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内部監査の実践(その40)

「4M変更管理標準KPT105」を対象に品質管理課に対してナラティブ内部監査を行っています。

<前回まで>

  • (内部監査員)そうなんです、個人と組織はお互いが持ちつ持たれつなのです。そのことを横山哲夫先生は「個人と組織の共生」と呼んでいました。
    この「個人と組織の共生」を理解すると、内部監査の目的を多様に考えることが出来ます。
    ナラティブ内部監査は被監査者が自分の仕事の「適合性を証明する」ことで、不適合に自分で気づき「個人と組織」もお互いが成長していくことを思い描いています。
    前回説明した「ナラティブ内部監査のポイント」の2つはこのような背景で理解していただけるとありがたく思います。
    • ①内部監査員と被監査者の共同作業
    • ②問題解決

(今回ここから)

  • (被監査者)よくわかりました。また、基本的なことを聞くかもしれませんが、その時までは監査に戻っていただければと思います。
    では、私から前の続きをお話しします。
  • (内部監査員)はい、宜しくお願いします。
  • (被監査者)前回、届け出が無かったため問題を起こしたという話をしました(36回)。
    そこでなぜ変更前に連絡をしなかったかを対象部署に聞きました。しかし、36件中22件しか返事をいただけませんでした。

  • 頂いた22件の内容は次のようなものです。
    • ① 9件 忘れた
    • ② 8件 変更管理の対象になっているとは知らなかった
    • ③ 5件 変更管理対象外であった

    自分の仕事としては、それぞれの案件について「なぜ、そうなったのか」を追求すべきかと思いましたが、自分には手におえないと思い実施していません。また、回答をもらえなかった案件には該当部署に再要請しましたが、回答が来ないので上司に相談しました。上司からは再々度お願いしてみればどうか、という事でしたがつい忙しさにかまけて行っていません。

  • (内部監査員)それはそうだと思います。日頃やることは沢山あるのですからね。
    もし回答が来た案件について追求するとしたらどんなことを考えたのですか。
  • (被監査者)私としてはISO9001:2015箇条10.2に沿って追求したいと思いました。
    ①、②、③のそれぞれについて、なぜそうなったのかを調べたいと思いました。
    ①については「どうして忘れたのか」、②については「どうして、変更管理の対象になっているとは知らなかったのか」、③についても「本当に変更管理対象外であったのか」を調べるという事です。
    そうは思ったのですが、でもそのような調査は私の仕事でないような気がしましたし、該当部署の担当者と対立的な関係になるような気がして、それ以上踏み込まない方が良いと思いました。
    上司には報告しましたが、黙認という感じでしたので、これ以上このことに関わりあっても誰も得をしないと思いました。
    でも、会社としては何とかしなくてはいけないという思いは今でもあります。
    さらに言えば、本件について一番よく知っているのは私なので、私が黙ってしまうと誰もこの問題に気付かないと思い、忸怩たる思いではいます。

(つづく)