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ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール(第19回)

平林良人「ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール」(2005年)アーカイブ 第19回

パフォーマンス評価

活用方法

要素 コメント
ISO 9001との関連 MR RM PR M&A Imp
活用範囲 あらゆるタイプの組織
製造とサービスの両方
機能、部門又は組織
システムにおける変化の度合い
人々に関する変化の度合い
利益レベル
参加レベル 推進母体として
成熟レベル 初心者、経験者、及び世界クラスの者
時間尺度 3ヶ月以内
投資レベル 安い
実施方法 プロジェクト

背景

評価できないものを管理することは不可能だと、よく言われます。また、組織は非常に貧弱なパフォーマンス評価システムしか持っていないことがよくあります。

パフォーマンス・マネジメント・フレームワーク(PMF)は、多くの重要な評価指標を明確にし、現在のパフォーマンスと計画されたパフォーマンスを監視することで、組織を経営管理する仕組みです。

評価指標は、バランススコアカードアプローチに基づいて、組織の使命及び重要成功要因から展開されます。このアプローチはすべての組織にとって有益で、様々な規模の民間と公共組織において、成功裡に使用されてきました。

主な利点は次の通りです。

  • このアプローチは、戦略を行動に繋げることで、パフォーマンス状況について簡単な見解を与える。マネジメントの概要が簡単に理解できる。
  • すべての利害関係者の利害が明確にされ、パフォーマンスデータを集める努力が最小ですむ。
  • PMFの構造からして、パフォーマンスを見直す時に必要となる詳細さで、容易に接触することができる。
  • マネジメントの意志決定がより強い確信の元で下され、議論は事実を無視せず事実に基づいて行われる。

原則

従来パフォーマンスの評価とその指標は、財務情報から得ていました。財務情報は組織が過去にどの位うまくいっていたか、いっていなかったかを評価しますが、現在、そして将来のパフォーマンスに関しては何の情報も提供しません。

KaplanとNortonは、1992年に初めてバランススコアカードの概念を紹介しました。バランススコアカードは、4つの主要な視点から組織をみます。

  • 財務(過去)
  • プロセス(現在)
  • 顧客(現在)
  • 学習と成長(将来)

同じように、2種類の基本的なパフォーマンス指標があります。

  • 結果指標(「遅行指数」として知られている)使命に合致するためには何を達成しなければならないのか、将来、組織はどこにいたいのか、それらに対しての組織のパフォーマンスを示す。
  • 推進指標(「先行指標」として知られている)どのようにこれからの結果は出るのか、組織は今どのように機能しているのか、組織プロセスのパフォーマンスを示す。

推進指標のパフォーマンスが低いと結果は達成されず、事業はその目的及び任務を満たさなくなります。

アプローチ

アプローチは次の5段階の「推進」順序に従います。

範囲を決める

  • どんなに重要なプロジェクトでも、最初はプロジェクトの定義と、プロジェクトチームの結成から出発します。さらに、経営幹部により定義され承認された業務範囲は、この時に利害関係者にきちんと説明されるべきです。

現況を見直す

  • 現在の重要成功要因(CSF)、主要パフォーマンス指標(KPI)、及び他の利用可能な指標を決めます。指標に関係する関係者には、この段階で後日問題にならないように、何らかの考慮がされるべきです。

PMF(Performance management Framework)構造を決める

  • 潜在的な指標を明確にします。これらは戦略上(CSF)及び運用上(KPI)のレベルにあるものです。目標、潜在的データの収集システム、評価方法、評価構造及びその責任等は、すべて承認されなければなりません。

指標を検証する

  • 指標は、主要利害関係者、組織によって確認される前に、それらがバランスとれていることをチェックしてください。結果としてシステムが組織のニーズを満たすことを確実にするために、この段階の一部に「予行演習」の実行が含まれます。

展開する

  • 規則的にデータ収集しそれを活用するために、指標の対象となるところをそれぞれ決め、実施計画として展開してください。実施の監視は、監視のための確認スケジュールを作成することが普通です。このスケジュール表は、進行中のPMFを系統的に確認することに発展します-指標は有益で、適切で、そして事業を管理するために使われていますか?

他の考慮

  • 一旦組織がその方向及び重要成功要因について調整したならば、PMFアプローチは最も効果的なものです。この調整がまだつかない組織は、方向設定と展望検討活動から始めることが必要です。必要ないというならば、既にパフォーマンスマネジメントシステムは存在していることになります。