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内部監査の実践(その17)

内部監査では品質マニュアルを事前に読んでおくことが必要である、とお話をしてこれまでA社の品質マニュアルを16回にわたって紹介してきました。
品質マニュアルはQMSの根幹となることを要領よくまとめていますから、自社の製品品質がどのように作り込まれていくのかがよく理解できます。もし、よく理解できないということであれば、それは品質マニュアルがうまく作られていないと言えます。

内部監査員はQMSマニュアルを読んでおくことが必要ですが、監査の基準としては業務の説明が大きすぎます。もう一段細かく業務説明がされている標準書が内部監査の基準には必要です。品質マニュアルに記載されている標準書を事前に読んでおくことが推奨されます。

本シリーズ「内部監査の実践」では、A社のB事業本部のQMSをISO9001:2015に沿って、具体的にどのように監査するかを、実例を中心に説明したいと思います。
その際、内部監査とマネジメントレビューに関する質問100選2019.11.1」
https://www.technofer.co.jp/iso/mr-qa100-01/)、及び
「ISO 19011に準拠した内部監査に関する質問50選」を随時参考にしていきます。
https://www.technofer.co.jp/iso/hirabayashi-room/

最初は、A社品質マニュアルに記載されている「設計審査標準  KDR105」を内部監査対象標準書として取り上げます。

【設計審査標準  KDR105】
(目的)
 第1条 この標準は、「品質マニュアル」で定められた設計審査(以下「DR」という)活動の基本を定めることを目的とする。

(適用)
 第2条 この標準はDRの運用に適用する

(DR活動責任者)
 第3条  DR活動の責任者は設計部長とする。関連する部門長は、DR対象とその範囲について設計部長に提案できるものとする。

(DRの対象)
 第4条 DR活動は新製品またはこれに類する製品とし、主に以下に示す製品をいう。
  ① 新規に設計する製品
  ② 従来製品の仕様を変更する製品
 DR対象範囲はその性格、新規性等を考慮して重要なものを的確に選定する。
 設計部長は以上のことを考慮してDR対象製品とその範囲を決定する。

(DR委員会の設置)
 第5条 DR活動を円滑に実施するためにDR委員会を設置する。

(委員長)
 第6条  DR委員長は原則として設計部長がその任にあたる。

(DR委員会の事務局)
 第7条 DR委員長はDRのテーマ毎にDR委員会の事務局を、原則として主管部門内に設置する。

(委員)
 第8条 DR委員長は各部門から、必要な専門知識・経験を有する適切な委員を選出・任命するものとする。必要な場合、社外からの委員を選出・任命する。

(開催時期)
 第9条 DR委員会は、指摘事項の取入れを容易にするため、設計段階のできるだけ早い時期から開催する。

(技術的評価)
 第10条 DR委員会は検討課題抽出の場とする。課題抽出後の次の検討は設計部が行い効率的な運用を図る。
  ・指摘事項は正しいか
  ・設計変更は必要か
  ・技術的に妥当か
 ② 指摘事項については、以後の設計及び製造工程に影響を及ぼさないように適切な時期までに評価を完了する。

(内部審査)
 第11条 設計部は、DR委員会に先立ち、チェックリスト等により自部門で十分な内部審査を行うものとする。

(関係資料の配布)
 第12条 事務局は、DR委員会の開催日以前に十分な余裕期間を持って、関係資料を会議出席者に配布する。

(議事録)
 第13条 事務局はDR委員会の議事録を作成し、委員長、委員及びその他必要とする部門に送付し、保管・保存する。

(フォローアップ)
 第14条 設計部は、DR委員会で指摘された事項について、担当設計部門の採否を踏まえ、その具体的対策が設計に反映されたか否かを確認し委員長に報告する。品質管理部は、DR活動の実施状況を確認する。

(付則)
 1.この規程は2020年10月1日から実施する。
 2.この規程の改廃にあたっての立案者は設計部長とする。

(つづく)