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品質マニュアルの作り方(第27回)

平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第27回

第 4 章 標準的品質マニュアル

本章では「標準的品質マニュアル」を掲載する。ここで“標準” とは,共通的な仕様とでもいうべき形式を主体にしたものを意味している。したがって,各ページの中身の記述については第3章で述べた「品質マニュアルの編集」の手順にそって,各企業が魂を入れていかなければならない。「標準的品質マニュアル」の☆印は,企業が自分たちの言葉でそれぞれの記述をしてもらいたい箇所である。☆印の記述量の多寡については,付録の「品質マニュアルのモデル例」 を参考に,それぞれの企業の実態に合ったレベルにすればよい。またフォーマット中,墨印刷した部分が筆者の考える標準例であり,カラー表示した部分は,それに対する筆者のコメントである。

  • 「標準的品質マニュアル」の構成は次の通りである。
  • 1.0 一般(1.1 表紙/1.2 目次/1.3 配布先)
  • 2.0 改訂歴
  • 3.0 会社概要,対象範囲
  • 4.0 品質システム構成事項

1.0項から3.0項までに総則的な項目,目次,配布先,改訂歴および会社紹介,そしてこの品質マニュアルが対象とする組織体,製品について記述する。4.0項に,この品質マニュアルの中枢ともいうべき品質システム構成事項を記述する。こうしておくと,この品質マニュアルの項目番号とISO9000シリーズ規格の条項番号とが一致して理解しやすくなる。
この「標準的品質マニュアル」は,ISO 9001規格の条項に準じて編集してあるが,もちろんISO 9000規格の8.5.1条項でいうところのTailoring (修整)は各企業でぜひ実践していただきたいことである。“しかし,場合によっては,選択した規格が要求する品質システムのある要素を削除したり,他の要素を追加してもよい。” この「標準的品質マニュアル」を皮袋として,各企業でそれぞれ芳醇な酒を醸造して,中に注いでいただきたい。

  • 品質マニュアル
  • 1.1 表 紙
    • 管理/非管理:☆どちらかを〇で囲む
    • コピーNo. :☆
    • 発 行 先:☆
    • 発 行 者:☆
    • 社 名:☆
    • 事業所(部)名:☆
  • 1.2 目 次
    • 1.0 一般
    • 1.1 表紙
    • 1.2 目次
    • 1.3 配布先
    • 2.0 改訂歴
    • 3.0 会社概要,対象範囲
    • 4.0 品質システム構成事項
      • 4.1 経営者の責任
      • 4.1.1 品質方針
      • 4.1.2 組織
      • 4.1.3 経営者による見直し
    • 4.2 品質システム
    • 4.3 契約内容の見直し
    • 4.4 設計管理
      • 4.4.1 一般
      • 4.4.2 設計及び開発の計画
      • 4.4.3 設計へのインプット
      • 4.4.4 設計からのアウトプット
      • 4.4.5 設計検証
      • 4.4.6 設計変更
    • 4.5 文書管理
      • 4.5.1 文書の承認及び発行
      • 4.5.2 文書の変更・改訂
    • 4.6 購買
      • 4.6.1 一般
      • 4.6.2 下請負契約者の評価
      • 4.6.3 購買データ
      • 4.6.4 購買品の検証
    • 4.7 購入者による支給品
    • 4.8 製品の識別及びトレーサビリティ
    • 4.9 工程管理
      • 4.9.1 一般
      • 4.9.2 特殊工程
    • 4.10 検査及び試験
      • 4.10.1 購入検査及び試験
      • 4.10.2 工程内の検査及び試験
      • 4.10.3 最終検査及び試験
      • 4.10.4 検査及び試験の記録
    • 4.11 検査,測定及び試験の装置
    • 4.12 検査及び試験の状態
    • 4.13 不適合品の管理
    • 4.13.1 不適合品の再審及び処置
    • 4.14 是正処置
    • 4.15 取扱い,保管,包装及び引渡し
      • 4.15.1 一般
      • 4.15.2 取扱い
      • 4.15.3 保管
      • 4.15.4 包装
      • 4.15.5 引渡し
    • 4.16 品質記録
    • 4.17 内部品質監査
    • 4.18 教育・訓練
    • 4.19 付帯サービス
    • 4.20 統計的手法
  • 1.3 配 布 先
    • ☆ここでは品質マニュアルの配布先についての一般的な考え方,配布先を記述する。会社内部へ配布する品質マニュアルはすべて管理コピー※とする。会社外部への配布については品質保証部長の認可した者に限る。この場合,表紙の非管理※の表示を明確にし,すべてのページに「非管理」 の印を押す。
      注〕 管理コピーとは,配布後,品質マニュアルの改訂ごとに差し替えをするコピーのことをいい,改訂があっても差し替えの必要のないコビーを非管理という。

      ☆管理コピーの所有者(部門)の一覧を記載する。
      番号  所 有 者

      • 1 取締役事業部長
      • 2 企画室長
      • 3 総務部長
      • 4 人事部長
      • 5 開発部長
      • 6 生産管理部長
      • 7 購買部長
      • 8 設計部長
      • 9 技術部長
      • 10 品質保証部長
      • 11 製造工場長
      • 12 第1製造部長
      • 13 第2製造部長
      • 14 第3製造部長

      ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
      品質マニュアル標準 KQM 101

  • 2.0 改 訂 歴
    ☆品質マニュアルの改訂手順を概述する。

    • 1. 改訂にあたっては,追番をつけ,改訂暦表にその概要を記述する。
    • 2. 改訂部分は品質保証部によって管理コピー保有者全員に配布される。
    •  ① 改訂コピー受領者は,差し替え後,受領サインをして,旧ページとともに品質保証部へ返却する。
    •  ② 非管理コピー配布先には改訂手続きは実施しない。
    • 3. マニュアル改訂の要求は,品質マニュアル保有者全員の権利であり,「経営者による見直し」会議を主として,他の場合でも「品質マニュアル見直し要求書」を用いて品質保証部長に要求することができる。
    • 4. 品質マニュアルの正式な見直しは「4.17 内部品質監査」の後,最低年に1回は実施される。

    ☆改訂歴表を記載する。
    Rev. 改訂年月日 ページNo. 改訂内容 担当

    ☆関係標準書名と登録番号を記載する。
    品質マニュアル標準 KQM 101