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新・世界標準ISOマネジメント(第16回)

平林良人「新・世界標準ISOマネジメント」(2003年)アーカイブ 第16回

2.3 ISO 9000シリーズ規格の有効的な活用

2.3.1 ISO 9000シリーズ規格の特徴

  • 1)システム(仕組み)
    • 2000年改訂でISO 9000シリーズ規格はマネジメントシステム規格へと変更されたが、相変わらずシステム(仕組み)を規定している。システムを建物にたとえれば骨格(フレーム)であるが、その中身に何を入れるのかは組織が決めることである。中身は組織の固有技術そのものであり、固有技術は組織のパフォーマンスを決めることになる。
    • しかし、固有技術だけが組織のパフォーマンスを決めるのではない。システムに代表される管理技術も同じく影響を与える要素である。組織の競争力を向上させるには、何時でも、どこでも、誰でも同じ質の仕事ができる仕組みが必要である。ISO 9000シリーズ規格はそんな管理技術の1つであり、いってみれば1つの道具(ツール)である。システムの適合性は組織にとっては経営上の必要条件ではあるが、十分条件ではない。
    • また、システム(仕組み)化は組織の継続性に繋がる。ISO 9000シリーズ規格は一時期の達成度(パフォーマンス)を期待していない、永遠に続く組織の継続性(継続的改善)を期待している。
  • 2)手順
    • 組織はいろいろな要素の集まりである。要素とは人、設備また製品(サービスを含む)等である。これらの要素はお互いが複雑に絡み合っている。ISO 9000シリーズ規格は、このお互いが複雑に絡み合った要素に最低限の規定、ルールを与え、トップの期待する効果を上げさせる手順を設定することを要求している。
    • 組織の人々は時々最低限の規定、ルールを守らないことがある。システムの維持は、決められた規定、ルールを全員が守ることで達成されていくから、この規定、ルール無視が多いとマネジメントシステムの維持はされない。ISO 9000シリーズ規格はこの守るべき手順の確立を強く訴えている。
      • なぜ人々は手順を守らないのか
      • ① 手順を知らない。
      • ② 手順は知っているが自分たちのやり方と異なっている。手順通り実施せずとも目的は達成できる。
      • ③ チェック又は注意されない。最初は上司も関心を持っていたが段々と無関心になり、今や業務のやり方は部下任せである。
      • ④ 時間がない。
      • ⑤ 面倒である。
    • 「よいシステムとは何か」を考えていくと最後に突き当たるのは「よい手順とは何か」になる。システムとは「相互に関連し、又は相互に作用する総体」であるから、複雑な業務をいかにして手順化しておくかに行きつくのである。
    • 以下にISO 9001:2000規格の特徴を掲げる。
      • ISO 9001:2000規格の特徴
      • ① 4章で総括をしている。
      • ② 5,6,7,8章でPDCAの構造を取っている。
      • ③ 最初に要求したことを徐々に細分化して要求している。
      • ④ プロセスアプローチの考えを採用している。
      • ⑤ 適用除外の考えを導入している。
      • ⑥ 製品品質保証に加え、継続的改善と顧客満足向上を要求している。
      • ⑦ アウトソースの概念を導入している。
      • ⑧ 文書化の要求を軽減している。

2.3.2 プロセスの分析

  • 2.3.1節の特徴で述べたように、「システム(仕組み)」がISO 9000シリーズ規格の大きな特徴であるが、ISO 9000シリーズ規格はシステム化のために、組織がそのプロセスを明確にすることを要求している。組織は、現状のプロセスを把握し、分析し、明確にしていかなければならない。現状のプロセスを把握し、分析することで組織にとって改善すべきことが見つかるかもしれない。例えば、重複した仕事がある、仕事の順序が違う、やるべきことが実施されていない等々である。
  • ISO 9000:2000ではプロセスを“インプットをアウトプットに変換する、相互に関連する又は相互に作用する一連の活動” と定義している。組織のプロセス(仕事のひと纏まり)を分析するためには、まず組織に存在するプロセスを明確にしなければならない。組織にどんな仕事のひと纏まりがあるか、どこからどこまでを一区切りとすればよいのか等、プロセスを明確にするにはプロセスを構成している要素を抽出する必要がある。
  • プロセスを構成している要素はインプット、管理、経営資源、アウトプット及び活動である。
  • 一つのプロセス(中には複数の活動があるとする)を例に上げて説明をすると、次のようになる。
    • ①インプット:製品実現のために購入する材料、情報等
    • ②管理:活動に関しての重点管理、日常管理
    • ③経営資源:プロセスに関わるヒト,モノ,カネ等
    • ④アウトプット:顧客へ供給する製品,成果品
    • ⑤活動:プロセスの中にある業務要素
  • 当然組織におけるプロセスは一つではない。組織に存在する多くのプロセスについて上述の要素を明確にすることが、プロセスを分析する第一歩である。ここで表現したようなプロセスを分析することで、マネジメントシステムを継続的に改善するための糸口が得られる。
    • 改善の糸口
    • ① インプットのバラツキを少なくし,材料使用量およびコストを減らす。
    • ② 活動の重点目標設定により、顧客要求事項の変化に対応する。
    • ③ 経営資源の削減管理で、プロセスの効率向上で,有効性を高める。
    • ④ アウトプットを管理することで顧客満足度を向上させる。
    • ⑤ 活動をチェックすることで、業務の重複、抜け等を発見できる。