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2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方(第15回)

平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第15回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.5.4 顧客の所有物

  • (1)組織は,顧客の所有物について,それが組織の管理課にある間,または組織がそれを使用している間は,注意を払う。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が顧客の所有物について注意を払うのかを決め,記述する。注意を払うための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)組織は,使用するため又は製品に組み込むために提供された顧客の所有物を:
    • 識別する
    • 検証する
    • 保護する
    • 防護する

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 顧客の所有物を識別し,検証し,何をして保護し,防護するのは誰なのかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付ける。7.5.4項の(1)の帳票と同じものでもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)顧客の所有物を紛失,損傷した場合又は使用には適さないと分かった場合は:
    • 顧客に報告する。
    • 記録を維持する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が顧客に報告するのか,記録を維持するのかを決め,記述する。そのための帳票を,品質マニュアルの付録に付ける。7.5.4項の(1)の帳票と同じものでもよい。
    • 「4.2.4 記録の管理」の一覧に示す。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付ける。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.5.5 製品の保存

  • (1)組織は,内部処理から指定納入先への引き渡しまでの間,製品を適合した状態のまま保存する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • どのようなものを,どのように保存するのかを決め,記述する。
    • 誰が保存するのかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)この保存には,識別,取扱い,包装,保管及び保護を含める。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • “識別,取扱い,包装,保管及び保護を含める”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい。しかし,明確にするために記述するならばしてもよい。
  • (3) 保存は,製品を構築する要素にも適用する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • “製品を構成する要素にも適用する”ことは品質マニュアルに記述しなくてもよい。しかし,明確にするために記述してもよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
7.6 監視機器及び測定機器の管理

  • (1)・組織は,定められた要求事項に対する製品の適合性を実証するために必要な,実施すべき監視及び測定を明確にする。
  •    ・また,そのために必要な監視及び測定の危機を明確にする。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 実施すべき監硯及び測定を明確にし,そのために必要な監視及び測定の機器を明確にするのは誰なのかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)組織は,監視及び測定の要求事項との整合性を確保できる方法で監視及び測定が実施できることを確実にするプロセスを確立する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がプロセスを確立するためかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • 7.6.1項の(1)の帳票と同じものでも良い。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)測定値の正当性が保証されなければならない場合には,測定機器に関して:
    • a)・定められた間隔又は仕様前に,国際又は国家計量標準にトレース可能な計量標準に照らし合わせて校正または検証する。
    •  ・そのような標準が総菜しない場合には,校正又は検証に用いた基準を記録する。
    • b)機器の調整をする.又は必要に応じて再調整する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 測定値の正当性が保証されなければならない場合を決め,記述する。
    • 誰が何の測定機器を校正または検証するか決め,記述する。また誰が記録するのか決め,記述する。
    • b)“機器の調整,再調整”について記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
    • c) 校正の状態が明確にできる識別をする。
    • d) 測定した結果が無効になるような操作ができないようにする。
    • e) 取扱い,保守,保管において,損傷及び劣化しないように保護する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • c)“識別”について記述する。
    • d)“無効になるような操作ができない”ことについて記述する。
    • e) “取扱い,保守,保管において,損傷及び劣化しないように保護する”ことについて記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (4)さらに,測定機器が要求事項に適合していないことが判明した場合には,組織は,その測定機器でそれまでに測定した結果の妥当性を:
    • 評価する。
    • 記録する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が評価し,記録するのかを決め,記述する。そのための帳票を,品質マニュアルの付録に付ける。7.6項の(1)の帳票と同じものでもよい。
    • 「4.2.4 記録の管理」の一覧に示す。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (5)組織は,その機器及び影響を受けた製品に対して,適切な処置をとる。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が適切な処置をとるのかを決め,記述する。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (6)校正及び検証の結果の記録を維持する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 「4.2.4 記録の管理」の一覧に示す。一覧には,誰が記録を取り,誰が承認するのかが示されていることがよい。記録のフォーマットを品質マニュアルの付録に付けるとよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (7)規定要求事項に関わる監視及び測定にコンピューターソフトウェアを使う場合には,そのコンピューターソフトウェアによって意図した監視及び測定ができることを確認する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰かが“コンピューターソフトウェアによって意図した監視及び測定ができる”ことを確認するかを決め,記述する。
    • 何をして確認するのかを記述できればさらによい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (8)・この確認は,最初に使用するのに先立って実施する。
  •    ・また,必要に応じて再確認する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 確認をいつ(どんな場合に)実施するかを定め,記述する。

ISO 9001:2000規格の要求事項
8. 測定,分析及び改善

8.1 一般

  • (1)組織は,次の事項のために必要な監視,測定,分析及び改善プログラムを:
    • 計画する。
    • 実施する。
    • a)製品の適合性を実証する。
    • b)品質マネジメントシステムの適合性を確実にする。
    • c)品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善する。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰がa)~c)に“必要な監視,測定,分析及び改善のプロセスを計画し,実施する”のかを決め,記述する。そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • 何をして“必要な監視,測定,分析及び改善のプロセスを実施する”のかを記述できればさらによい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)上記計画には:
    • 統計的手法を含む適用可能な方法を決定することを含める。
    • その使用の程度の決定することを含める。

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 計画作成に当たっては,統計的手法,その他の適切な方法の使用を計画の中に持つことを記述する。
    • 使用の程度の決定したことが記述できればさらによい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
8.2 監視及び測定

8.2.1 顧客満足

  • (1)組織は,品質マネジメントシステムの成果を含む実施状況の測定の一つとして,顧客要求事項を満足しているかどうかに関して顧客がどのように受けとめているかについての情報を監視する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が顧客満足の情報を監視するのかを決め,記述する.そのための帳票を品質マニュアルの付録に付けるとよい。
    • どんな情報を使うか,どのような方法で入手するか,どのように使用していくのか,について記述できればさらによい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)この情報の入手及び仕様の方法を決める。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 8.2.1項の(1)の帳票に,情報の入手及び仕様の方法欄を設けておくとよい。

ISO 9001:2000規格の要求事項
8.2.2 内部監査

  • (1)組織は,品質マネジメントシステムの次の事項が満たされるか否かを明確にするために,あらかじめ定められた間隔で内部監査を実施する。
    • a)品質マネジメントシステムが:
      • 個別製品の実現の計画に適合している。
      • この規格の要求事項に適合している。
      • 組織が決めた品質マネジメントシステム要求事項に適合している。
    • b)品質マネジメントシステムが効果的に:
      • 実施されている。
      • 維持されている

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 誰が内部監査を実施するのかを決め,記述する。
    • あらかじめ定められた間隔を決め,記述する。
    • a),b)については,内部品質監査の目的が記述されているので,簡潔な言葉で記述するのがよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (2)組織は,監査の対象となるプロセス及び領域の状態と重要性,並びにこれまでの監査結果を考慮して,監査プログラムを策定する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 「監査プログラムには監査対象を重要性並びにこれまでの監査結果を考慮して定める」ことを書く。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (3)監査の基準,範囲,頻度及び方法を規定する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 文書化した手順の中に,監査の基準,範囲,頻度及び方法が規定されていればよいが、どう対応するか,概要を記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (4)監査員の選定及び監査の実施においては,監査プロセスの客観性及び公平性を確保する。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 文書化した手順の中に規定されていればよいが,どう対応するか,概要を記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (5)監査員は自らの仕事は監査しない。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 文書化した手順の中に,“監査員は自らの仕事は監査しない”ことを規定しておけばよいが,どう対応するか,概要を記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (6)下記の事項に関する責任,並びに要求事項を“文書化された手順”の中で規定する。
    • 監査の計画
    • 監査の実施
    • 監査結果の報告
    • 監査記録の維持

  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 文書化した手順の中に“監査の計画,監査の実施,監査結果の報告,監査記録の維持に関する責任及び要求事項”が記述されていればよいが,明確にするために,品質マニュアルに概要を記述するのもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (7)監査された領域に責任を持つ管理者は,発見された不適合及びその原因を排除するために遅滞なく処置がとられることを確実にする。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 文書化した手順の中に,“監査された領域に責任を持つ管理者が確実にする”ことが規定されていればよいが,どう対応するか,概要を記述してもよい。
  • ISO 9001:2000規格の要求事項
  • (8)フォローアップには,とられた処置の検証及び検証結果の報告を含める。
  • 品質マニュアル記述のポイント
    • 文書化した手順の中に“フォローアップにはとられた処置の検証及び検証結果の報告を含める”ことが規定されていればよいが,どう対応するか,概要を記述してもよい。