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品質マニュアルの作り方(第20回)

平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第20回

条項4.18 Training(教育・訓練)

【ポイント】

  • ① 品質に影響する活動に従事する,すべての要員の教育・訓練を行う。
  • ② 特定の業務に従事するものには資格認定をする。
  • ③ 教育・訓陳の記録を保管する。

【背景】

  • ① 全社を通じて,すべての部門が製品品質に関係している。したがって全従業員に対して,会社としての品質についての教育・訓練を行わなければならない。
  • ② 部門のニーズに基づく教育・訓陳(固有技術に関するもの)と,会社のニーズに基づく教育・訓練(管理手法に関するものが多い)とをバランスよく組み合わせ有効に実施する。
  • ③ 内部の資格認定制度も有効な制度である。

【企業内実施例】

  • ① 全部門,階層別に必要な教育・訓陳,資格を明確にした基準がある。
  • ② 教育プログラム,テキストなどが整備されている。
  • ③ 教育・訓練,資格の記録がある。
  • ④ 社長(事業部長)から作業者まで,全員が品質システムを理解している。

【審査時の質問事項】

  • ① 従業員の教育・訓陳の仕方を定めた基準を説明してください。
  • ② 教育・訓陳プログラムを見せてください。
  • ③ 資格認定制度はありますか?(QC,検査,実装,溶接,成型,プレス,旋盤,組立,メンテナンス,設備など)
     →その資格制度を説明してください。
  • ④ 教育・訓陳の記録を見せてください。

【不適合】

  • ① 教育・訓陳が基準に従って実施されていない。
  • ② 教育・訓練の記録がとられていない。
  • ③ 資格認定制度が中断している。その記録が不十分である。

条項4.19 Servicing(付帯サ一ビス)

【ポイント】

  • 付帯サービスを実施し,顧客が満足しているかどうかを確認する。

【背景】

  • ① アフターサービスは,自分たちが客先へ出荷した製品の評判を聞くことができる重要な情報源である。
  • ② この情報を整理して,次の製品開発に活かすことが品質システムのレベルアップに非常に有益である。
  • ③ 取扱説明書,マニュアル,パーッリスト,修理技術援助,メンテナンスなどのアフターサービスの活動しだいで顧客満足度(CSI)を上げることができる。

【企業内実施例】

  • ① 付帯サービスの定義,実行する手順を定めた基準がある。
  • ② デイストリビューター,販売店などとの定期的情報交換会などが決められている。
  • ③ サービスマンに知っておいてもらうべき事項を定めた基準がある。
  • ④ 顧客ニーズなどの情報を把握して,設計審査,是正処置,品質システムの見直しなどに活用する方法を定めた基準がある。

【審査時の質問事項】

  • ① 貴社のアフターサービスを規定した基準を説明してください。
  • ② サービス支援の手段を教えてください。
  • ③ サ一ビス状況を確認する仕方を説明してください。
  • ④ 顧客情報をどのようにしてフィードバックしていますか?

【不適合】

  • ① 付帯サービスを規定した基準がない。
  • ② 基準に従った付帯サービスが実施されていない。

条項4.20 Statistical techniques(統計的手法)

【ポイント】

  • 工程能力,製品特性の検証に統計的手法を活用する。

【背景】

  • ① 統計的手法は,工程管理,受入れ,出荷検査,設計など,企業の生産活動に幅広く応用されている科学的方法である。
  • ② 工場の中では,いわゆるQC七つ道具と呼ばれる基本的な統計的手法がいろいろなところで使われている。たとえばパレート図,x-R管理図,ヒストグラムなどがその例である。

【企業内実施例】

  • ① 活用する場所ごとに,統計的手法の使用目的,種類などを定めた基準がある。
  • ② とられたデータを分析,解析する方法を定めた基準がある。

【審査時の質問事項】

  • ① 統計的手法を活用していますか?
  • ② 統計的手法の活用方法を定めた基準を説明してください。
  • ③ データを分析,解析する方法を教えてください。
  • ④ 検査のサンプリング方法を説明してください。

【不適合】

  • 統計的手法を活用することにはなっているが,現場では活用されていない。