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インフラメンテナンスや物流の新たな姿 | ISO情報テクノファ

ISO審査員及びISO内部監査員に国土交通省の白書を参考に各種有用な情報をお届けします。

■インフラメンテナンスや物流の新たな姿、デジタルツイン

デジタル化により、インフラメンテナンスや物流が変化し、産業のあり方が変わるとともに、デジタルツイン※や3Dモデルなどの活用により、新しいサービスや体験等が可能となり、これまでにない革新的な取組みが展開され、Well- being ※2が向上しているます。

※デジタルツインとは「リアル(物理)空間にある情報をIoTなどで集め、送信されたデータを元にサイバー(仮想)空間でリアル空間を再現する技術」である。現実世界の環境を仮想空間にコピーする鏡の中の世界のようなイメージであり、「デジタルの双子」の意味を込めてデジタルツインと呼ばれる。
従前コンピュータシミュレーションと呼ばれていた技術の延長線上にあるものと考えると理解しやすいかもしれない。

※2 Well-being
Well-being(ウェルビーイング)は、well(よい)とbeing(状態)からなる言葉である。世界保健機構では、ウェルビーイングのことを個人や社会のよい状態で、健康と同じように日常生活の一要素で、社会的、経済的、環境的な状況によって決定される、と紹介している。「よい状態」とは、なんともあいまいな定義ですので、「よい状態って、一人ひとり違う?」と疑問に思う人も多い。実はそのとおりで、ウェルビーイングとはどういうことなのか、自分にとってのウェルビーイングとは何なのか、それぞれの考え方がある自由な言葉出ると考えてよい。

(進化するインフラメンテナンスや物流のあり方)
AI・IoT、ドローンやロボット等の活用により、インフラやモノの効率的な維持・管理が可能となっています。AI等を活用することで修繕を行うタイミングが適切に判断されるようになり、インフラも良好な状態が維持され、安全・安心な国土となるとともに、配送計画や物流業務などの自動化等により、サプライチェーン全体が最適化され競争力が高まっています。

(具体例紹介)
・新しい管理の仕方(自律化)
デジタル化が進展した将来の先には、建機や倉庫内作業の“機械化・自動化”のみならず、インフラやモノの管理のあり方も“自律化”している可能性がある。例えば、これまで点検・管理を頻繁に行う必要があったインフラ老朽化度合いは、AIやドローンなどの技術により精度高く管理され、適切な補修タイミングになるとインフラ側から通知が届くようになるかもしれない。また、物流業務における配送ルート決定が自律化されることで、例えば近場で運びたいモノがあるときに、行先を指定すると次世代モビリティが効率的な運搬を支援してくれるなど、ラストワンマイル輸送がより効率的なものへ変化している。

出典:国土交通省 令和5年版国土交通白書

(デジタルツインによる防災まちづくり)
デジタルツインの普及により、仮想空間・現実空間を相互に行き来する機会が増え、防災やまちづくりなど幅広い分野での活用により、多様な主体によるオープンイノベーションが展開されています。また、メタバースをはじめとする仮想空間に関する技術の進展により、好きな場所で自由に使える時間がより増えているとともに、様々な場所や相手と関わり合うことができるようになっています。

(新しいまちづくり(デジタルツイン))
デジタルツインが進展すれば、今までにない新たなまちづくりが生まれます。例えば、「どのような施策をしたらより多くの人が訪れ、回遊してくれるか」、「どのような施設をつくると周辺の人の流れにどのような影響を与えるのか」といった観点から詳細な分析を行うことが容易になり、人の流れを予測することで、まちのあり方に必要な施策や施設が誰にとっても分かりやすく、そのプロセスに参画しやすくなるかもしれません。また、事業に携わる側にとっては、限られた資源を効率的な投資にまわすことが可能となり、住民にとっては、例えば人の流れを予測した通勤や外出など混雑を避けた移動ができ、その地域を訪れる人にとっては、まちの魅力が分かりやすいなど、合理性や快適性の高いまちとなっていきます。「住みたい」、「行きたい」と思われる付加価値の高いまちづくりが多くの人によって支えられ、地域への誇りや愛着が高まり、Well-beingも向上していきます。

(新しい防災の形(デジタル防災))
デジタル化で防災・減災対策が飛躍的に高度化・効率化した未来では、あらゆる災害でリスクを最小化でき、生命・財産が守られるような、どこにいても安心して暮らせるような社会をデジタルのフル活用により支える、デジタル防災が主流になっているかもしれない。デジタルツインの活用により洪水・津波・地震・火災といったハザードを想定し、発災時の人流や避難経路をシミュレーションすることで、被災状況を精度高く予測することが可能となり、被災状況の見える化により災害を未然に防ぐための公共インフラの整備、交通機関の運行制御、企業等のBCP強化などを進めることができるようになっている。

出典:国土交通省 令和5年版国土交通白書

(つづく)Y.H