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ISO対応を進める上で外部専門家(外注会社)って使った方がいいの?(その2)

前回外注先の一つであるコンサルタントについての説明を始めました。前回の続きです。前回はコンサルタントを選ぶ際の視点の途中で終わってしまっていますので、その部分を続けます。

あくまでコンサルティングを受ける狙いは認証取得にあるわけですから、その目標に到達する支援が確実にできるコンサルタントを選定しなければいけない、というお話です。
ここで注意が必要なことは、ISO業界では、多くのコンサルタント、コンサルティング会社は特定の審査機関(認証機関)と強いつながりを持っている、という点です。

もう一歩踏み込んで書くと、
多くのコンサルタントは、特定の審査機関で審査員としての活動もしている、ということを理解していただきたいのです。
誤解を恐れず申し上げると、審査機関とコンサルタントは持ちつ持たれつの関係にあると言っても良いのです。

一例として挙げると、あるコンサルタントの方が自分の顧客の紹介で、新たに認証取得を目指すお客様組織と出会ったシーンを思い浮かべてください。その新たなお客様が認証取得をしたいということで、コンサルティングを行う話が進んでいる場面です。
認証取得を目指す組織ですから、審査はどのように受けるのですか、そしてどのような審査機関から審査を受ければよいのですか、何もわかっていないので教えてください、という話になっていきます。
そのような場合であれば、コンサルタントの方は自分が契約を交わして審査の仕事をしている審査機関を紹介することになります。その方が審査のやり方やポイントを把握しているわけですからコンサルティングも行いやすく、結果として大きな問題もなく認証取得に辿りつけるわけですから、コンサルをする側も受ける側もハッピーなWin-Winの関係が成立するのです。

つまり、あるコンサルタントと契約を交わしてコンサルティングを受けることによって、どの審査機関から審査を受けるか、ということもほぼ自動的に決まってしまうケースが多い、ということなのです。

もちろん組織の方でしっかりとした思いがあって、色々な審査機関の中で自分たちはこの審査機関のポリシーに賛同するからこの審査機関で認証取得を目指す、という意思が予め明確になっていれば上記のようなことは一切起こりません。
また、大きな組織で、既にある工場や部署で認証取得をしており、範囲の拡大をしたい(別工場や別部署でも認証取得をしたいなど)あるいは、ISO 9001の認証取得はしているけれど、分野を拡大して、ISO 14001(環境)やISO/IEC 27001(情報セキュリティ)の認証取得を目指したい、という場合は既にお付き合いのある審査機関がありますから、上記のようなことは無縁の話です。

故に、繰り返しになりますが、特に中小企業でこれからISOの認証取得を目指すに当たって、特に個人のコンサルタントの方と契約を結んでお願いをしようと考えている場合は、審査を受ける審査機関も自動的に決まってしまう、という点を意識しておきましょう。そのこと自体が良いか悪いかは一概には判断できません。審査機関を自分で選定しようと思うとそれまた労力をだいぶ要することになりますので、一般論では語れなくなってしまいます。ご容赦ください。
外注先のコンサルタント選定に際してのお話を複数回にわたって続けています。今回でコンサルタントに関しては最後にしたいと思います。

コンサルタントを使った方が良いかどうか、という質問に対して筆者であればどのように答えるか。
結論から申し上げれば、

使った方が良い!

と考えています。テクノファではコンサルティング事業部にてコンサルティングを専門的に行っているので、そのための営業トークと思って欲しくはないので補足しますが、自力で構築して認証取得にたどり着くことはもちろん可能です。これは繰り返し強調します。しかしそうは言っても自力で何もかも行うのはあまりに非効率と考えるからこそコンサルタントを使いこなして欲しいのです。

コンサルティングは一から十まですべての指導を受けなくても全く問題ありません。極端なことを言えば、1回だけのスポットコンサルでも構いません。自分たちで考え、取り組んだことが間違っていないかどうかの確認として第三者の専門家意見を聴取することであってもその組織にとって意義がある、と考えるからです。
もちろん、資金的な予算枠を確保できた場合は1回とは言わず、複数回のコンサルティングを受ける方が良いでしょう。個人のコンサルタントであればリーズナブルな料金でサービス提供をされている方もいます。良い方とご縁があればそれはラッキーということです。
一方でコンサルティング会社になればどうしてもコンサルタントの派遣費用は安い値段とは言えない料金になってきます。その代わり、安心感、信頼感は間違いなくあります。
いずれにせよ、コンサルタントの利用により自力で取り組んできたことが認められれば自信につながっていきますし、万が一、自分の考え方がずれていた場合、通常業務であれば上司が指摘してくれますが、ISOに関してであればその上司も知見はないわけですから、ズレの矯正は外部の専門家に任せる方が安心できます。これは経営者が率先して取り組む場合であってもあてはまります。是非とも、認証取得に最低限必要な審査費用以外の予算枠の確保をしていただきたいものです。
ただし、あえて補足しますが、経営者が率先して認証活動を行っているのであればコンサルタントの必要性はぐっと低くなります。ISOという範囲にこだわらず、経営的な視点も含めて外部の専門家の意見を確認しておきたい、というケースであれば、ISOコンサルタントを活用する意味も出てくるでしょう。

コンサルタントに関するお話はここまでとして、次回は研修機関の活用方法についてお話ししていきます。