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ISOの審査会社ってたくさんあるの?どうやって選ぶの?(その3)

審査機関を選ぶ際には、どの認定機関から認定を得ているか確認することが大事です、というお話を前回しました。
今回がいよいよ核心です。

ある特定の認定機関から認定を得ている認証機関といっても、よほど特殊な業務をしている組織でない限り、選ぶべき対象となる審査機関は多数あるのが実際のところです。
時間的余裕があるなら、5社でも10社でもそれらの全ての審査機関にコンタクトをとって営業方針、審査方針等についてのプレゼンをしてもらうのが良いわけですが、現実的にそれは不可能ですね。

では、どのような視点で選ぶのが良いのか。
一番のポイントは、皆さんの組織が認証を取得する目的を明確にすることです。審査に通った後もらうことができる認証証(合格証のことです)の価値は基本的には差がありません。どこどこの審査機関の認証証があるとビジネスチャンスが広がる、などという状況になれば全く話は変わってきますが、将来のことはわからないものの、現時点ではそのような差はありません。対外的なアピールの価値は変わらないとすると、捉えるべき価値のポイントは対内的価値ということになります。

具体的には、お金と時間をかけて審査を受けるわけですので、それに見合うリターン、メリットが自社にもたらされるかどうかです。
認証審査は点数で評価されるものはありません。あくまで基準に対して適合していることの評価判定です。ただ単にその評価判定をしてもらい、認証証が欲しい、ということだけならば、どの審査機関でも問題ありませんし、極論を言えば、料金の安い審査機関の方が良い、ということになるでしょう。

しかしながら、それでは審査の本質、認証取得の本質からはだいぶかけ離れてしまいます。認証を取得するイコール、社内体制をきちんと組み上げて、組織としての永続性も高め、更にその上で、品質面や環境面で自社の価値を高めることにつなげてこそ、取組み価値がある、というものです。
そしてそのことをしっかり審査で見てくれる審査機関、そして審査員こそが組織が求めるべき相手なのです。
そうなると、しっかりとした審査方針を持っている審査機関、しっかりと審査員教育を行っている審査機関でなければ対応できません。必然的にコストもかかってくるわけです。私どもに入ってくる情報では、現在審査料金の差が、料金の高い審査機関と安い審査機関では3倍程度の開きが出ています。信じがたい価格差ですが、これが現実の世界です。どこが適正価格のレベルかということの判断が非常に難しくなっていると言わざるを得ませんが、価格に見合う価値があるかどうかをしっかり見て選定して欲しいのです。安物買いの銭失いにならないよう、間違っても安いからこの審査機関にしよう、と内容を確認することなしに審査機関を選ぶことだけは避けてください。
ただし補足をしておきますが、料金が高いから良い審査、料金が安いから悪い審査とは必ずしも言えないケースも聞き及んでいます。普段の買い物をするときでも同じではないでしょうか。デパートだからすごく満足いく買い物ができ、ディスカウントストアではろくな買い物ができない、というようには私たちの日常生活はなっているわけではありませんね。それと同じことが審査ビジネスにおいてもあると思ってください。

繰り返しになりますが、何よりも大事なことは審査を受ける、認証取得をすることによって、自社の未来をどのように創り出していくか、という組織自身の目的意識こそが何よりも大事なことなのです。その目的達成のために組織の進む方向を理解し、その過程をしっかり審査員が見てくれるかどうかが審査機関を選ぶ際の大事なポイントです。