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ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール(第5回)

平林良人「ISO 9001 有効活用のためのビジネス改善ツール」(2005年)アーカイブ 第5回

第2部:ISO 9001と事業改善アプローチ

序文

この章に書かれた事業改善アプローチは、ISO 9001及び他の事業改善モデルを支援するために使用することができます。この章では次のようなことを提供します。

  • ここに含まれるすべての事業改善アプローチの概説
  • 各アプローチの活用考慮要素について概説する要約表
  • 各事業改善アプローチに関する説明

各事業改善アプローチは、共通フォーマットで説明されています。

  • 簡潔な背景
  • 基本的な原則
  • 説明
  • アプローチ使用最良方法のガイド表

次の表は、特定のアプローチを選ぶ際の要素を一覧にしています。

要素 説明 選択肢
ISO 9001主要要求事項との関連 アプローチがISO 9001を支援するところ 経営者の責任(MR)
資源マネジメント(RM)
プロセスマネジメント(PR)
測定と分析(M&A)
改善(Imp)
活用範囲 組織のタイプ 民間、公共/任意、中小企業
アプローチが活用のために設計されたところ イギリス、ヨーロッパ、アメリカ、世界的
産業 製造又はサービス
アプローチが活用されるかもしれないところ 機能、部門、及び/又は組織
システムにおける変化の度合い システムとアプローチは組織の中で日々どのくらいの変化に遭遇するか 大、中、小
人々に関する変化の度合い どのくらいの数の人が変化によって影響を受けるか 大、中、小
利益レベル 変化からどのくらいの利益が得られるか 大、中、小
参加レベル 人々はどのように変化にかかわるのか 完全に推進母体として、推進母体として、一体として
成熟レベル 誰がアプローチを使うべきか 初心者、経験者、世界レベルの者
時間尺度 アプローチを実行するにはどれくらい時間が掛かるか 3ヶ月未満、6~12ヶ月、12ヶ月以上
投資レベル 資源と費用はどのくらいかかるか 高い、中間、安い
実施方法 どのように始めるか 改革、プロジェクト又はプログラム

事業改善アプローチ

品質アプローチ 概要
バランススコアカード (BSC) 業績評価指標を定義するための枠組み。
ベンチマーキング(Benchmarking) 他の組織によって行われたアプローチを調査、それに基づいた測定とプロセス改善。
ベストバリュー
(Best Value)
地方自治体サービスの価格と品質が、地元住民に受入れ可能レベルになるよう確実にして、地方自治体のサービス改善を追い求める。
Better Quality Service Reviews (BQSR) 改善の基準及び選択した方策に基づいて、継続的サービス改善を推進するマネジメント。
Business Performance Improvement Review (BPIR) 組織が利害関係者のニーズを優先順位付けし、かつ対応する枠組みを提供する。
ビジネスプロセス・リエンジニアリング (BPR) 組織を通じて生産性を向上し、コスト削減するためのプロセスの根本的簡素化と軽減化。
チャーターマーク
(Charter Mark)
公共サービス部門における改善を推奨し表彰する、品質賞に類似の制度。
故障モード影響解析 (FMEA) 故障を予測し、予防処置を計画し、故障コストを見積り、冗長システムを計画し、かつ故障反応システムを計画するプロセスを促進するツール。
インベスター・イン・ピープル(Iip) 組織目標を達成するような人材を研修し、かつ開発する効果的な投資。
改善/継続的改善 人々の参画を通じて成果を積み上げていく品質改善。
改善チーム 最小の投資で大きな利益を得る短期間の改善活動。
リーン・シンキング
(Lean Thinking)
より少ない人の努力、より少ない設備、より少ない時間、及び、より少ないスペース等のより少ないもので、より多くを達成する方法の提供。
パフォーマンス評価 現在のパフォーマンスを測定し達成目標と比較することによって、改善領域を識別する。
プロセス分類枠組み(PCF) プロセス識別とベンチマーキング活動を支援する、共通プロセスの一覧。
プロセスマネジメント 改善に最も必要なキービジネスプロセスを理解して推進する改善。
自己評価法 品質モデル(例えば、EFQM優良モデル)を活用して、結果、アプローチ、及びそれらの展開について見直しをする。
シックスシグマ プロセスパフォーマンスと達成能力を比較し、人々に改善する権限を与える。
統計的工程管理 (SPC) ばらつきを減少することによって、一貫して不良品を低減し改善をする。
制約条件の理論(TOC) システムの「ボトルネック」を特定し、それを除去することで品質改善するシステムアプローチ。
TPM(Total Productive Maintenance) 現場アプローチを活用して、生産システムの誕生から廃棄までの間で、いろいろなタイプの損失(ゼロ災害、ゼロ損失、ゼロ故障の確実化により)を防止する組織を構築する。
TQM 人々を参画させて、組織のあらゆる側面の改善を進める管理されたプログラム。