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品質不祥事(その1):正義のヒーローはいずこに

今回から品質不祥事を取り上げたいと思います。ここ数年、品質不祥事は社会を揺るがせている問題です。
2003年前後に立て続けに食品偽装などの品質不祥事が発生しました。暫く鳴りを潜めていましたが、2017年の神戸製鋼のJIS規格違反に端を発し、日産、鈴木、富士重工最近はトヨタまで自動車業界に検査不正がはびこっていた事実が明らかになりました。

自動車業界だけではありません、日立をはじめとする電機業界、東レをはじめとする化学業界、KBS、旭化成建材をはじめとする建設・建材業界、サービス業界にも例えばフジサンケイの電話調査不正、そして医療の世界、大学の世界にもそれこそすべての業界に不祥事が数え出したらキリがないほどに日本社会全体を覆っています。
2,3年前の京セラ、三菱電機一連の品質不祥事までこの3,4年間で目立ったものでも100件は下らないであろう由々しき社会問題になっています。

以下に一つのストーリをお話ししてみたいと思います。

【プロローグ】

  1. 幼稚園の頃は誰もが正義のヒーローにあこがれ、悪に打ち勝つことを誓っていた。小学校に入って先生から「ひらがなドリル」の宿題を毎日1ページやるように言われ、きちんと毎日行ない先生から花丸をもらっていた。
  2. 小学校2年になると宿題が「漢字ドリル」になり難しくなったので手を抜いた。先生からは注意はあったがそれきりだった。
  3. 小学校3年になると塾に通い出し、宿題は算数に代わったが、時間がなく時々しか行えなくなった。先生からは注意を受けたが(保護者会で言われないように)親は知っていると先生に嘘を言った。
  4. 小学校4年になると塾の学習が忙しくなり、夏休みの自由研究は兄の昨年の提出物を修正して先生に出した。
  5. 小学校5年になると塾の先生から塾の進学成績を上げたいので、夏休みの自由研究は塾の先生が代行するから進学勉強に頑張れとの提案があり、自分が行ったのではない研究を学校に提出した。
  6. 正義のヒーローはどこかへ行ってしまった。

【社会人になって】

ある業界ではA社が新製品XをB-B市場に出した、その製品は一定の評価を市場から受け、社会にも製品の存在が知れ渡るようになった。様子を見ていた同業B社、そしてC社でも類似の製品を開発し、マーケットは活性化していった。しばらくするとD社、E社が現れ、先行各社の機能を真似した製品を安い価格で市場に出した。

しかし、D社、E社の製品は価格が安い反面、品質は良くなく、業界では最低限必要なスペックを共同で作ろうという動きがでた。このX製品に注目していた行政もスペックの標準化は政府方針と合致するとして、業界のこの動きを歓迎し、国家規格(JIS規格)を検討したらどうかと業界団体に働きかけた。その結果JIS規格委員会の中にWGが作られ、業界団体ではWGメンバーの選出を行い、JIS規格制定への活動を開始した。

(つづく)