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内部監査の実践(その42)

「4M変更管理標準KPT105」を対象に品質管理課に対してナラティブ内部監査を行っています。

<前回まで>

  • (被監査者)(略)
  • 変更届を出さなかった理由はまず「a.忙しかった」からだと思いましたが、これは言い訳で本当の原因ではないなと、後から思いました。私も忙しいのですが、でも絶対にやらなければならないことは行っているわけで、「言い訳するようなこと」と「言い訳なしで行うこと」との差は何なのかを考えました。
    そうしたら、「b.意識になかった」ということに思い当たりました。でもどうして意識になかったのかと考えたら、「c.「変更」と「それを連絡する」ことが結びつかなかった」に行きつきました。

<今回ここから>

  • (内部監査員)
  • よく考えておられますね、直接関係した人にしかできない分析だと感心します。もう少しお話しいただけませんか。私も何かアドバイスできるかもしれません。
  • (被監査者)
  • 分かりました。
    今回の問題は、「変更することを関係部署に連絡すること」、「その変更の対象は何か」ということを担当者が理解していたのか、いなかったのかを調べることが大切だと思っています。
    変更したにもかかわらず事前通知をしなかった部署と変更対象は以下の通りです。

    • 営業課(3件):契約管理標準、注文書管理標準、OEM 客先支給品管理標準、製品取扱標準、製品保管標準、サービス・パーツ管理標準についての変更が対象です。
    • 設計課(9件):仕様制定標準、設計業務標準、製品企画標準、設計試作標準、設計審査標準、設計計画標準、試作評価標準、設計通知管理標準についての変更が対象です。
    • 技術課(10件):量産試作標準、量産認定標準、製品・部品コード管理標準、加工図面管理標準、機械設備管理標準、計測器類選定標準、製品・部品包装標準についての変更が対象です。
  • また、再三お願いしても返事をもらえていない36件中14件の部署と対象は次のとおりです。
    • 購買課(8件):購買要求書発行標準、外注契約書標準、取引先管理標準、取引先評価標準、購入製品特別採用処理標準に関する変更が対象です。
    • 製造課(6件):工程品質管理標準、作業指示書制定標準、機械設備日常点検標準、工程異常処理標準、4M変動管理標準に関する変更が対象です。
  • 上記の部署の担当者が変更管理を理解していたのか、を調べるためには該当課長に問い合わせをしたいと思っていますが、いままでの経緯を見ると協力をいただけるかどうか不安です。
    そこで、内部監査報告書には今回の案件を書かれると思うので、その際の記載に次のような質問を入れていただけるとありがたいと思います。
    内部監査報告書は担当役員、部長にも送られるので、担当課長も無視できなくなります。
    次の二つの質問です。
  • 1.あなたの課では変更管理標準「4M変更管理標準KPT105」を課員に定期的に教育していますか。
  • 2.あなたの課の全員は担当業務の中でなにが変更管理対象であるかを理解していますか。
  • (内部監査員)
  • なるほど、変更管理通知が出されない原因を探っていきたいという事ですね。
    内部監査報告書に2つの質問を記載すること了解しました。
    もし、本格的に原因調査をしようとするならば次のフローが参考になると思います。

(つづく)