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「パフォーマンスの改善」(第3回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第3回

各章の概観

第1章では、競争力をもっと強くしたいというニーズを具現化するための推進力を探究しています。課題が達成されないのは、意欲とか努力が足りないためではなく、組織と個人のパフォーマンスに影響を与える変数(variable)を理解していないためであることを述べています。
第2章は、(組織図に代表されるような)昔からある組織の縦割りの見方と、より記述的で有効なシステム的見方とを対比し、競争力があり、(事後にも事前にも)適応性があり、パフォーマンスの継続的改善に焦点を当てた組織を確立するために運営管理されるべきシステム要素を記述しています。
第3章は、3レベルのパフォーマンスを紹介し、組織の有効性と効率を決定する9つのパフォーマンス変数(variable)を示しています。本章では、3レベル(組織レベル、プロセスレベル及び業務/個人レベル)の各々において、パフォーマンスの3つのニーズ(目標、設計及びマネジメント)について、そして、経営者、マネージャー及びアナリストがそれらをどのように活用することができるかを示します。
3レベルのパフォーマンス(組織レベル、プロセスレベル及び業務/個人レベル)は、次の3つの各章(第4章、5章、6章)で1つずつ説明します。
第4章は、組織レベルの目標、設計及びマネジメントの有効性を分析するための一連の質問を示しています。あるサンプル会社においてこれらの質問の使用例を示し、そのレベル(組織レベル)でのパフォーマンスを理解し、改善するためのツールとしての関係マップを提示しています。
第5章は、組織が製品・サービスを顧客に供給するための、組織横断的プロセスの目標、設計及びマネジメントを理解し、改善するためのツールを示しています。本章では、第4章の中で紹介した会社の評価を継続し、このレベル(プロセスレベル)におけるパフォーマンスニーズを満たすための方法論としてのプロセスマップを提示しています。
第6章は、第4章から示しているサンプル組織を使用し、組織及びプロセスのパフォーマンスを改善する際の要員の役割を説明しています。個人及びワークチームのパフォーマンスニーズ(目標、設計及びマネジメント)を理解し、満たすためのツールとしてヒューマンパフォーマンスシステムを提示しています。
残りの章は、ほとんどの北アメリカの企業が今日直面する様々なパフォーマンス改善の機会に、組織のシステム的視点及び3レベルの枠組みを適用することについて議論しています。
第7章では、最高経営者が明確で実施可能な戦略を確立するために、留意すべき11の質問のすべてに確実に答える中で、システム的視点の役割を吟味していきます。続いて、9つのパフォーマンス変数(variable)が、その戦略を実施する際に、どのように役立つかを提示しています。
第8章は、4つの例を通して、品質、生産性、サイクルタイム、顧客志向及び企業文化の変革活動が、3レベルのパフォーマンスすべてに取り組まないと、どのように失敗するかを示しています。続いて、3レベルすべてに取り組んで効果を上げた2つのパフォーマンス改善活動を検証しています。
第9章は、訓練、組織再編及び経営情報システム開発のような「解決策」について論ずる前に、組織パフォーマンスニーズを診断する包括的なプロセスを、人事部門、IE部門及びシステムアナリストについて提示しています。ケーススタディでは、このパフォーマンス改善プロセスの14ステップの各々を示します。
第10章は、AT&T、GTE、フォード、モトローラなどの会社が、品質及び顧客満足度を改善して、サイクルタイムを短縮し、コストを削減するために用いているプロセス改善方法論について説明します。
第11章は、組織がプロセス再設計時に投資に対する利益を減らしてしまう、我々が気づいた陥りやすい点について説明しています。
パフォーマンスの評価及びパフォーマンスマネジメントシステムの設計は、第12章の焦点です。本章では、3つのすべてのレベル(組織レベル、プロセスレベル及び業務/個人レベル)のパフォーマンスに対する評価システムを確立することの「何を」「なぜ」、及び「方法」を取り扱っています。例では、測定指標とパフォーマンス追跡システムの開発および、計画、フィードバック、パフォーマンス改善及び報奨を決めるための基礎として、評価指標を用いることを示しています。
第13章は、一旦測定を再設計した後、これをどうやってプロセスの継続的なマネジメントのための基礎として活用するかを取り扱っています。これらのプロセスマネジネントの活動を全社的な「システムとして組織を運営管理する」ことに、どのように統合するかを提示しています。そして、システム的カルチャーが、従来の階層的カルチャーとどのように異なるか、及びプロセスが機能する組織のシステムの有効性を、診断するための一連の質問を記述しています。
第14章は、顧客ニーズを満たす高品質な製品とサービスの効率的な提供を支援する組織構造を設計するための9ステップのプロセスを示しています。(第4章と第5章で導入された)関係マップとプロセスマップを用いて、実施可能な組織構造の例をサンプル会社について展開します。
第15章は、人材能力開発スペシャリストと共に仕事をした我々の経験をもとに、これらのスペシャリストが3レベルのアプローチを活用することで、組織パフォーマンスに対しもっと本質的な貢献をすることができることを示しています。3レベルのツールを活用することで、ニーズ分析、訓練設計及び評価が実施しやすくなり、また、3レベルのツールを活用すれば、教育訓練活動を組織の「パフォーマンス部門」に変容できることを説明しています。
最終章は、3レベルのプロジェクトを始めるための、3ステップのプロセスについて説明しています。さらに、特定問題に対して、及び顧客志向で参加型の対立の少ない説明責任ベースの企業文化を発展させるために、3レベルのツールが、どのように活用されてきたかの例を述べています。

この版はどう以前と異なるのでしょうか?

この本の第一版に精通している読者にとって、
第11章は新しくなりました。
第10、12、13、14章、及び第16章は大きく変わりました。
残りの章は、ほとんど変わっていません。