ISO情報

ISO 9000規格とは

 ISO 9000規格についての詳細説明をします。まずご注意いただきたい点は、ISO 9001とISO 9000は規格としては別なものとして存在する、という点です。

※ ISO 9001とISO 9000の関係性については、「ISO 9001内部監査員2日間コース(QN31)」、「ISO 9001規格入門コース(QK51B)」でご紹介しています。

 ISO 9001の表題は「品質マネジメントシステム-要求事項」ですが、ISO 9000は「品質マネジメントシステム-基本及び用語」です。通称でISO 9000という言われ方が専門家を含め各所でなされていますが、通称で言う際にはほとんどの場合はISO 9001規格のことを指しています。そしてISO 9000規格は、あくまでISO 9001規格のベースにある基本概念の説明を、用語の定義集として構成される規格なのです。

※ ISO 9000規格の概要については、「ISO 9001規格解説2日間コース(QK52)」で解説しています(テキストに用語集を掲載)。

 ISO 9001では引用規格としてISO 9000を指定しています。つまり両者は一体になった運用、活用が求められていることになります。

 そしてISO 9000規格の条項は

  • 序文
  • 1.適用範囲
  • 2.基本概念及び品質マネジメントの原則
  • 3.用語及び定義

 という作りになっています。

 用語の定義集という捉え方をされている方も多いとは思いますが、序文から2.の基本概念及び品質マネジメントの原則までには、ISO 9001、そして品質マネジメントシステム(QMS)を考える、取り組む上で、理解を深める及び整理する上で参考になる内容があちこちに散りばめられています。是非とも一度は目を通して頂きたい部分になります。

 規格からいくつか書かれている内容を抜粋しておきます。

 「この規格に規定する品質マネジメントの概念及び原則は,組織に,ここ数十年とは本質的に異なる環境からもたらされる課題に立ち向かう能力を与える。」(2.1一般 より)

 「組織の目的は,例えば,組織のビジョン,使命,方針及び目標を通じて表明することができる。」(2.2.3組織の状況 より)
「利害関係者の概念は,顧客だけを重要視するという考え方を超えるものである。密接に関連する利害関係者全てを考慮することが重要である。」(2.2.4利害関係者 より)

 このように概念部分の補強のために説明だけでなく、ISO 9001規格の理解を深めるための参考資料としても活用できる部分があります。

 もちろん、その後に出てくる用語の解説も、この言葉はどのような意味で用いているのか?時になった時に確認する上で、QMS構築運用担当者、内部監査責任者の旁などには、いつでも触れることができるようにしておいて欲しい文書になります。

 ISO 9001規格とは違い、担当者一人ひとりが手元に置いておく必要はないものですが、組織としては必ず用意しておく必要がある規格です。