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「パフォーマンスの改善」(第67回)

平林良人「パフォーマンスの改善」(2000年)アーカイブ 第67回

第14章 機能する組織体制の設計

-私が世界の創造に参加していたなら、
宇宙のより良い秩序のためのいくつかの有益なヒントを与えたでしょうに。
– Alfonso X

すべての階層において、マネージャーは組織体制によって運営管理する傾向があります。よく言われるところによると、経営者が組織図に正しい部門を描き、適切な階層に編成し、強力な者を長に指名することができて初めて組織は成功する。このため、ほとんどの大企業は少なくとも年に一回は大きな組織変更を実施しています。
第2章では、我々は組織を組織構造から見るよりプロセスから見る利点について議論しました(図2.1、図2.3参照)。組織を再構築するとき、横の見方と縦の見方の区分は重要です。組織変更の目的は組織のパフォーマンス向上にあります。しかしながら、多くの場合、組織パフォーマンスは、組織横断プロセス(横のシステム)が如何に機能したかの結果です。したがって、組織変更のほとんどは横の組織の有効性と効率を改善することが目標であるべきです。このことは、組織変更は次の2ステップに従うべきであることを示しています。

顧客要求事項と組織の目標が達成されるように、重要な組織横断プロセスとしての横のシステムを分析し、再設計する。
横のシステムの有効性と効率をサポートするために、組織の境界を見直す(指示命令系統を再設計する)。

基本的には、形は機能の次に来るものです。
組織変更の多くは、あいにく横のシステムの必要性を本当に理解せず、縦の見方(指示命令系統)だけで実行されてしまっています。最悪のケースは、特定の部門のパフォーマンスを最適化し、横のシステムと組織のパフォーマンスを部分的に最適化してしまうことです。最も幸運なケースでは、組織再編が意に反して横のシステムに利益をもたらすことです。横のシステムの有効性は、偶然に任すには重要すぎます。組織設計とは、組織が機能することを望むなら単純に機能するように設計しなければなりません。そして、組織設計は組織横断プロセス又は横のシステムが何を求めているのかを理解することから始まります。業務はプロセスを通して実施されます。プロセスが組織体制を動かしていくべきです。
我々は、組織設計(9パフォーマンス変数の内の1つ)は組織図からスタートすべきではないし、組織図で終わるべきでもないと思っています。組織設計には次のことを含むべきです。

部門間にあるインプットとアウトプット(供給者と顧客)関係を定義する組織レベルの体制
インプットがアウトプットに変えられるべきステップを定義して、実行すべき部門がどこであるかを明確にするプロセスレベルの体制。
個人と業務チームの責任、及び業務環境を定義する業務/遂行者レベルの体制。

3レベルのパフォーマンス全てを包含し、全てに対応し機能する組織構造を構築する一連のステップを吟味してみましょう。

組織体制の設計

効果的な組織体制は、活動と決定の後を追うことから生じると理解しています。フェーズ0(第10章参照)から始め、次のステップ1からステップ3へのインプットを提供し、或いはその優先順位を決めるサポートを行なう。プロセスの再設計すること(フェーズ1、2、及び3)により、ステップ3と4に力を与えます。統合評価システムを構築し、他の継続的改善活動を行うことで、ステップ5への強力なインプットを提供できます。したがって、ステップ5までにしなければならない業務量は、既にどんな事が行われてきたかに依存します。次の章で総合的な事例を用いこれらのステップについて説明します。