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「パフォーマンスの改善」(第76回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第76回

組織レベルの重要経営問題-副社長にとって関心のあるパフォーマンス問題か機会-を特定する。請求人からの苦情、莫大な再作業の原因となる請求の誤りが多くありますか?請求人への支払額は高過ぎますか?Sharonは請求処理時間の領域でPCIが競争優位を確立する機会があると思っていますか?
プロセスレベルで重要経営問題に最も大きい影響を与えるビジネスプロセスを特定する。それは請求裁定のプロセスであると仮定しましょう。
裁定のプロセスを文書化し、各プロセスステップの望ましいパフォーマンスと実際のパフォーマンスのギャップを特定するためにプロセスマップ(第5章参照)を用いる。
ギャップがあるプロセスステップのパフォーマンスに影響を与える業務を特定する。恐らく、それらの業務は請求受付担当と請求監督者です。
請求受付担当と監督者に望まれるアウトプットのリストを作る。望まれるアウトプットのどれが産み出されていないかを特定する。
標準以下のアウトプットのあらゆる原因を特定する。可能性のある原因(第6章で詳しく述べた)には、パフォーマンス仕様がないか不適切であること、タスクの干渉、考課がないかベクトルが合っていないこと、フィードバックがないか不適切であること、スキル又は知識の不足、及び個人の能力不足を含みます。

Stephenはスキルと知識のニーズのためだけの教育訓練を開発しました。理想的には、彼は教育訓練でない領域(環境)における変化を推奨する特権も持つべきでした。
この6ステップのプロセス(第9章で説明した14ステップのパフォーマンス改善プロセスからの抜粋)の間に、Stephenは(重要経営問題に関連する評価に関して)最も良い成果を出している請求事務所及び他の2か3つの事務所を訪れるでしょう。各事務所では、事務所長にインタビューして、かつ効果的な請求監督者と請求受付担当と効果の出ていない請求監督者と請求受付担当をインタビューし観察することによって、必要な情報を集めることができます。
PCIの要求は、実際には、保険会社の経営者によって行われました。幸い、本物のStephenは3レベル分析を実施する手配をしました。結局、重要経営問題(請求に対する過剰な支払い)に最も多くの影響力を持っていた業務は請求監督者でした。このように、請求代理人は教育訓練を必要としないだけでなく、彼らは大きな改善の機会をもつ担当者でもありませんでした。請求監督者は、請求の認定と請求を請求受付担当に割付ける2つの業務のアウトプットにおいて改善を必要としました。教育訓練は解決策の一部でしたが、主要なニーズは評価とフィードバックシステムに対するものでした。もしHRD担当の取締役が運用部門担当副社長の要求に何の疑問も抱かずに応じたなら、彼は、PCIのお金を浪費する、請求受付に対する素晴しい教育訓練計画を開発したでしょう。

人材能力開発のプロアクティブな計画。HRDの専門職は、教育訓練要求を無視しようとするべきではありません。しかしながら、彼らは教育訓練要求によって動かされるべきではありません。純粋にリアクティブなやり方から抜け出すには、HRDプランを始めることです。HRD計画プロセスのステップは以下の通りです。

重要な依頼者を特定する(事業ユニットか部門毎に幹部マネージャーを各依頼組織における窓口として)。
依頼組織の窓口と共にHRDプランを開発する。依頼組織の次の18カ月に予想される運用ニーズを特定することから始める。これらのニーズは事業ユニットの戦略かその戦略への部門の貢献に基づくべきです。これらのニーズに基づいて、それらを満たすために必要な教育訓練を特定する。その計画は、依頼組織とHRD部門の両方がその計画を満たすために行うことを示すべきです。
事業ユニットのHRDプランのすべてをHRD部門の計画と予算に統合する。
6カ月毎に依頼組織と共に計画に対しての進捗を確認する。
年末に進捗を確認して、翌年の計画を最新のものにする。

もしも計画外の教育訓練要求がHRD機能に届いたならば、HRDの代表及び依頼組織の窓口はそれが計画への何らかの追加なのか変更なのかどうかを議論するべきである。もしそれが追加ならば、必要な資源に関し依頼組織と交渉します。
たとえHRDが教育訓練の活動に制限されていても、この簡単な計画プロセスは顧客の長期的なニーズに基づく明確な優先事項になります。その計画プロセスは、ビジネスの総合的なパフォーマンス環境に存在するニーズを正しく位置づけ、HRD部門が、より堅調なビジネスに立脚した資源配分に関する決定を可能にします。