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経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会 | ISO情報テクノファ

ISO審査員及びISO内部監査員に経済産業省の白書を参考に各種有用な情報をお届けします。

■経済協力開発機構(OECD)閣僚理事会

(1)2021年OECD閣僚理事会(第1部)
2021年、OECD閣僚理事会(Meeting of the Council at Ministerial Level:MCM)第1部が、「共通の価値:グリーンで包摂的な未来の構築」(Shared Values: Building a Green and Inclusive Future)をテーマにテレビ会議形式で開催され、当時の西村経済財政政策担当大臣、鷲尾外務副大臣が参加した。

本会合では、コロナ危機からの回復、世界経済の見通しやリスク、ポストコロナの取組等について議論が行われ、各国からワクチンの接種状況、経済回復期における財政健全化の重要性、グリーンやデジタルなど新たな分野への投資、より包摂的で強靱な経済の再構築、危機におけるECDの役割の重要性や貢献への期待、デジタル課税の議論を重視する発言があった。また、グリア前事務総長の過去15年にわたる功績について多くの謝意が示されるとともに、2021年5月に新規加盟を果たしたコスタリカを歓迎する発言が相次いだ。

会合の最後に、閣僚理事会開催の事実や関連文書の採決等の事実関係及び新旧事務総長への言及を含む「閣僚声明」が発出された。

[参考]OECD加盟国・招待機関
<OECD加盟国38か国>米国(議長国)、韓国(副議長国)、ルクセンブルク(副議長国)、日本、ドイツ、フランス、イタリア、オランダ、ベルギー、フィンランド、スウェーデン、オーストリア、デンマーク、スペイン、ポルトガル、ギリシャ、アイルランド、チェコ、ハンガリー、ポーランド、スロヴァキア、エストニア、スロベニア、ラトビア、リトアニア、英国、カナダ、メキシコ、豪州、ニュージーランド、スイス、ノルウェー、アイスランド、トルコ、チリ、イスラエル、コロンビア、コスタリカ

<その他>EU、経済産業諮問委員会(BIAC)、労働組合諮問委員会(TUAC)

(2)2021年OECD閣僚理事会(第2部)
2021年10月5日及び6日には、OECD閣僚理事会第2部が対面(一部参加者はオンライン)で開催され、当時の岡村OECD代表部特命全権大使、広瀬経済産業審議官、正田地球環境審議官(オンライン)が参加した。

本会合では、議長国である米国(ブリンケン国務長官、ケリー気候変動特使、タイ通商代表らが出席)、副議長国の韓国及びルクセンブルクの下、「共通の価値:グリーンで包摂的な未来の構築」をテーマに、気候変動、国際課税、デジタル化、貿易等、経済分野で国際社会が直面する共通の課題について活発な議論が行われた。また、2021年CD設立60周年にあたり、OECDの今後10年の理念を示した「OECD設立60周年ビジョン・ステートメント」を採択した。同ステートメントには、世界がグローバルな協力と行動を必要とする課題に直面する中、OECD加盟国が、個人の自由の保護、民主主義、法の支配などの共通の価値を持ち、志を同じくすることを改めて強調し、その上で、世界経済の持続可能な発展に対するコミットを新たにすること等が盛り込まれている。会合の最後には、コロナ禍からの回復、気候変動、強制労働等の今日的課題について各国の立場や見解を踏まえた閣僚声明が採択され、その中で、信頼性ある自由なデータ流通(data free flow with trust:DFFT)を通じたデジタル経済の前進にコミットする点や、「質の高いインフラ投資に関するG20原則」等を通じた質の高いインフラ投資への支援、WTO改革や「G20/OECDコーポレート・ガバナンス原則」の見直しの重要性等も盛り込まれた。

[参考]キーパートナー国・招待国・国際機関
<キーパートナー国>ブラジル、中国、インドネシア、南アフリカ

<招待国>ブルガリア、クロアチア、ペルー、ルーマニア

<その他・国際機関等>EU、経済産業諮問委員会(BIAC)、労働組合諮問委員会(TUAC)、国連、世界銀行、世界貿易機関(WTO)、国際労働機関(ILO)、国際連合教育科学文化機関(UNESCO)、国連開発計画(UNDP)

(3)鉄鋼グローバル・フォーラム閣僚会合(テレビ会議)
2021年10月1日、鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラム(GFSEC)閣僚会合がテレビ会議形式で開催され、日本(共同議長)のほか、イタリア(議長)、米国(共同議長)、EU、ロシア、韓国等、主要な鉄鋼生産国・地域及びOECD事務局、産業界関係者等が参加した。

閣僚報告書は、生産能力の構造的なアンバランスが継続しており、越境投資を含む新たな生産能力への投資が見受けられることや、過剰生産能力の根本原因は対処されておらず、景気が上向いている間に過剰生産能力問題に対処しなければ、将来の周期的な市況減速時に危機に陥る可能性があること、また鉄鋼産業は世界のCO2排出量の7~9%を占めており、気候変動に対する意識の高まりに対処する必要があること、市場歪曲的な政府支援措置の排除は鉄鋼企業の収益を改善し、過剰生産能力の削減促進や脱炭素への移行を促進する可能性があることなどが盛り込まれた。出席した全てのメンバー国から閣僚報告書案が支持・承認され、公表された。

本取組は、2019年10月に当時の梶山経済産業大臣を議長、牧原経済産業副大臣を議長代理として開催されたGFSEC閣僚会合において、完全なコンセンサスには至らなかったものの、大多数のメンバーがこれまでの進め方を基礎に鉄鋼の過剰生産能力問題に関する取組を継続することに合意したため、31ヵ国・地域により2020年以降も継続されている。

(つづく)Y.H

(出典)経済産業省 通商白書2022
https://www.meti.go.jp/report/tsuhaku2022/index.html