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ISOって誰が勉強するといいの?

前回の記事「ISOって経営と関係ないんじゃないの?」で触れたことに重なる部分もありますが、ISOマネジメントシステム規格は誰が勉強すべきものなのか、ということで2回にわたって説明していきたいと思います。

まず結論から申し上げましょう。ISOって誰が勉強すればよいか、と言えば、それは「すべての社会人」ということになります。もちろんその読み解き方はその人の社会人経験、会社における立場によって全く異なってきます。ですがそれぞれの立場ISOマネジメントシステム規格を読み解いてもらうことで見えてくる新しい世界があるものです。
さあ、それではまずは学校を出たばかりの新入社員の方々を意識した読み解き方から説明を始めていきましょう。

① 新入社員にとってISOの勉強の仕方

新入社員の方々にとって大事なことはまず自分が就職した会社の業務そして一緒の働く先輩方に馴染んでいくことです。そのためには習うより慣れろの部分も多いのですが、やはり人間関係そして仕事の基本をわきまえた上で日々の活動を行うことができればそれに越したことはありません。朝の挨拶に始まり、御礼やお詫びをお客様や上司のみならず、周りの同僚の皆さんに対してきちんとできる人はやはり仕事の上でも早い段階から成果を挙げていくものです。基本をおろそかにすることなく日々の仕事に励みましょう。

その中で、仕事にいち早く馴染んでいく上で、ISOマネジメントシステムから学ぶことは何かといえば、全体像をしっかり捉えることです。規格要求事項の細かい内容を意識するのではなく、自社でもしISOの認証を取得しているのであれば、何の規格に関しての認証を取得しているのか、ということや、そのISO規格はそもそも何の規格なのか、という大枠をきちんと押さえることです。もし名刺にISO認証取得のマークや文言が入っている会社の方であれば、名刺交換をするイコール会社を代表して相手の方と向き合っているわけですから、例えば、名刺を受け取った相手の方から「御社はISO 14001の認証を取得されているのですね」といわれたときに「はい、弊社は創業以来品質第一で事業展開してきております」という頓珍漢な会話になってしまってはいけません。少々意地悪な書き方をしましたが、上記の会話のどこがダメかは大丈夫ですね。

ISO 14001は環境マネジメントシステムですから、そのジャンルの会話をしようとしている相手の人に、品質はとISO 9001を意識した返答をしていたのでは、残念ながら冒頭から失点してしまうビジネスミーティングということです。
余談はさておき、新入社員の方であれば、まずは自分の会社ではISOの認証を取得しているのかどうか、取得しているのであればどのISO規格の認証を取得しているのか、そしてそのISO規格は何を表象するものかはしっかり理解しましょう。

前回は、学校を出たばかりの新入社員の方々を意識したISOマネジメントシステム、そしてISOマネジメントシステムの認証に関する勉強の仕方の説明をしました。2回目の今回は、数年の社会人経験をもった若手社員を想定して進めていきます。

② 若手社員にとってのISOの勉強の仕方

先輩からいろいろなことを教わり、多くのことが一人でできるようになってきた若手社員、入社2~3年目くらいの方をここでは意識して説明していきます。
このころになれば、お客様のところにも一人でどんどん出かけていくことになります。自分の会社や扱っている製品の説明も自信を持ってできるようになっているはずです。
そこで一呼吸置いて考えておくべきこと、そしてもう一段の勉強をすべきことは、自分たちの会社そして扱っている製品はどうしてお客様に評価されているのか、その特徴と共に、そのよさを生み出す自社の能力についての理解を深めることです。

ある製品について、あるときだけお客様に喜んでもらう製品を作ってしまえば、その後2度と同じレベルの製品が出来上がらなくても良いものでしょうか。
伝統工芸品のようなものを除いて、多くの製品は、今回のものは良かったので、次回もよろしくね、とお客様は期待し、そしてまた購入してくださるものではないでしょうか。
そのためには、いつでも、誰が対応しても、同じ品質の製品を作り続ける必要があります。これが標準化が必要といわれるゆえんですし、またISOマネジメントシステムが力を発揮する部分になるのです。

お客様から求められる付けるために、自分たちの会社にはどのような力が備わっているのか、そして備わっているべきなのか。そのことを念頭に置いた上で、会社とは何か、会社の仕組みとは何か。どのようなものごとが必要になるのか、という意識でもってISOマネジメントシステム規格に触れましょう。規格の細かい点も大事ですが、大きな会社組織ということへの理解、経営管理の大枠に関する理解を深める、という視点を大事にしてください。

さて、ISOの勉強の仕方を前回の新入社員向け、そして今回の若手社員向けということで簡単な説明をしました。この先続けるとすると以下にあげるような、中堅社員向け、管理職社員向け、そして役員、社長向けと分けて説明するのが良いであろうと思っています。
しかしながら、それらの説明をしていくと、どうしても経営管理の中身に踏み込んでいくことになり、この「ISOって何?」と題した初級者向けのコンテンツからは乖離していってしまうと思うため、一旦ここで区切りたいと思います。もしこの先もこのテーマで読んでみたい、ということであればご要望としてテクノファ事務局までご一報いただければありがたく存じます。

③ 中堅社員にとってのISOの勉強の仕方

④ 管理職社員にとってのISOの勉強の仕方

⑤ 役員にとってのISOの勉強の仕方

⑥ 社長にとってのISOの勉強の仕方

尚、ISOの管理責任者、そして役員、社長のためのISOの読み解き方については拙著

「これならわかる!できる! 経営成果をあげる ISO9001の読み方・使い方」

をご覧ください。