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品質マニュアルの作り方(第52回)

平林良人「品質マニュアルの作り方」(1993年)アーカイブ 第52回

条項4.7 購入者による支給品

  • 購入者による支給品が存在することを述べ,管埋のポイントを記述している。
  • 1. 客先からの支給品は,倉庫課長の責任によって入荷倉庫に保管,それに引き続き移動させる。
  • 2. この支給品は,会社の受入検査の対象にはしない。
  • 3. すべての支給品は,特定アルファベットの文字によりそのパーツ番号が規定される。
  • 4. 購入者からの支給品は,通常受入品と倉庫の中で区分されて保管される。
  • 5. この支給品の管理に関する詳細な手順は,倉庫保管手順書のなかに定める。

条項4.8 製品の識別及びトレーサビリティ

  • 製品の識別およびトレーサビリティについて簡潔に述べている。
  • 1. すべての組立品は,個別の表示かコードをもっており,これによって識別される。この表示またはコードは,客先からの指示か,社内規程によって定められる。
  • 2. トレーサビリティの程度は契約書の要求事項によるが,たとえば連続番号,ロツト番号か,または日付などにより実施される。この製品の識別およびトレーサビリティの体系については,品質計画書に記載されている。
  • 3. 個々の製品の識別とトレーサビリティは記録され,維持される。

条項4.9 工 程 管 理

  • 4.9.1 一般
  • 品質に直接影響を与える製造上程において,どのような管理が行われているかについてポ イントを述べている。
  • 1. 作業指示書の活用
  • 2. 適切な製造設備の活用
  • 3. 工程および製品特性の監視
  • 4. 必要に応じて工程および設備のチェック
  • 5. 規格書または標準見本などで示される作業の出来映えの基準

  • 4.9.2 特殊工程
  • 特殊工程とは,事後の製品の検査および試験ではその結果を十分に検証できない,製造の欠陥が製品の使用段階においてしか現れないような工程のことである。規定要求事項を満たすことを確保するためには,連続的な監視および手順書の遵守が要求されることを述べている。
  • 1. メッキ工程を特殊工程と認定する。
  • 2. 認定された工程,設備,作業者については,適宜記録を維持する。

条項4.10 検査及び試験

  • 検査及び試験についてのボイントを述べている。
  • 4.10.1 購入検査及び試験
  • 1. すべての購入品が会社の要求事項に適合していることを確認するため,受入検査職場で購入検査および試験がなされる。
  • 2. 緊急に製造するために搬入物品を直ちに使用する場合には,規定要求事項に対して不適合のときに備えて使用する。

  • 4.10.2 エ程内の検査及び試験
  • 1. すべての製品は,品質計画書に従って検査,試験,そして識別がなされる。
  • 2. 工程監視と管理は,品質計画書内の指示に従って実行される。
  • 3. 要求されている検査および試験が終了しないうちは,製品を次工程へ移動してはならない。
  • 4. 緊急な場合,たとえば部品の欠品が生じた場合には,その製品を明確に識別して記録し,回収が可能な状態にして例外的に出荷する。

  • 4.10.3 最終検査及び試験
  • 1. すべての製品は,品質計画書による指示に従い最終試験と検査を受ける。この記録は最終製品が要求仕様に適合する証拠となる。
  • 2. 品質計画書に定められているすべての活動が終了するまで,どんな製品も出荷されてはならない。
  • 3. 必要データはすべて記録され,確認される。

  • 4.10.4 検査及び試験の記録
  • 受入基準による検査および試験に合格している証拠となる記録を作成し,保管する。

条項4.11 検査,測定及び試験の装置

  • 会社にある検査・測定・試験装置の管理,校正,維持について,必要な測定能力に合致させるポイントを具体的に述べている。
  • 会社は次のようにする。
  • 1. 適切な検査,測定および試験の装置を選定する。
  • 2. 製品品質に影響を与えるすべての検査,測定および試験のための装置・機器を規定の間隔で校正する。国家標準とのあいだに法的に有効な関係をもつ認定された装置を用いて校正し,調整する。
  • 3. 装置の形式,識別番号,配置場所,点検頻度,点検方法,測定基準を含めて校正手順を設定し,文書化する。
  • 4. 検査,測定および試験の装置には,適切な標識をつけて校正状態を表示する。
  • 5. 検査,測定および試験の装置の校正記録を保管する。
  • 6. 校正基準からの外れが発見された場合には,過去の検査および試験の結果の有効性を評価する。
  • 7. 校正,検査,測定および試験は,適切な環境条件で行う。
  • 8. 検査,測定および試験の装置の取扱い,および保管には,精度維持がなされるように配慮する。
  • 9. 検査,測定および試験の設備は,校正の設定を無効にするような調節ができないように保護手段を講じる。

条項4.12 検査及び試験の状態

  • すべての製品の検査および試験の状態を,常に明確にしておくことについて述べている。
  • 1. 製品の検査および試験の状態を明確にして,場所を識別しておく。または個々の組立品や容器にマーキングする。
  • 2. 製造場所が順序よくレイアウトされていない場合には,検査と試験の状態が明確になるように原材料の配置を決める。
  • 3. 試験,検査に適合した製品のみが製造工程を通っていく。
  • 4. 不適合品はすべて明記された上,分離される。(8.製造手順書を参照)
  • 5. 品質課は出荷のまえに,流動票にサインをして製品の承認をする責任を有する。 (9.品質手順書を参照)
  • 6. 流動票は保管されること。(10.出荷・配達手順書を参照)