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内部監査の実践(その37)

「4M変更管理標準KPT105」を対象に品質管理課に対してナラティブ内部監査を行っています。

(被監査者) 私も最初は戸惑いましたが、行っていくうちに内部監査ではこのやり方も効果的だと感じています。もう少し「被監査者証明方式」監査の狙いと実施の仕方を説明してください。
(前回最後)

(今回ここから)

  • (内部監査員)そうですね。「被監査者証明方式」と呼んでいただきありがとうございます。
    この方式はある時、と言っても7,8年になるでしょうか、ある研究会で議論した考え方です。当時我々は「一九監査(いちきゅうかんさ)」と呼んでいました。というのは、監査員は10%しか話さず、残りの90%は被監査者が話すという趣旨を端的に表したのです。
  • 呼び名の話題はこのくらいにして、この「被監査者証明方式」の目的とメリットには次のようなものがあります。
    1. 前向きな気持ちになる(人は他人から指摘されたくない)。
      通常の内部監査では、被監査者は自分の仕事のやり方を内部監査員から指摘されるが、愉快なものではない。
      「被監査者証明方式」では、自分で不適合に気が付くことになるので、納得感が高く不愉快でなくなる。
    2. 改善の糸口を見つけられる(自己評価の良いチャンスになる)。
      内部監査員からの質問を受ける従来の形だと、必然的に聞かれたことしか答えないことになる。
      自分の仕事を「記録など」から見直すと、自然と仕事の流れに沿ってすべての作業を見直すことになるので、改善すべきことが見つけられる。
    3. 時間をかけて仕事をチェックできるのでチェックの信頼性が高くなる(サンプリングとは異なる)
      今までの内部監査では監査の時間は限られている。この方式だと、事前に内部監査員から監査対象業務と「被監査者証明方式」の説明を受けているので、監査当日まで時間の余裕があり、記録などと照らし合わせてチェックする時間を多く持つことが出来る。
  • 一方で1~3は、被監査者の誠実さ、正直さ、会社を良くしたいという情熱があることが前提になるので、「被監査者証明方式」の導入に当たっては、その目的を繰り返し丁寧に当事者に説明することが重要になります。
  • (被監査者)ありがとうございます。
    最後の部分はよく理解できますが、内部監査員の対応の仕方によって随分変わると思います。
    もし、「そのようなルール違反を今までやっていたのか」などと批判めいたことを言われたら、その瞬間から「被監査者証明方式」は壊れると思います。

(つづく)