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品質マニュアルの作り方(第51回)

平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第51回

条項4.3 契約内容の見直し

  • 次のことを実行することによってISO 9001“契約内容の見直し“の要求に合致させることが記述されている。
  • 1. 発注の打診
    • ① 会社は客先からの打診があった場合,自社の業務範囲に入っているか,市場戦略に合っているかにより受注を決定する。客先の要求事項と自社の工程能力が一致するかどうかをよく検討する。見積書を提出するまえにすべての疑問点が解決されていなければならない。会社内ではその顧客の要望に応えるための定義と文書化を実行する。
  • 2. 新製品オーダーの確認
    • ① オーダーが発注された後,その内容の確認を行い,見積書と一致するかどうかをチェックする。もし一致しない場合は,顧客に問合せをする。
    • ② 必要と思われるときには,関係する書類一式を設計課に送り,新製品立ち上げをスムーズに行う。
  • 3. 現流品の追加オーダー
    • ① 現流品の発注の場合は,技術変更の有無,日程変更について確認する。
    • ② すべての契約は,関係部門が参加する月度契約評価会議によって定期的に評価される。

条項4.4 設計管理

  • ポイントは次の通りである。
  • 4.4.1 一般 
  • ISO 9001の要求に合致する設計管理の手順書を制定し,これを維持し,管理していく。
  • 4.4.2 設計及び開発の計画
  •  設計と開発業務の責任を明確にした計画を制定し,この改廃を確実に行う。
  • 4.4.2.1 活動の割当て
  •  設計と検証の活動について計画し,適切な手段が与えられた有資格者に割り当てる。
  • 4.4.2.2 組織及び技術上の相互関連
  •  異なったグループ間の組織上および技術上の相互関連を明確にし,必要な情報は文書化し,伝達し,かつ定期的に再確認する。
  • 4.4.3 設計へのインプット
    • 1. 製品に関して設計にインプットする要求事項を明確にし,文書化し,かつそれらの選択の適切性について設計課長が再確認する。
    • 2. 不完全,不明確または矛盾する要求事項は,これらの要求事項の制定者のあいだで解決する。

  • 4.4.4 設計からのアウトプット
    • 1. 設計からのアウトプットは文書化し,仕様書,計算書および解析書によって表す。
    • 2. 設計からのアウトプットである仕様書は,次の事項を満足していること。
      • ① 設計にインプットされた要求事項を満たしていること。
      • ② 合格判定基準を含むかまたは引用していること。
      • ③ 該当する法規の要求事項に適合していること。
      • ④ 製品の安全性およびその固有の機能を決定づける設計上の特性を明確にしていること。

  • 4.4.5 設計検証
    • 1. 会社は,設計を検証する機能を計画し,確立し,文書化し,かつ有能な者に割り当てる。
    • 2. 設計検証は,次の手段によって,設計からのアウトプットが,設計にインプットした要求事項を満たしているかどうかを確認することである。
      • ① 設計審査を実施し,記録する。
      • ② 認定試験および立証を実施する。
      • ③ 別法による計算を実施する。
      • ④ 新しい設計に対応する類似の証明された設計と比較する。

  • 4.4.6 設計変更
    • 会社は,すべての変更および修正を明確にし,文書化し,適切に審査・承認するための手順を確立し,維持する。

条項4.5 文書管理

  • 会社の発行したすべての品質文書は標準書として管理していくことを記述している。
  • 4.5.1 文書の承認及び発行
  • 1. 文書とは次のものをいい「図面変更通知」「手順書」「作業指示書」に文書管理の詳細が示されている。
    • 文書       審査および承認者   配布と管理方法
    • 図面       技術課長       図面変更通知手順書
    • 仕様書      技術課長       図面変更通知手順書
    • 試験指示書    試験課長       作業指示書手順書
    • 検査指示書    製造・品質課長    作業指示書手順書
    • 作業指示書    該当部門課長     作業指示書手順書
    • 品質マニュアル  品質課長       図面変更通知手順書
    • 品質手順書    品質課長       図面変更通知手順書
    • 品質計画書    品質課長       図面変更通知手順書
    • 部門手順書    品質課        図面変更通知手順書
    • 客先図面     顧客         図面変更通知手順書
  • 2. 上記書類は,品質システムを実行する関係部署に配布される。
  • 3. 書類のマスターは品質課に保管され,文書が再発行されるときにはマスターは保管され,他のコピー文書はすべて廃棄される。
  • 4. 図面変更通知の配布先一覧表は,配布リストとして保管される。
  • 4.5.2 文書の変更・改訂
  • 1. 文書の審査,承認,配布,変更の責任は,最初に審査,承認,配布,変更した部署が負う。
  • 2. 変更の内容は図面変更通知または作業指示書手順書で明確にする。変更・改訂ごとに版番号を変更して最新文書であることをはっきりさせる。

条項4.6 購買

  • 購買について次のポイントを述べている
  • 4.6.1 ―般
  • 調達課長は,購買品を規格要求事項に適合させる責任がある。
  • 4.6.2 購買先と下請負契約者の評価
  • 1. 会社は,品質要求事項を含む,下請負契約要求事項に基づいて,下請負契約者を選定する。
  • 2. 承認された下請負契約者の品質達成記録を保管する。
  • 3. 会社は下請負契約会社を監査し,品質システムの管理が確実に実行されているかどうかを検証することができる。
  • 4.6.3 購買データ
  • 1. 購買注文書には次の項目を含む。
    • ① 対象品の詳細な記述
    • ② 最新図面,仕様書および関連技術データ
    • ③ 特別な要求
  • 2. 購買担当者は,購買文書に規定要求事項がすべて包含されているか再確認する。
  • 4.6.4 購買品の検証
  • 1. 顧客またはその代行者は,会社の購買先,外注先に立ち入り,品質要求事項に適合していることを検証することができる。
  • 2. 客先によるこうした検証は,受入れ可能な製品を提供しなければならないという, 会社の責任を免除するものではない。
  • 3. 会社は,このような検証の結果を,会社が効果的な品質の管理を行っている証拠としては用いない。