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2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方(第34回)

平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第34回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

5.経営者の責任
5.1 支店長の決意

  • 支店長は,経営方針『地域社会の経済発展を担う顧客の方々の良き相談相手として,環境変化に敏感で堅実な金融サービス業を目指します。』に基づき,次の事項を遵守してQMSを構築,実施,継続的に改善していく決意をここに誓う。
    • 1)支店長は,月例支店会議とマネジメントレビューにおいて,必ずその重要性を述べる。全行員に法令・規制要求事項及び顧客要求事項の遵守の重要性を伝える。
      具体的には,5.2項,7.2.1項に述べる。
    • 2)支店長は,品質方針を設定する.品質目標は各課長に設定させる。
      品質方針については5.3項,品質目標については5.4.1項に述べる。

    • 3)支店長は,マネジメントレビューを主催し,実施する。
      具体的には,8.5項に述べる。
    • 4)支店長は,必要な経営資源を年度事業計画に基づき確保する。
      具体的には,6.1項に述べる。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。

5.2 顧客重視の取り組み

  • 支店長は,次のことを行う。①当行が顧客の良き相談相手として十分満足し利用されるよう,常に顧客のニーズと期待を把握する。②品質方針に反映させる。③各課長に品質目標に変換させ,QMSを展開するよう指導する。
    以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。

5.3 品質方針

  • 支店長は,当行の経営方針『地域社会の経済発展を担う顧客の方々の良き相談相手として,環境変化に敏感で堅実な金融サービス業を目指します。』に基づき,次頁のような品質方針を掲げ,すべての行員にその内容を周知徹底させ,継続的改善に結びつける。
  • 支店長は,本品質方針を継続的にかつ確実に実行するために,管理責任者に日常のQMS活動の権限を委譲すると共に,見直しのための報告義務を課す。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。
  • 品質方針
    1. 地域社会の顧客サービスの基盤を強化すると共に顧客サービスの継続的改善をめざす。
      • a)顧客のニーズを聞く。
      • b)顧客を待たせない。
      • c)顧客の立場で考える。
    2. 貸出資産の健全化と与信管理の充実化をはかる。
    平成13年2月1日
    平成金融株式会社 新橋支店
    支店長 井上克己 ㊞

5.4 計画

  • 5.4.1品質目標
  • 支店長は,当支店の各課ごと,係長以上に品質目標を策定させる。総務課長は,策定された品質目標とその達成率を「品質目標記録K-02」として保管する。
  • 各課長は,品質目標を毎年4月に策定し,翌年3月に達成率を把握し,支店長に報告する。各課長は,その結果と社内外の情勢を考慮して,翌年の目標設定をする。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。
  • 5.4.2 品質マネジメントシステムの計画
  • 支店長は,管理責任者に「品質マネジメントシステムの計画」を立案させる。策定された「品質マネジメントシステムの計画」は「品質マネジメントシステム計画記録K-03」として総務課長が保管する。
  • 品質マネジメントシステムの計画の作成には下記の項目を配慮する。
    • 1)管理責任者は,4.1項で決めた3)~5)の事項を確実にするための計画を策定し実行する。これを“QMSの計画”と位置づける。
      具体的には,次の項目について計画を策定し実行する。
      • ●文書管理 4.2.1項         ●サービスの実現 7項
      • ●記録の管理 4.2.2項        ●監視及び測定 8.2項
      • ●責任及び権限一般 5.5.1項     ●内部監査 8.2.2項
      • ●管理責任者 5.5.2項        ●プロセスの監視及び測定 8.2.3項
      • ●内部コミュニケーション 5.5.3項  ●データの分析 8.3項
      • ●人材配置計画 6.1項        ●継続的改善の計画 8.4.1項
      • ●教育訓練 6.2項          ●是正処置,予防処置 8.4.2項,8.4.3項
      • ●インフラストラクチャー 6.3項   ●マネジメトレビュー 8.5項
      • ●作業環境 6.4項
    • 2) 各課長は,品質目標を達成するため,品質目標ごとに実施責任者,スケジュール,達成方法(要員,実施手段,設備,経費等)を決める.これを“品質目標達成計画”と位置づける。
    • 3) 管理責任者は,各課長が品質目標達成のために現状のプロセスを変更しようとするときには,事前に報告させる。これは,各課長が現状のプロセスを一部変更しようとする場合に,現有のQMSが問題を起こすことなく運営されるようにするためである。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。

5.5 管理

  • 5.5.1責任及び権限一般
  • 支店長は,品質に影響する業務を管理し,実行し,検証するすべての組織の相互関係を図-1のように定め,各課長へ周知徹底する.具体的な役割分担と責任,権限は「組織規定T-01」に定める。
  • 当支店におけるQMSに関する責任と権限の概要は次の通りである。
    • 1) 支店長は,支店業務の品質全てに関しての最高責任を持ち,その維持運営に対する権限を持つ。
    • 2) 副支店長は,管理責任者として支店長を補佐し,当支店業務の全体について総合的な管理に対する責任と権限を持つ。
    • 3) 副支店長及び各課長は,商品,サービス,顧客対応とその処理及びQMSに関する不適合を予防する。
    • 4) 副支店長及び各課長は,商品,サービス,顧客対応とその処理及びQMSに関する問題点を把握し記録し,本店の書簡管理部に報告する。
    • 5) 副支店長及び各課長は,問題が発生した場合には,この品質マニュアルの規定を活用する事により問題の解決を図る。
    • 6) 副支店長及び各課長は,解決策の実施計画を検証し,本店の所轄管理部に報告する。
    • 7) 各課長は,各業務内容がこの品質マニュアルの規定に照らして適合すると判断されるまで,次のプロセスに業務を進めない。
    • 8) 各課長は,ISO委員会の委員とする。
    • 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。
  • 5.5.2 管理責任者
  • 支店長は,副支店長を管理責任者に任命し,次の事項について明確な権限を与える。
    • 1)QMSのプロセスをJIS Q9001/ISO 9001:2000規格に従って確立し,維持する。
    • 2)QMSの見直し,及び改善の根拠とするため,QMSの実施状況を「マネジメントレビュー記録K-01」にまとめ支店長へ報告する。
    • 3)職制を通して,組織の隅々まで顧客要求事項を認識させる。
    • 4)QMSに関して,外部関係者との窓口責任を持つ。
    • 5)ISO委員会の委員長となる。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。
  • 5.5.3 内部コミュニケーション
  • 支店長は,当支店におけるQMS運営に関する内部コミュニケーションについて,下記のことを管理責任者に実施させる。
    • 1)各部門・階層への情報伝達
    • 品質方針:ポスター掲示により全行員に周知する。
      QMS規定文書類:「文書管理規定T-02」に定める手順に従って配布し,職制を通して各部門・階層に伝達する。
    • 2)各部門間及び各階層間のコミュニケーション
    • ISO委員会:各部門間におけるQMSの運営に関するコミュニケーションを実施する。
    • 「ISO委員会議事録K-19」:職制を通して各階層へ配布することにより,各階層間のコミュニケーションを実施する。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。