ISO情報

新・世界標準ISOマネジメント(第31回)

平林良人「新・世界標準ISOマネジメント」(2003年)アーカイブ 第31回

3.3.4 ISMS審査登録制度

  • JIPDECがISMSの第三者審査登録制度をスタートさせたことは、3.3.2節で述べた通りである。
  • またISMS適合性評価制度は、各企業・組織が構築したISMSを対象に、その内容が所定の認証基準を満たしているかどうかを判断する制度であるということから、ISMSは制度の存立基盤そのものでもあるとも云える。
  • 情報セキュリティマネジメントシステム適合性評価制度への取り組み
  • これまでの取り組みを時系列に並べると以下の通りとなる。
    • 1981年   安全対策実施事業所認定制度(安対制度)創設
    • 2001年3月 安対制度廃止
    • 2001年4月 ISMS認証基準(Ver0.8)公開。パイロット事業準備開始
    • 2001年5月 ISMSパイロット事業実施要領公開
    • 2001年8月 パイロット事業開始
    • 2001年9月 ISMSガイド(Ver.0.8)及びパンフレット公開
    • 2002年4月 ISMS認証基準(Ver.1.0)によりISMS制度本格開始
  • 最新の基準類
  • JIP-ISMS100-2.0 ISMS認証基準Ver.2.0
  • JIS X 5080:2002 情報技術-セキュリティマネジメントの実践のための規範
  • JIS Q 9001:2000 品質マネジメントシステム-要求事項
  • TR Q 0008:2003 リスクマネジメント-用語集-規格において使用するための指針
  • JIP-ISAC100-1.0b ISMS審査登録機関認定基準 2003.06.02改訂
  • JIP-ISAC110-1.1a ISMS審査登録機関認定の基準 2003.06.02改訂
  • JIP-ISAC200-1.0a ISMS審査員研修機関認定基準 2002.10.01改訂
  • JIP-ISAC220-1.0a ISMS審査員研修コース基準2002.10.01改訂
  • JIP-ISAC210-1.1a ISMS審査員研修機関認定の手順2003.06.02改訂
  • JIP-ISAC400-1.0b ISMS審査員の資格基準2003.06.02改訂
  • JIP-ISAC410-1.1a ISMS審査員登録の手順2003.06.02改訂
  • 制度の体系
  • 2001年9月20日時点では、2002年4月以降の本格展開に備えた制度体系は確定していない。
  • 意思決定制度
  • ISMS適合性評価制度の運営に関する意思決定を行う体制・仕組み。ISMS適合性評価制度運営の実務はJIPDECが執行するが、重要な意思決定は意思決定機関であるISMS制度運営委員会が行う。
  • ISMS構築の体制
  • ISMSを構築する際には、下記のような体制(省略)を組み、それぞれの役割を果たすことが望ましい。

3.4 食品安全マネジメントシステム

3.4.1 食品安全マネジメントとは

  • 1996年に起きたO-157食中毒、それに引き続き2000年に起きた乳製品の黄色ブドウ球菌食中毒、BSE、牛肉偽装事件等は、その原因、背景は異なっても日本国内での食品安全への関心を急速に高めた。
  • “食中毒”は、食中毒を引起こす細菌、ウイルス、有毒物質が混入した飲食物を摂取した場合に起こる健康被害である。 食中毒には、腹痛、下痢、嘔吐の症状を伴うものが多く、比較的軽症のものから、極度の脱水症状や呼吸麻痺、場合によっては死亡に至るものまである。
  • 一般に、食中毒は季節により発生状況が変動する。11月から3月の冬期では、細菌性食中毒の発生は比較的少なくなるが、フグによる食中毒は多くなる。腸炎ビブリオによる食中毒の場合、毎年4月頃から発生が増えはじめ、海水温度が高くなる7月下旬から9月にかけてが、最も起こりやすい時期となる。また10月から11月にかけては、毒キノコによる食中毒が増加しやすい。
  • 我が国では、従来から魚介類の“生食”という習慣があるので、腸炎ビブリオによる食中毒が多く発生していたが、最近ではサルモネラによる食中毒が増加傾向にあり、平成4年には、腸炎ビブリオを抜いて原因菌の第1位になっている。
  • また、カンピロバクターという比較的新しい原因菌による集団食中毒が発生したり、国内では発生例のなかったボツリヌスA型菌による食中毒などもみられるようになっている。
  • 日本では1995年の厚生省(当時)「総合衛生管理製造過程承認制度」創設以来、食品業界にHACCP(Hazard Analysis and Critical Control Point:危害要因分析と重要管理点管理方式)の導入が推進されてきた。
  • しかし、2000年に起きた乳製品の食中毒事件発生以来、厚生労働省「総合衛生管理製造過程承認制度」におけるHACCP導入は一つの曲り角にきたといえる。