • (4) 変更通知書の内容についてコメントがある場合は適宜担当部門にフィードバックする。
  • 2.依頼検討
    • (1)他部門に対して協議依頼事項がある場合は、協議依頼先に依頼書を送付する。
    • (2)依頼を受けた部門は依頼事項を検討し、その結果を記述して担当部門に回答する。
    • (3)担当部門は回答内容により、必要あれば対策案等の見直しを行い関係部門に通知する。
  • 3.会議体検討
    • (1)重要な変更管理項目について、各部門は関係部門の代表者を招集して会議体において検討できる。この場合既存の会議体を利用してもよい。
    • (2)担当部門は検討結果を記録にまとめ関係部門に通知する。
  • (指示)
  • 第6条 各部門は変更管理により決定した事項を、手順書、図面等に反映し、指示書として発行する。
  • (評価)
  • 第7条 各部門は変更管理による対策実施結果を評価し、以降の製品(業務)において必要な見直しを行う。
  • (管理確認)
  • 第8条 各部門は変更管理のための管理台帳等を作成し、検討・指示・評価等の各段階において必要な措置が適切・確実に実施されていることを確認する。

(付則)
1.この規程は202X年XX月XX日から実施する。
2.この規程の改廃にあたっての立案者は品質保証部長とする。

内部監査では被監査部署へ行く前に監査で関係すると思われる規定文書を探して、事前に規定文書を読み込んで、監査するポイントを絞ります。この作業は一人で行うのではなく内部監査チーム全員で行います。一人で行うよりポイントの洗い出しがより効果的にできます。
(つづく)