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「パフォーマンスの改善」(第36回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第36回

例2.スリープインホテルチェーンの本社の品質責任者は、顧客のチェックイン及びチェックアウトシステムを再設計するために、かなりのコストで最高のコンサルタント会社を雇いました。コンサルタントは、現場監督とそれ以外のフロントスタッフの代表を変更案の分析と開発に巻き込みました。小さい変更をしただけの改善提案は、その品質担当責任者に賞賛されました。その改善は、正確で迅速なチェックインとチェックアウトパフォーマンスを強化するための評価/表彰制度と共に実施されました。

評価。スリープインは、ABCエレクトロニクス社より少しはよくやっています。ABCエレクトロニクス社は、ビジネスプロセス(チェックインとチェックアウト)のパフォーマンスを改善させる対応を行いました。その活動に最も近い要員が分析に関わっています。品質責任者は、プロセス改善の活動の成果が業務/遂行者レベルのサポートシステムに組み込まれている点において高い評価を得ます。欠けていることは組織レベルへの配慮です。チェックイン/チェックアウトが、戦略上最も重要なプロセスでしょうか?迅速なチェックアウトは、顧客のプライオリティのどこにありますか?そのチェーンは、競合相手に対等になる、又は競争力を確立する努力をしていますか?チェックインとチェックアウトプロセスを選択した時、なぜプロジェクトにおける関わり合いをフロント機能(部門)に制限したのでしょうか?(チェックイン/チェックアウトのプロセスには、予約、フロア及び会計スタッフを伴いませんか?)そして、どこにトップマネジメントがいますか?品質責任者に対し全ての敬意を表しますが、このプロジェクトのトップマネジメントの不在は、どんな信号を組織に送りますか?

例3.大規模な市場調査と競合に関する調査の後、Cars R Us自動車部品会社のトップマネジメントチームは、オーダー処理サイクルタイム-顧客のオーダーの発注と適切な部品を顧客が受け取る間で経過する時間-を短くすることによって、競争優位を築き上げて行くと決めました。アナリストのグループが、オーダー処理サイクルタイムに影響する3つのプロセス、オーダー受付、製造と組み立て及び配送の各々を実施するのにかかる時間を短縮する方法を調査し、提案するために任命されました。3週間でアナリストは、品質を犠牲にせず、コストを増やさずに現在の28日間から11日間(業界で最短時間である)にサイクルタイムを短くすることができるシステムを開発しました。そのシステムは提案通りに導入されました。

評価。Cars R Usは、組織レベルの戦略の次元を取り扱いました。オーダー処理サイクルタイムは潜在的競争優位と位置づけされています。組織レベルでの我々の質問は次の通りです。機能(部門)は、戦略目標を達成するために整合(顧客-供給者関係に関して)されていますか?重要なプロセスが選択され研究されました。あいにくプロセス分析がオーダープロセスの主要なメンバーではなく、アナリストによって実施されたので、我々はプロセスレベルに対しC以上を与えることができません。彼らに関わらせておれば、組織横断的な関係を強化し、変化への思いを強化できたでしょう。
しかしながら、もっと大きな短所が業務/遂行者レベルにあります。ここに我々は省略という過失を発見します。明確な戦略とよく組み込まれたプロセスは、もしそれらが要員のパフォーマンスを励起しないなら価値がありません。オーダー処理システムで働いている要員の業務に、サイクルタイム戦略とプロセス改善を組み入れるための何ものも行われていないようです。