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2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方(第26回)

平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第26回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

建設業の品質マニュアル
(JIS Q 9001/ISO 9001:2000)

テクノファ建設株式会社

発行日 2001年1月21日 承認 審査 作成 管理部門
制定日 2001年1月21 社長 品質管理委員会委員長 品質管理責任者 品質・環境・安全部
文書番号 TF-Q-01

経営理念
当社の質の高い建造物とサービスの提供により顧客の満足と信頼,社会からの高い評価を獲得する。

品質方針

  1. 顧客ニーズと期待に応えた建造物とサービスを当社の建設技術を駆使して提供する。
  2. 品質マネジメントシステムの要求事項を満たし,その有効性を継続的に改善することにより,品質上の不具合発生を撲滅する。
  3. 従業員と経営層のベクトルを合わせ,顧客満足度の改善のスピードアップをはかる。
  4. 当社のシステムの実行と改善に必要な資源を確保する。
2001年1月21日
テクノファ建設株式会社
代表取締役社長 山田太郎
(署名)

表紙
品質方針
目次-1

  1. 総則-4
    • 1.1 目的-4
    • 1.2 適用範囲-4
  2. 適用企画-4
  3. 用語の定義-4
  4. 品質マネジメントシステム-6
    • 4.1 品質マネジメントシステムの概要-6
    • 4.2. 文書化-10
      • 4.2.1 当社文書化の概要-10
      • 4.2.2 品質マニュアル-11
      • 4.2.3 文書管理-11
      • 4.2.4 記録の管理-12
  5. 経営者の責任-14
    • 5.1 経営者のコミットメント-14
    • 5.2 顧客重視-14
    • 5.3 品質方針-14
    • 5.4 計画-14
      • 5.4.1 品質目標-14
      • 5.4.2 品質マネジメントシステムの計画-15
    • 5.5 責任,権限及びコミュニケーション-16
      • 5.5.1 責任及び権限-16
      • 5.5.2 品質管理責任者-17
      • 5.5.3 内部コミュニケーション-17
  6. 資源の運用管理-18
    • 6.1 資源の提供-18
    • 6.2 人的資源-18
      • 6.2.1 一般-18
      • 6.2.2 力量,認識及び教育・訓練-18
    • 6.3 インフラストラクチャー-19
    • 6.4 作業環境-19
  7. 製品実現-20
    • 7.1 製品実現の計画-20
    • 7.2 顧客関連プロセス-20
      • 7.2.1 製品に関連する要求事項の明確化-20
      • 7.2.2 製品に関連する要求事項のレビュー-20
      • 7.2.3 顧客とのコミュニケーション-22
    • 7.3 設計・開発-22
      • 7.3.1 設計・開発の計画-22
      • 7.3.2 設計・開発へのインプット-23
      • 7.3.3 設計・開発からのアウトプット-24
      • 7.3.4 設計開発のレビュー-24
      • 7.3.5 設計開発の検証-24
      • 7.3.6 設計開発の妥当性確認-25
      • 7.3.7 設計・開発の変更管理-25
    • 7.4 購買-26
      • 7.4.1 購買プロセス-26
      • 7.4.2 購買情報-26
      • 7.4.3 購買製品の検証-28
    • 7.5 製造及びサービス提供-28
      • 7.5.1 製造及びサービス提供の管理-29
      • 7.5.2 製造及びサービス提供に関するプロセスの妥当性確認-30
      • 7.5.3 識別及びトレーサビリティ-31
      • 7.5.4 顧客の所有物-31
      • 7.5.5 製品の保存-32
    • 7.6 監視機器及び測定機器の管理-32
  8. 測定,分析及び改善-33
    • 8.1 一般-33
    • 8.2 監視及び測定-33
      • 8.2.1 顧客満足-33
      • 8.2.2 内部監査-33
      • 8.2.3 プロセスの監視及び測定-34
      • 8.2.4 製品の監視及び測定
    • 8.3 不適合製品の管理-37
    • 8.4 データの分析-38
    • 8.5 改善-38
      • 8.5.1 継続的改善-38
      • 8.5.2 是正処置-38
      • 8.5.3 予防処置-40
    • 8.6 マネジメントレビュー-40
      • 8.6.1 一般-40
      • 8.6.2 マネジメントレビュー-ヘノインプット-41
      • 8.6.3 マネジメントレビューからのアウトプット-41
    • 付表 1 プロセス間の相互一覧表 42~45
    • 付録 帳票の様式

  1. 総則
    • 1.1 目 的
    • 当社は,建設工事に関連する業務を,品質マネジメントシステム規格ISO9001:2000に準拠し実施する。
      当社は,顧客要求事項及び規制要求事項を満たす建造物の一貫した提供と,システムの継続的改善と効果的適用による顧客満足の向上を全員で達成するため,品質マネジメントシステムを構築し,実施し,維持する。
    • 1.2 適用範囲
    • この品質マネジメントシステムは,当社の遂行する建築・土木工事及びそれに付随する業務を対象とした建設業務全般に適用する。
      但し,土木工事については,その発注形態及び当社の受注工事内容から業務範囲を施工のみとしており,土木設計を含んでいないため,これを除外する。

  2. 適用規格
    • (1) 適用規格
      JIS Q 9001/ISO 9001:2000 品質マネジメントシステム―要求事項
      JIS Q 9000/ISO 9000:2000 品質マネジメントシステム―基本及び用語
    • (2) 参考規格
      JIS Q 9004/ISO 9004:2000 品質マネジメントシステムーパフォーマンス改善の指針

  3. 用語の定義

  4. 本マニュアルに関する用語の定義は,ISO 9000:2000で規定している定義を適用する.但し当社特有の意味に用いる用語は次に記述する。

    • (1)  建設業務
      当社における受注活動から維持保全活動に至る建設生産業務並びに設計業務をいう。
    • (2) プロジェクト
      当社における個別案件の建設業務のプロセス全体をいう。
    • (3) プロジェクトリーダー
      プロジェクトを推進する責任者をいう。
    • (4) 設計責任者 
      顧客要求事項,規則要求事項及びその他の要求事項を考慮して,設計プロジェクトの運営を主体に遂行する責任者をいう。
    • (5) 工事監理者
      プロジェクトにおいて工事を設計図書と照合し,それが設計図書の通り実施させているかどうかを確認するものをいう。(他社設計及び土木工事は除く)
    • (6) 管理建築士
      稽地区仕法第24条第1項に規定する一級建築士事務所を管理する専任の一級建築士をいう。
    • (7) 現場責任者
      作業所の総括責任者として,プロジェクトの施工業務を遂行し,作業所員ならびに取引業者を指揮監督する責任者をいう。
    • (8) 保全責任者
      建築物を引渡し後に実施する維持・保全・点検等を実施する責任者をいう。

  5. 品質マネジメントシステム
    4.1 品質マネジメントシステムの概要
    • (1) 一般
      社長は,JIS Q 9001/ISO 9001:2000の国際規格の要求事項に合致した品質マネジメントシステムを確立し,文書化し,実施し,かつ維持し,品質マネジメントシステムの有効性を継続的に改善する。
    • (2) 実施事項
      品質管理責任者(品質環境安全部長;5.5.2参照)は下記の事項を実施する。
      • 1) 品質マネジメントシステムに必要なプロセス及びそれらの組織への適用を明確にする。
        必要なプロセスは,下記の通りとする.(図-4.1-1「特定プロセス」参照)
        • ① 方針展開プロセス
        • ② マネジメントシステム実行プロセス
        • ③ 製品実現プロセス
          • a. 製品実現計画プロセス
          • b. 顧客関連プロセス
          • c. 設計・開発プロセス
          • d. 購買プロセス
          • e. 工事管理プロセス
          • f. 施工プロセス
          • g. 維持管理プロセス
          • h. 監視及び測定機器管理プロセス
          • i.  製品の監視及び測定プロセス
          • j. 不具合製品管理プロセス
          • k. 是正処置プロセス
        • ④ 測定,分析のプロセス
        • ⑤ 改善プロセス
      • 必要なプロセスの組織への適用は図-4.1-2「品質マネジメントシステムのプロセス」による。
      • 2) 特定したプロセスのつながり及び相互関係を決定する。⇒ 図-4.1-2「品質マネジメントシステムのプロセス」及び付表1「プロセス間の相互関係一覧表」による。付表1はプロセスの中にある主要な要素が,どこのプロセスと特に強い要求と応答の関係を持っているかを○印で示している。ここでいう要求と応答の関係とはお互いに強く影響し合っていることをいっている。
      • 3)プロセスがいずれも効果的であることの運用及び管理を確実にするために必要な判断基準及び方法を決定する。⇒ 各プロセスの項及び関連する規定・基準・要領にて記述する。
      • 4)プロセスの効果的運用及び監視を支援するために必要な情報及び資源が確実に利用できるようにする。⇒「6.資源の運用管理」による。
      • 5)プロセスのモニタリング,測定及び分析を行う。⇒「8.2.3プロセスの監視及び測定」による。
      • 6)プロセスについて計画した結果と継続的改善を達成するために必要な活動を実施する。⇒〉「8.5 改善」による。
    • (3)プロセスの外注(アウトソース)
      管理責任者は,要求事項に対する建造物の適合性に影響を与えるプロセスを外注する場合,外注するプロセスに対する管理を徹底する。外注したプロセスの管理については,該当プロセスの「品質計画書」で明らかにする。