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2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方(第36回)

平林良人「2000年版対応 ISO 9000品質マニュアルの作り方」アーカイブ 第36回

◆このシリーズでは平林良人の今までの著作(共著を含む)のアーカイブをお届けします。今回は「2000年版対応ISO9000品質マニュアルの作り方」です。

7.5 サービスの提供
7.5.1 サービス提供の管理

  • 窓口業務課長,外国為替課長,融資課長は,品質に直接影響する銀行サービス業務のプロセスを明確にし,これらのプロセスを管理する。
    • 1) 該当する部門は,「業務管理規定T-07」に基づき業務を実施し,その結果を「新製品売上記録K-05」「融資記録K-06」「窓口業務記録K-11」「紙幣管理記録K-12」に記録する。
    • 2) 各プロセスの業務は,「作業標準 S-○○」に基づき,適切な設備,作業環境の下で行う。
    • 3) 窓口業務課長,外国為替課長は,「顧客コードナンバー表 K-09」「商品コードナンバー表K-10」を日常業務の中で最新化し,毎日総務課長へ最新版を報告する。
    • 4) 総務課長は,建物設備,コンピューターの維持点検を行い,その結果を「日常点検シートK-12」に記録する。
    • 5) 窓口業務課長,外国為替課長,融資課長は,紙幣カウンターを「現金等取扱保管規定T-11」により点検し,「日常点検シートK-21」に記入し,保管管理する。また,校正した時には,「校正記録K-14」にその結果を記録する。
    • 6) 窓口業務課,外国為替課,融資課の担当者は,業務中における要員の後退や手順の変更等により,業務の安定が失われやすい時には,「作業標準S-○○」に基づいた引継ぎを確実に行う。相互監視,自主確認を行い,その結果を記録する。
    • 7)各プロセスの確認者(チェック者)は,チェック前,チェック後合格,チェック後不合格のいずれかを識別し,所定の場所に戻す,業務終了の都度,買う部の責任者は毎日の確認をする。
    • 8) 最終チェック者は,「顧客セキュリティ管理規定T-10」に基づき,「顧客セキュリティ記録K-13」を記録する。プロセス内で実施されたチェックを含め,すべての規定されたチェックが実施されたことを確認する。この際,関連データ及び必要な資料が全て作成され,承認されるまでは証書を顧客に引渡してはならない。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。

7.5.2 サービス提供に関するプロセスの妥当性確認

  • 外国為替課長は,サービス業務終了後の同一日に,確実にサービス提供されたかを確実にするために,プロセスの妥当性確認を行う。
    • 1) 担当者は,為替送金業務,融資業務のプロセスを毎週1回確認する。
    • 2) 担当者は,コンピューターソフトを毎週1回確認する。
    • 3) 担当者は,送金記録の保管を毎週1回確認する。
  • プロセスの妥当性確認の詳細は,「融資先審査規定T-12」「システム管理規定T-13」に定める。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。

7.5.3 識別及びトレーサビリティ

  • 窓口業務課,外国為替課,融資課の担当者は,業務のプロセスにおいて,次の識別とトレーサビリティを維持する。
    • 1)識別
    • 顧客からの引き合いから商品の引渡しまでのサービス全段階において,「顧客コードナンバー表K-09」及び「商品コードナンバー表K-10」により,各々のサービスを適切に識別する。
    • 2)トレーサビリティ
    • 顧客からの引き合いから商品の引渡しまでのサービス全段階において,「顧客コードナンバー表K-09」及び「商品コードナンバー表K-10」の記録により,各々のサービスのトレーサビリティを維持する。
    • 識別,トレーサビリティの具体的な手順については,「業務管理規定T-07」に定める。
  • 「顧客コードナンバー表K-09」及び「商品コードナンバー表K-10」の帳票様式を付録に付ける。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。

7.5.4 顧客の所有物

  • 窓口業務課,外国為替課,融資課の担当者は,顧客から預った現金または小切手などの確認,取扱,保管・管理について,紛失,損傷がないよう処理する。万が一,預り品に紛失,損傷または不具合があった場合は,不適合発見担当者は速やかにその内容を担当課長に連絡し,「是正・予防処置記録K-18」に記録し,副支店長経由で顧客に報告する。
  • このプロセスの詳細は,「業務管理規定T-07」及び「現金等取扱保管規定T-11」に定める。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。

7.5.5 製品の保存

  • 窓口業務課,外国為替課,融資課の担当者は,商品の取扱,保管,保存及び引渡しに関して,次のように実施する。
    • 1) 取扱:担当者は,商品の紛失,損傷,劣化を防止するために慎重に取り扱う。
    • 2) 保管:担当者は,商品の紛失,損傷,劣化を防ぐために,定められた保管場所へ保管する。
    • 3) 保存:商品は業務前,業務中,業務済に区別し保管場所に保管する。
    • 4) 引渡し:担当者は,顧客へ引き渡す前の商品については,部長の責任かある商品保管庫に収納し,顧客に引き渡されるまでその責任をもつ。
  • このプロセスの詳細は,「現金等取扱保管規定T-11」に定める。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。

7.6 監視機器及び測定機器の管理

  • 窓口業務課長,外国為替課長,融資課長は,使用する検査,測定及び試験に用いる計測機器に管理番号(識別番号)を付し,下記のように測定精度が狂わないような管理をする。
  • 当支店が管理すべき検査,試験及び測定装置を以下に定める。
    • ・紙幣カウンター
    • ・現金自動支払機(ソフトウェアも含む)
  • これらの検査・試験,測定装置に関する技術データを,顧客又はその代理人に要求された場合は,管理責任者の許可を得て,データを提供してもよい。
    • 1) 紙幣カウンター,現金自動支払機(ソフトウェアも含む)を使用前に点検し,かつ1年校正する。
    • 2) 上記装置を,年1回ハードウェアは正常に稼働するかどうか「日常点検シートK-21」に従い点検する。
    • 3) 校正が完了した時は,識別ラベルを貼り,次回点検年月を装置上に明確にする.実施結果は「校正記録K-14」にまとめられる。「校正記録 K-14」の帳票様式を付録に付ける。
    • 4) 装置は精度が損なわれない用意するために,慎重に取り扱う。
    • 5) ソフトウェアの誤りが発見された場合は,過去の有効性を判断し,適切な処置をとる。
    • ソフトウェアについては,仕様の前に基準プログラムを使用して、適正かどうかをチェックする。ソフトウェアの校正作業を行う者は,管理責任者が任命した資格者とする。
  • 以上のプロセスの詳細は,「整備管理規定T-05」に定める。
  • 以上のことが確実に行われているかを、年1回内部監査でチェックする。

7.7 不適切サービスの管理

  • 管理責任者は,不適切なサービス提供が行われないように,総合的な管理をする。万が一,不適切サービスが発見されたときは,「不適切サービス管理規定T-17」に基づいて適切な処置をとる。この手順書には,不適切サービスの識別,文書化,評価,隔離,処置及び本店への情報伝達を含む.以下にこの手順書(規定)から主な点を抜粋する。
    • 1) 不適切サービスの内容確認及び処置の権限は,発生元の担当課長とする。
    • 2) 処置には,次の種類がある。
      • ① 同一の担当が顧客に謝って再度実施する。
      • ② 上司が顧客に謝って適切に処置する。
    • 3) 不適切サービス発生部門の担当課長は,不適切の内容,原因,処置について管理責任者に連絡し,また課長会議で報告を行う,管理責任者は,連絡内容から,不適切の原因究明と不適切再発防止対策が必要と判断した場合,是正処置を指示し,対策実施状況の確認と不適切サービスの再確認の処置をする。
    • 4) 管理責任者は,銀行業務を緊急に停止させる必要があると判断した場合は,支店長に報告し、業務停止の支持を課長に出す。各課長は指示に従いサービスを停止させ,管理責任者はサービスの停止を確認する。
    • 5) サービスの再開は,管理責任者が「不適切サービス管理規定T-17」に基づき,停止を解除してもよいと判断した時点からとする。
    • 6) 窓口業務課長は,不適切サービスが検出された場合の顧客クレーム対処について,渉外課長に「顧客相談記録K-18」を発行し,「不適切サービス管理規定T-17」及び「是正・予防処置規定T-18」に基づいて処理する。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回内部監査でチェックする。

7.8 サービスの監視及び測定

  • 窓口業務課長は,サービスが規定要求事項を満たしていることを検証するために,「業務管理規定T-07」に従い,日常の業務を監視する。サービス実施は,関連データ及び必要な資料が全て作成され承認されるまでは,顧客へのサービスを終了してはならない。監視は,サービス中,サービス終了のそれぞれ適切な段階で実施する。
  • 監視結果は,「品質記録取扱規定T-03」に基づき記録を作成し,「考査記録K-16」として維持する。これらの記録には「業務管理規定T-07」に従って,5段階評価をする。この再評価を実施したものの名前は明確にしておく。
  • 購入品の受入については,受入時に損傷の有無,品名,表示および数量の確認を行い,問題の無いことを確認してから受け入れする。購入品は受入検査が終了するまでプロセスに投入しない。
  • 以上のことが確実に行われているかを,年1回マネジメントレビューでチェックする。