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ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール(第15回)

平林良人「ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール」(2005年)アーカイブ 第15回

インベスター・イン・ピープル(IiP)

活用方法

要素 コメント
ISO 9001との関連 MR RM PR M&A Imp
活用範囲 あらゆるタイプの組織
製造とサービスの両方
組織
システムにおける変化の度合い
人々に関する変化の度合い
利益レベル
参加レベル 完全に推進母体として
成熟レベル 初心者
時間尺度 規格に基づいた仕組みを構築しようと決心してから、周知徹底されるまでの期間は、一般に6ヶ月から2年間位までばらつくが、これは組織の中にどの程度このプログラムの展開を必要とするかの程度による。
投資レベル 安い
実施方法 プログラム

背景

インベスター・イン・ピープル(IiP)は、1990年代初期に実行された、組織の従業員に効果的な投資をしたことを示すイギリス国家規格であり、従業員への投資を行うことで、公共部門の有効性とサービスを改善してきました。

Iipイニシアチブは、規定された研修を達成した組織を表彰し、組織がIipロゴを表示することを認める制度です。規格は、人々への投資したことによって利益を上げたイギリスの組織を対象としてきました。規格は最初に公表されて以来、何回か改訂をしてきています。例えば、最近の改訂には次の2つが導入されました。

 「組織は人材開発の機会均等の保証を約束している」
 「人々は自分達の組織への貢献が認められていると信じている」

原則

IiP規格は4つの主要な原則を持っています。

  1. 宣誓:IiPは組織の目的、目標を達成するために、人材育成することを堅く誓う。
  2. 計画:IiPは組織の目的、目標が明確であり、それらを達成するために何を従業員がすべきかをはっきりさせる。
  3. 行動:IiPはパフォーマンスを改善するために、効果的に人材を育成する。
  4. 評価:IiPは人々への投資が、パフォーマンス上効果があることを理解する。

IiPは従業員が最も貴重な資産であり、従業員の育成は、公共サービスを改善するに必要不可欠なものであると認識しています。IiPは総ての産業界、総ての規模、総ての組織に開かれたものです。大きい組織の一つのユニットにも同じく適用可能です。

アプローチ

IiPとなるには次の多くの段階があります。

  1. 情報収集:規格についてより多くのことを見出し、その応用を含む。
  2. 初期の評価:組織が国家規格に対してどのくらいの水準にあるかをみて、総てのギャップを少なくする行動を明確にする。
  3. 育成:必要に応じて人々とプロセスを育成する。
  4. 次の評価:組織が規格を満たすと、IiPとして正式に承認されロゴの使用を通じて、社会的に公表される。
  5. 再評価:組織は、どれくらいの頻度で規格に対して見直しを受けるのか、決める必要がある。期間の最大は3年であるが、承認後の見直し期間について最小期間又は推奨期間はない。タイミングは、確実に規格を維持するには継続的改善が必須要素になる頃とすべきである。

評価者は次のものを評価します。

  • 可能な限り従業員を巻き込んでの効果的なサービス計画
  • 組織レベル、管理レベル、実施レベルで明確にされるサービス提供に関しての、主要研修課題と育成課題における効果的な人材計画
  • 事業ニーズに沿って決められる研修ニーズと育成ニーズに対する、すべての従業員への効果的な評価
  • 導入教育とOJTを含む研修と育成
  • 個人レベル、チームレベル、及び組織レベルの固有目標に対して評価される、すべての研修活動と育成活動

再評価は、前の評価で評価者が勧告した改善について、例えば次のようなことをチェックすることになります。

  • 従業員との個別面接又は集団面接
  • すべての階層への研修及び育成評価
  • 前の評価で特に弱いとされたサービス領域
  • 地理的又は他の「周辺エリア」への十分な関与
  • プロセスの効果的な監視(例えば、サービス計画、評価、導入、パフォーマンス指数)

組織にとってのIiPの利益は次の通りです。

  • より系統的なアプローチの研修、事業ニーズに基づいた研修焦点の明確化、研修のより高い価値
  • 従業員とのコミュニケーション改善、事業への従業員のよりよい理解
  • 労働力の高いレベルの動機づけ
  • より熟練した労働力
  • 収益の増加

個人にとってのIiPの利益は次の通りです。

  • 仕事への満足感の増加
  • 良い仕事ができるようになる研修と育成
  • 認識と構造化された育成
  • 組織へのより大きな誇り
  • 改善された動機づけとコミットメント