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2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方(第23回)

平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第23回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

7.6 監視機器及び測定機器の管理

  1. 品質管理部長は,下記に各プロセスごとの監視機器及び測定機器,管理制度及び管理レベルを規定する。
    監視機器及び測定機器 適用工程 管理制度 管理レベル
    台ハカリ(原料重量確認) 原料配合 ±( )g B
    温度計 Ⅰ(温度制御厳しい) 製麦(焙燥工程),仕込み(糖化),発酵,貯酒 ±( )g A
    (熱電対) Ⅱ(温度制御通常) 製麦(焙燥以外),仕込み(糖化以外) ±( )g B
    成分分析計(無機成分,糖度,アルコール濃度) 水処理,仕込み(煮沸),発酵,貯蔵,最終検査 ±( )g A
    苦味度計(苦味価) 発酵,貯酒,最終検査 ±( )g B
    色調計(ビール色確認) 最終検査 A
    透過計(にごり確認) 最終検査 A
    超音波検査系(ビン割れ確認) ビン詰め 割れ長さ( )mm B
    管理レベル:A(重要),B(通常)
  2. 監視機器及び測定機器は,購入後下記内容にて項目別に管理No.を管理台帳に記入する。
  3. 品質管理部長は監視機器及び測定機器の校正標準,校正頻度,保管及び保護,校正異常時の処置を下記に規定し,実行する。
    また,必要な場合,日常点検方法,頻度等も規定する。
    • ① 校正が完了した機器は,ラベルを貼り管理する。
    • ② 監視機器及び測定機器の校正基準に,社内基準を適用した場合,校正及び検証に用いた基準は,品質記録として管理する。
    監視機器
    及び
    測定機器
    日常点検 構成標準 校正頻度 保管及び保護 *構成異常時の処置
    頻度 内容 社内 メーカー依頼
    台ハカリ バッチ操業単位 基準重量にて確認 1回/6ヶ月 A
    温度計Ⅰ バッチ操業単位 操業記録チャート確認 1回/3ヶ月 保護管付き B
    温度計Ⅱ バッチ操業単位 操業記録チャート確認 1回/6ヶ月 B
    成分分析計 バッチ操業単位 検量線にて確認 1回/3ヶ月 分析室内 C
    苦味度計 バッチ操業単位 検量線にて確認 1回/3ヶ月 分析室内 D
    色調計 バッチ操業単位 検量線にて確認 1回/3ヶ月 分析室内 E
    透過計 バッチ操業単位 検量線にて確認 1回/3ヶ月 分析室内 E
    超音波検査計 バッチ操業単位 比較試験片にて確認 1回/6ヶ月 E
    *異常時の処置は4.を参考にする。

  4. 製造部長,品質管理部長は,日常点検異常及び校正基準外れが発生した場合の処置方法及び妥当性の評価方法を下記に規定し,実行する。
    • ① 日常点検異常 機器の校正処理(品質管理部)―暫定処置(製造部)
    • ②  校正基準外れ―機器の校正処理(品質管理部)・暫定処置(製造部)・過去の製造品に遡った妥当性評価(製造部)
    • ③ 校正基準外れが生じた場合,過去の製造品に遡った妥当性評価の記録は,品質記録として管理する。
    処置 日常点検異常,校正基準外れ(一部) 校正基準外れ
    機器の校正処理 暫定処理 過去に遡った妥当性表内容
    A 機器代替(校正,採用)
    該当機器(再校正)
    ・日常検査記録確認
    ・分析,色調検査記録(工程内,最終)確認
    ・在庫品の分析,色調検査追加
    B 機器代替(校正,採用) ・日常点検記録確認
    ・操業記録(温度)の確認
    ・分析,色調検査記録(工程内,最終)確認
    ・在庫品分析,色調検査追加
    C 機器代替(校正,採用)
    該当機器(再校正)
    ・日常点検記録確認
    ・最終検査記録確認
    ・在庫品の検査追加
    D 機器代替(校正,採用)
    該当機器(再校正)
    官能検査代替 ・日常点検記録確認
    ・最終検査記録確認
    ・在庫品の検査追加
    E 機器代替(校正,採用)
    該当機器(再校正)
    目視検査代替 ・日常点検記録確認
    ・最終検査記録確認
    ・在庫品の検査追加
  5. 製造部担当者は,監視及び測定機器に使用するコンピュータソフトウェアについては,その基準ソフトウェアによって,その適正を創業前に確認する。

8. 測定,分析及び改善
8.1 一般

  1. 製品の適合性実証のための監視,測定,分析及び改善のプロセスの計画。
    • ① 管理責任者は,下記に製品の適合性実証のための各プロセスの監視,測定,分析,改善内容を計画し,実施する
    • プロセス 監視,測定,分析内容 主観部署
      顧客満足 プロセス特性 製品特性
      契約関連 ◎〔当社類似品の味調査〕 営業部
      工程設計
      (開発)
      試験製造 ○〔プロセス能力確認〕
      レビュー,検証 ○〔操業条件指示〕 ○〔製品特性指示〕 技術部
      妥当性確認 ○(味の確認)
      購 買 ◎(原料品調査) 購買部
      生産・サービスの実行(妥当性確認プロセスも含む) 製造 ◎〔操業バラツキ確認〕 製造部
      検査(工程内,最終) ◎〔製品特性バラツキ確認〕(不良率確認)
      保存 ◎〔製品特性・バラツキ確認〕
      サービス ◎〔味の調査クレーム〕
      ◎印は統計的手法を適用

    • ② 詳細な監視・測定方法は,8.2.1「顧客満足」,8.2.3「プロセス監視及び測定」,8.2.4「製品の監視及び測定」,データの分析方法は,8.4「データの分析」改善は8.5.2「是正処置」,8.5.3「予防処置」にそれぞれ規定する。
  2. QMSの適合性及び有効性を継続的に改善するための監視,測定,分析,改善のプロセスの計画
    • ① 管理責任者は,QMSの適合性及びその有効性を改善するための監視,測定,分析,改善内容を計画し,実施する。
    • ② 詳細な監視,測定及び分析内容については,8.2.3「プロセスの監視及び測定」,8.4「データの分析」,監視・測定方法及び改善については,8.2.2「内部監査」,8.5.1「継続的改善」にそれぞれ規定する。

8.2 監視及び測定
8.2.1 顧客満足

  1. 技術部長及び営業部長は,各プロセスごとに,顧客要求事項に適合しているかについて,顧客の情報をモニターし,評価方法,評価項目,及び使用する方法(インプットプロセス等)について下記のように規定する。
  2. プロセス内容 適合評価 不適合評価(クレーム等) インプット
    プロセス
    主観部署
    項目 評価方法 項目 評価方法
    契約関連(当社類似品調査) 苦度,味 一般アンケート調査(5段階評価点評価) にごり,味,ビン異常,その他(納期遅延) 各項目のクレーム件数(絶対評価) ・設計
    ・マネジメントレビュー
    営業部
    (技術部)
    工程設計(開発)(妥当性確認) 苦度,味 試飲会アンケート調査(5段階評価点評価) にごり,味 ・工程設計 技術部
    生産及びサービス(主にサービス活動) 苦度,味 一般アンケート調査(5段階評価点評価) にごり,味,ビン異常,その他(納期遅延) 各項目のクレーム件数(絶対評価) ・工程設計
    ・製造
    ・マネジメントレビュー
    技術部
    (営業部)
  3. マネジメントレビューのインプットに関しては,品質情報会議にて決定する。

8.2.2 内部監査

  1. 管理責任者は,組織のQMSへの適合,個別の製品実現計画への適合及びQMSが効果的に実行,維持されているかを明確にするために内部監査を実施する。
  2. 内部監査は,原則として12カ月おきに実施する.但し,QMS大幅変更等ある場合は,その都度実施する。
  3. 内部監査の責任者は,管理責任者とする。
  4. 内部監査は,2名以上の複数チームにより実施し,チームメンバーが所属しない部署を監査する。
  5. 内部監査員の資格は,6.2.2「力量,認識及び教育・訓練」に基づいて品質管理責任者より認定される。
  6. 品質管理部長は,下記に内部監査の手順について規定する。
  7. 項目 内容 主観部署 備考
    内部監査計画書
    (監査プログラム)
    ・対象範囲(社長,各部)
    ・以前の監査結果
    ・部門別監査内容(重要性考慮)
    ・スケジュール(頻度)
    品質管理部 管理責任者への報告
    実施通知 ・各部への実施の連絡 内部監査チーム
    チェックリスト作成 ・各部単位のチェックリスト作成 内部監査チーム
    内部監査 ・各部単位に監査実施 内部監査チーム
    不適合報告書 ・監査後各部門に不適合報告書作成 内部監査チーム 不適合報告書
    結果の報告 ・被監査部門の責任者への報告 内部監査チーム
    是正処置の検討 ・被監査部門へ調査依頼及び協議 内部監査チーム
    是正処置の決定 ・是正処置の要否及び評価レベルの決定A,B(是正処置要),C(是正処置不要) 内部監査チーム
    品質管理部
    該当部
    評価レベルAは管理責任者への報告
    原因調査 A,Bの場合は原因調査 該当部
    是正処置の決定 A,Bの場合は是正処置の決定 該当部
    実施 A,Bの場合は是正処置の実施 該当部
    報告・検証 ・会議又は打合せについて報告,検証
    ・問題有りの場合再調査(フォローアップ活動)
    内部監査チーム
    品質管理部
    該当部
    監査報告書
    承認 Aの場合(管理責任者)
    Bの場合(品質管理部長)
    管理責任者
    品質管理部長
    監査報告書
  8. 内部監査の結果の記録(監査報告書)は,品質記録として管理する。