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内部監査の実践(その47)

前回から、A社【計測器類管理標準 KQM117】に基づいた「二八(にっぱち)監査」※を採用したナラティブ内部監査例を説明しています。

※ 二八(にっぱち)監査:ナラティブ内部監査の一方式で、内部監査員は2割の時間を使って聞く、被監査者は8割の時間を使って答える監査方式。正式には「被監査者による適合証明監査」と呼び、被監査者が「自分の仕事がルールに適合していることをエビデンスによって証明する」監査方式をいう。二八とは、内部監査員は2割くらいの時間しか質問に使わず、残り8割の時間は被監査者が適合性証明のために使うことからこう呼んでいる。

≪前回まで≫

  • (内部監査員)
  • それは指摘事項として記録しておきたいと思います。
  • (被監査者)
  • ここまで3件の指摘事項があったと思います。
    1. 計測器台帳に記録の台数と実際の台数との食い違い
    2. 職場における計測器の整理整頓の状況
    3. 計測器に校正外れがあった場合の処置
  • 全社の計測器を管理している立場からは1,2,3について次のような対策を考えたいと思っています。
    1. 台帳管理すべき計測器の廃棄、購入についてのルールを再確認、再徹底する。
    2. 計測器を使用している職場に整理整頓のお願いをすると同時にルールを見直す。
    3. 校正外れのあった機器の校正間隔を短くする。
  • これらの対策の良し悪し、実効性、予算確保などを確認していかなければならないと思いますので、いずれも我々の品質保証部だけでは出来ないと考えます。
    内部監査員のほうから内部監査責任者に問題を上げていただいて問題解決に向けての活動をリードしていただけないでしょうか。できれば関係者を集めていただいてチーム活動を実施していけないかと思います。
  • (内部監査員)
  • そうですね、問題が検出出来ても解決が出来ないと内部監査の成果になりませんのでおっしゃるような動きをしていきたいと思います。
    まず、内部監査報告書を作成しなければなりませんが、ここまで教えていただいたことを来週までにまとめますのでチェックをお願いします。
    今回の内部監査は「二八(にっぱち)監査」を試行しました。今回の内部監査での私からの質問は、「ご自身の業務の適合性をエビデンスでもって説明していただけませんか」という、ただの一つの質問でした。今回は貴方の仕事の適合性を証明していただく過程で「指摘事項」が3つ出てきました。しかも3つとも私が務める内部監査員からではなく、監査を受ける貴方からの指摘でした。
  • (被監査者)
  • 「二八(にっぱち)監査」は初めてでしたが、効果的ですね。何といってもこの仕事を一番よく知っているのは私です。私が本当のことを隠さずお話しし、内部監査員の方が第三者の立場で裏付けを取っていただくことは従来に比べて、相当効果のあることであると思います。
    • 被監査者自身が仕事の見直しをすることになる。
    • 記録などのエビデンスを確認することになる。
    • 記録から事実を見つけられる。
    • 被監査者にも思い違いはあると思うが、それは内部監査員が指摘してくれる。
    • 問題解決のチームを作れることができる(これからではあるが)。

(つづく)