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品質マニュアルの作り方1994年対応版(第32回)

平林良人「品質マニュアルの作り方1994年対応版」アーカイブ 第32回

このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「品質マニュアルの作り方1994年対応版」全200ページです。
先に1987年版対応の「品質マニュアルの作り方」をお届けしましたが、今回はISO規格の改訂に伴い、全面的に1994年版規格に合わせた内容に更新したアーカイブです。

  • 条項4.6 購買
  • 4.6.1 一般
    1. 会社は基本方針として,すべての材料・部品は認定外注会社からのみ購買する。
    2. 購買部は,適切な品質の購入品を入手するための手順を文書化し,実行する。
  • 4.6.2 下請負契約者の評価
    1. 外注会社の認定は,当該外注会社に関する調査と,会社および第三者による正式な監査活動によって行われる。
    2. 会社は,外注会社の評価を,購入実績と品質実績から手順に従って行う。
    3. 新外注会社からの初回受入れにおいては,工程内で追加検査を実施したり,監視活動を強化することによって品質の確保をはかるとともに,リスクの低減に努める。
    4. 会社の品質システムにとって既に実績のある外注会社の品質を維持していくことと新しい外注会社の品質を検証していくことは,両方ともに重要なことである。
  • 4.6.3 購買データ
    1. 購買部は,必要項目が明確に文書化された注文書によって購買を行う。
    2. 購買部は,注文書の記述あるいは添付文書が不明確なために,購買部品の品質に不適合が起きないようにする。
  • 4.6.4 購買品の検証
    • 4.6.4.1 下請負契約先での供給者による検証
      1. 会社は,外注会社からの購入実績と品質実績に応じて外注会社の監査を実施する。
      2. 品質保証部は,購買部と共同で,外注会社監査標準を制定する。
    • 4.6.4.2 下請負契約された製品の顧客による検証

  • 条項4.7 顧客支給品の管理
    1. 会社は,顧客とのあいだに外注工場ならびに当工場の監査に関する取決めを結ぶ。
    2. 会社は,顧客の監査活動とは別に,購入品に関する品質管理活動を実行する。
      会社の顧客からの支給物品について述べている。
    3. 会社は,契約によって顧客から支給されるすべての部品・材料は,最低数量,材料・部品タイプ,輸送ダメージなどを受け入れ時にチェックする。
    4. すべての「無料支給品」には,倉庫に受け入れられるまえに,顧客識別番号,加工識別番号を付し,不認可の使用や不適当な処置がなされないような保護を講じてから識別された場所に保管する。
    5. 会社は,顧客からの支給品が完成品として再び顧客の手にわたるまで,その保管,取扱い,使用についての管理責任を負う。
    6. 受入れから出荷までのどの時点においてでも,もしこの「無料支給品」が紛失したり,損傷を受けたりしたときには,顧客に直ちに連絡をし,指示を受ける。

  • 条項4.8 製品の識別及びトレーサビリティ
  • 製品の識別とトレーサビリティについて具体的な部品を挙げて説明している。
    1. 会社は,すべての「安全必要な」部品,ユニットに,連続した番号および製造日を付すことにより,製造工程上必要な識別とトレーサビリティ確保のシステムを運用する。
    2. ここでいう「安全上必要な」部品,ユニットとは,次のものをいう。
      • 回路基盤。
      • 電源トランス。
      • モーター。
      • パネル。
      •    等。
    3. 品質保証部は,トレーサビリティ確保に関する記録を,5年間保管する。
  • 条項4.9 工程管理
  • 製造工程をばらつかせる各種要因について,その管理の仕方を述べている。
    1. 製造計画
      • ① 生産管理部門は,顧客の要求事項を十分に満足する仕事を効率的に行うため,製造計画を毎月社内制定する。
      • ② 製造部門は要求品質を満足させる仕事のできる作業環境を整備する。
      • ③ 品質保証部長は,新たに導入される装置,材料,方法,人について,4M変更管理基準に準拠した認可の責任を有する。
      • ④ 新製品は新製品管理基準によって管理され,この管理基準は,初回量産の認定に重点をおいている。
    2. 工程での品質の作り込み
      • ① 工場は,適合する材料,部品,手段を活用することにより,工程において製品品質を作り込むことに責任を持つ。
      • ② 工場は,工程レイアウト,図面,組立手順書,出来映え基準,限度見本などの適切な情報と指示を品質保証部から得る。
    3. 特殊工程
      • ① 会社は,高・低温温度試験を特殊工程と定める。
      • ② 工場は,要求事項に適合した出力の管理を連続した要因の監視によって工程管理する。
      • ③ これらの特性要因は製造開始前に制定され,その工程管理は指示書に記述されている。
  • 受入れ,工程内,出荷における検査と試験について述べている。
  • 4.10.1 一般
    1. 品質保証部は,全社の検査と試験に関する手順を制定する。
    2. 新製品,プロジェクトについて,品質計画書が制定されている場合には,品質計画書に記述された検査・試験の手順を優先する。
  • 4.10.2 購入検査・試験
    1. 品質保証部は,すべての受入部品,ユニットおよび組立品を,受入検査か他の検証方法で検査する。
    2. 受入検査部品の抜取数,検査特性は,外注会社の品質管理の実績で決められる。
    3. 緊急に購入部品を工場で使用する場合は,部品を識別して回収できるようにしてから使用する。
  • 4.10.3 工程内の検査・試験
    1. 工程内検査は製造検査員によって実施され,上司に報告される。
      • ① 製造方法は管理された状態になっているか?
      • ② 製造出荷検査で検査されないすべての特性は検査されているのか?
      • ③ 不適合品が早期に検出できているのか?
  • 4.10.4 最終検査・試験
    1. 品質保証部の検査員は,工程内検査および試験の検証に加えて,外観,機能試験など,要求事項のすべてについて抜取検査を行う。
    2. すべての製品は,品質保証課長または出荷検査主任の許可なしでは,出荷場または顧客のもとへ製品を移動させてはならない。
    3. すべての検証活動は,適切な帳票に記録される。

  • 会社の検査,測定および試験の装置についてポイントを述べている。
  • 4.11.1 一般
    1. 会社は,使用する検査,測定および試験装置の精度を常に維持するために,検査,測定および試験装置の校正を実施する。
    2. この校正の対象には,ソフトウェア,ジグ,固定具,型なども含み,規定の間隔で点検し,管理の証拠としての記録を残す。
  • 4.11.2 管理手順
    1. すべての校正活動は,国家的標準につながる仕組みとなっている。これは,校正のために社内で使用される一次標準器を,外部標準器校正機関へ校正依頼することで実施している。
      社内で校正できない装置は,国家標準につながる校正装置をもっている校正機関に送って校正されなければならない。
    2. 品質保証部は,すべての装置に個別の識別番号をふる。
      • ① すべての装置は,記録カードによって管理されている。
      • ② 装置がその持っている精度能力から外れている場合,校正周期を調整すると同時に,その装置を使用した最近の製品の調査を行い,分析をする。
    3. 会社は,すべての検査,測定および試験の装置に対して,適切な保管・維持と取扱いを実施する。

  • 条項4.12 検査・試験の状態
  • 製品,部品などの検査および試験の状態について述べている。
    1. 会社は,すべての段階で,検証活動が誤って行われることを防ぐために,製品の検査と試験の状態を表示することを徹底する。
      • ① 物品が搬入されても,その品質が規定要求事項に適合することが検証されないかぎりは倉庫へ移動させない。
      • ② 受入場所または倉庫にある物品の状態は,おのおののパレットまたは箱に,ラベルによって次の通り表示される。
        • a)検査待ち。
        • b)合格。
        • c)不合格。
        • d)保留(判断待ち)。
    2. 製品が製造工程中にあるときは,すべての製品は製品に添付される「工程管理票」によって,その状態が表示される。
      作業者は,その工程が終了したとき,その工程管理票にサインをする。
    3. すべての工程と検査が問題なく終了すると,完成した製品は,品質保証部の保留区域に移動される。品質保証部は,完成した製品がすべての規定要求事項を満足していることを確認して,完成品出荷証明書を発行する。
  • 不適合品の管理について述べている