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国際頭脳循環 | ISO情報テクノファ

ISO審査員及びISO内部監査員に文部科学省の白書を参考に各種有用な情報をお届けします。

■国際頭脳循環

日本においても国際共著論文の割合は増えていますが、英独仏と比べると、その割合は低い状況です。また、海外派遣研究者数については、6か月以内の短期派遣者数は増加傾向ですが、中・長期派遣者数は停滞しています。さらに、米国における博士号取得者数は直近10年で半減しています。

(主要国の論文数及びTOP10%補正論文数における国内論文と国際共著論文)
主要国の論文数及びTOP10%補正論文数における国内論文数(国内の研究機関に属する研究者のみで執筆した論文数)及び国際共著論文数について状況を確認していきます。
・各国とも国際共著論文数が増加しています。ただし、日本は、英独仏と異なり、国際共著論文より国内論文の方が多くなっています。
・日本は、英独仏と比べ、TOP10%補正論文数が少ない状況です。また、英独仏と同様、国内論文より国際共著論文の方が多くなっています。主要国の国際共著率について、2007-2009年と2017-2019年を比較しています。
・日本の国際共著率は10年間で10.1ポイント増加し、35.2%となっていますが、英国、ドイツ、フランス、米国はそれ以上に増加しています。論文数に占めるTOP10%補正論文数の割合(Q値)を確認しています。
・直近では、日本のQ値は、ここに掲載した国の中で最も低い状況です。
・特に、日本の論文の約65%を占める国内論文のQ値は、年々低下しており、他国と比べてその低下割合が大きくなっています。
・日本の国際共著論文のQ値は、他国と同様に年々増加しており、他国と比較するとやや低い状況です。
・いずれの国も、国内論文より国際共著論文のQ値が高くなっています。以上より、日本のQ値は主要国の中で低く、特に、国内論文のQ値が低下していることが分かります。

(研究者の海外派遣の状況)
国公私立大学や独立行政法人等の海外派遣研究者数の推移を短期(1か月以内)/中・長期(1か月を超える期間)に区分して示したものです。
・短期派遣研究者数は、調査開始以降、増加傾向が見られましたが、2020年度は前年度に比べて大きく減少しました。
・また、中・長期派遣研究者数は2001年度から減少に転じ、概ね同水準で推移してきましたが、2020年度は前年度に比べて大きく減少しました。
・2020年度の大きな減少は、新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた期間が、2019年度については2020年1月か3月までの3か月間であったものが、2020年度は一年を通じたためです。

(研究機関に在籍する研究者に対する海外派遣研究者(中・長期)の割合)
研究機関に在籍する研究者に対する海外派遣研究者(中・長期)の割合の推移を示したものです。
・令和2年度は、新型コロナウイルス感染症の影響により前年度に比べて大きく減少しました。
・ポスドク・特別研究員等の割合が最も高く、一般研究員、主任研究員以上、が続きます。一方、講師の割合が最も低くなっています。

(米国における研究博士号1取得者数の推移)
米国における研究博士号取得者数の推移について各国の状況につき確認していきます。
・日本は、2012年と比較して、2020年は半数以下に減少しており、掲載した国の中で、減少割合が最も高くなっています。
・2020年、日本は114人ですが、これは韓国の10分の1程度です。

■特許、技術貿易、産学連携
パテントファミリー数について、日本は1位を維持しています。ハイテクノロジー産業(医薬品、電子機器、航空・宇宙)の貿易収支比は、日本は入超、ミディアムハイテクノロジー産業の貿易収支比は、日本は出超です。また、我が国の大学等が民間企業等と共同研究等を行った額及び件数は増加傾向です。

(パテントファミリー数)
パテントファミリー数上位10か国・地域の推移について確認していきます。
・特許出願に着目し、各国・地域から生み出される発明の数を国際比較可能な形で計測したパテントファミリー数について、日本は1位を維持しています。

(パテントファミリーに引用されている論文数)
パテントファミリーに引用されている国・地域ごとの論文数です。
・日本はパテントファミリーに引用されている論文数が米国、ドイツに次いで多くなっています。

(主要国における産業貿易額の推移)
主要国における産業貿易額の推移の状況について確認していきます。
・ハイテクノロジー産業(医薬品、電子機器、航空・宇宙)貿易は、輸出入額共に「電子機器」が多くを占めている国が多くなっています。貿易収支比(各国最新年)は、日本、米国は入超、ドイツ、中国、韓国は出超です。
・ミディアムハイテクノロジー産業貿易の輸出額(各国最新年)を見ると、日本、ドイツでは「自動車」、米国、韓国では「化学品と化学製品」、中国では「電気機器」が多くを占めています。貿易収支比は、日本、ドイツ、中国、韓国は出超、米国は入超です。

(大学等と民間企業等との共同研究等)
我が国の大学等が民間企業等と共同研究等を行った額及び件数の推移についてみていきます。
・受入額は図に示す全ての区分において増加傾向にあり、特に共同研究においては急激に増加しています。
・件数についても治験等を除き増加傾向にあり、こちらも共同研究において増加の傾向が顕著です。

(ユニコーン企業数)
主要国におけるユニコーン企業数を業種で分類してうえで状況を確認していきます。
・我が国のユニコーン企業数は主要国と比べると少なく、米国及び中国におけるユニコーン企業数が極めて多くなっています。

(つづく)Y.H

(出典)
文部科学省 令和4年版科学技術・イノベーション白書 
科学技術・イノベーション白書