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ISO19011に準拠した内部監査に関する質問50選(その1)

読者の皆様から、ぜひISO19011:2018に沿った内部監査について解説をしてほしいとの要望が寄せられましたので、急遽「ISO19011に準拠した内部監査に関する質問50選」についてお話をすることにいたしました。 

内部監査については、当社ホームページ「平林良人の部屋」に既に「内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選」を連載しています。内部監査の基本はその質問100選の回答に書いたことがほとんどであると思います。
しかし、2019年にJIS Q 19011が発行され、認証審査では改めてこのJIS Q 19011に沿って内部監査を行うことが推奨されていますので、重複するところがあるかもしれませんがJIS Q 19011:2019を引用しながら内部監査でのポイントをできるだけわかりやすく解説しようと思います。なお、以下の文中ではJIS Q 19011をISO 19011:2018と表記しているところがあります(JIS Q 19011はISO 19011:2018の翻訳規格)。

A:内部監査の目的

【質問1】内部監査は改善のために行うと言われますが、どのようにすれば改善につなげることが出来るのでしょうか?

【回答1】
  確かにISO19011 :2018には内部監査は組織のマネジメントシステムの改善のために行うと説明されています。ISO 19011:2018の序文には「監査結果は,事業計画策定の分析の側面に対してインプットを提供し,改善の必要性及び活動の特定に寄与することができる。」と書かれています。
そして、それ以降多くの箇条に「改善」の2文字が出てきます。あまりに多く出てくるので、改善にばかり焦点が当たり、肝心の内部監査の進め方すなわち手順が疎かになるのではないかと心配になります。組織にとって「改善」は永遠の課題です。事業活動を進めている限り改善することは日常活動を始め、年間計画立案と実行、中長期計画立案と実行などにおいて不可欠のことです。改善に関与する人は、一般従業員、課長、部長、役員そして社長まで組織の全員であって、内部監査はその機会の一部であり、その他組織活動のあらゆるところで改善は行われて行かなければなりません。

ISO9001、ISO14001などのマネジメントシステム規格にもトップの責任として「改善を促進する」ことが要求されています。つまり、改善を行うことは内部監査の実施だけでなく、内部監査を超えて組織全体で行わなければならない非常に大きな課題であるということです。だからと言って、内部監査で改善を目的にしなくてよいと言っているわけではありません。内部監査で細かな些細なことを指摘すると、そんな枝葉末節なことより改善に寄与するシステムの弱さを指摘してほしい、というような要望が管理職から出されることがよくあります。しかし、細かなことにこそ改善のヒントがたくさん含まれているものです。ISO19011が規定しているように、組織が内部監査を「改善の機会」のための手段として位置づけるならば、内部監査は大向こうを狙わずに、決められた手順にそって愚直に実行することが大切ですし、そうしてこそ目的を達成することができるのです。そして、何よりも改善のために行うとしたら、まず改善とは何かを知る必要があります。今の状態よりも更に良い状態にすることを改善と言いますから、まずは今の状態を知ることが必要になります。

回答の締めくくりとして:

「はい、内部監査は改善のために行うことが目的ですが、その目的達成のためには、監査される部署の今の状況を知り、到達すべき状態とのギャップを明確にしなければなりません。」

「ISO19011の該当する部分」
序文(抜粋、下線部は筆者追加)
JIS Q 19011:2012 を発効して以降,多くの新しいマネジメントシステム規格が発効されてきており,その多くが共通の構造,共通の中核となる要求事項,並びに共通の用語及び中核となる定義をもっている。 結果として,より共通的な手引を与えることに加え,マネジメントシステム監査へのより幅広いアプローチを考慮する必要がある。監査結果は, 事業計画策定の分析の側面に対してインプットを提供し,改善の必要性及び活動の特定に寄与することができる。 監査は,様々な監査基準の,個別又は組合せに対して行うことができる。この監査基準には次の事項を含むが,これらに限らない。

- 一つ又は複数のマネジメントシステム規格で定める要求事項
- 関連する利害関係者が規定する方針及び要求事項
- 法令・規制要求事項
- 組織又は他の関係者が定めた一つ又は複数のマネジメントシステムプロセス
- マネジメントシステムの特定のアウトプットの提供に関係するマネジメントシステムの計画
  (例えば, 品質計画,プロジェクト計画)

この規格は,全ての規模及びタイプの組織,並びに様々な範囲及び規模の監査に対して,手引を提供する。これには,一般的に更に大規模な組織で大規模監査チームが行う監査,及び組織規模の大小に関わりなく単独の監査員が行う監査が含まれる。この手引は,監査プログラムの範囲,複雑性及び規模に適切に対応させることが望ましい。

(次号へつづく)

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